時に大迫力で、時には心に染み入る歌声で人気のジャズシンガー、綾戸智恵が2024年の幕開けにすみだトリフォニーホールのステージに立つ。それもなんと竹本泰蔵指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団との共演。2001年以来、久々の共演ステージが実現される。
「演奏する曲はもう決まっていて、今はアレンジ待ちですわ。曲によってこれはコンボ向き、これはビッグバンド向きっていうのがあるやないですか。その中でもオーケストラに向いてるなあ、という曲を選びました。候補は沢山出ました。候補なんて、生きている以上ナンボでも出てきますから」
第1部は弾き語りを中心に、第2部が新日本フィルとの共演だ。
「ステージに出たときに客席から湧き上がる、ホールが揺れるような興奮がうまれるといいですね。それは私一人では出来んことで、オーケストラあってのことです。そもそも主役は脇役のお陰で光るんですし、さらにお客さんのお陰でもあります。さらにライブというのは消えていくでしょう。それが切なくてええねん。まるで砂に描いた曼荼羅のようや。風が吹いたら消えてしまうね。音楽をする中で一瞬を求めて苦労もできる。苦労の方が多い人生であえて何故頑張るか。それはあの1音を求めるわけだからね」
ピアノの弾き語りから今回のようなクラシックのオーケストラまで、あらゆるスタイルで歌ってきた綾戸。歌い手としてそれぞれ違いを意識しているものなのか。
「それはわからへんね。お客さんの拍手が大きければ受けてるな、と思うくらい。ただ大編成でゴージャスなバンドは音楽のスケールも上げるよね。しかもそもそも扱いが大変な音楽家の皆さんを、指揮棒1本で束ねる指揮者の凄さはカッコよろしいね。羊飼いのリーダーじゃないけどね。なかなかできんこっちゃ。そこで歌えるのは贅沢やと思います」
バラエティ豊かなステージに期待が高まる。
「今まで培ったものを全部吐き出したいし、それが嬉しいことだからね。未来より過去の方が多い人間はそんな感覚が養われます。もう大放出や! 出会いのチャンスは生きている人の特権です。だからこの機会に初めての人にも1回観に来て欲しいです。思わずビックリする曲も、これやこれ!いう曲も。オーッと思える曲もあります。まさにメインディッシュまで並ぶコースディナーのような面白さ、バラエティに富んでます。お楽しみに!」
(取材・文:渡部晋也)
「当り前のことなんですけどお正月って歳の数しかないんですよね(笑)。私やったら66回。その中で、今も心に残っているお正月……。ああ、1995年1月17日。神戸に住んでた私にはこの大震災が、1月は睦月の1番の出来事でいまだ忘れられないです。次は2024年1月30日のトリフォニーホールでのコンサートが忘れられないほどの記憶になるよう楽しみたいです。66年分の思い出や辛かったこと楽しかったことも全て大好きな音楽で炸裂します。『この曲歌うの?』と少し驚かれる曲、『これやで! アヤドはこの曲や!』と感じられる曲、『この曲、歌う歳になったんだ』と思われる曲など。新日本フィルハーモニーの皆さんと、ごきげんなトリオとステージでガッツリ演じます!」
プロフィール
綾戸智恵(あやど・ちえ)
大阪府出身。幼少時から両親の影響でジャズとハリウッド映画に囲まれて育つ。中学時代にナイト・クラブでピアノを弾くようになり17歳で単身渡米。1991年に帰国してからは大阪のジャズ・クラブで歌い始める。1998年発売のアルバム『For All We Know』でジャズを越えて多くの音楽ファンに衝撃を与える。2001年、第51回芸術選奨文部科学大臣新人賞(大衆芸能部門)受賞。2003年の紅白歌合戦では『テネシー・ワルツ』を熱唱。現在、アルバムのリリース、ライブ活動の他、映画・TV・ラジオ出演や講演会などで精力的に活動している。笑わせたり、泣かせたりのトークを交えながら、ジャズを中心にゴスペル・ソウル・ロック・ポップス・J-POPなど幅広いレパートリーを巧みにとり入れた個性的なステージで多くのファンを魅了し続けている。最新アルバム「Hana Uta(ハナウタ)」好評発売中!
公演情報
綾戸智恵 meets 新日本フィルハーモニー交響楽団
日:2024年1月30日(火)19:00開演(18:15開場)
場:すみだトリフォニーホール 大ホール
料:S席8,000円 A席7,000円(全席指定・税込)
※他、すみだ区割・すみだ学割あり。詳細は公演HPにて
HP:https://www.triphony.com/
問:トリフォニーホールチケットセンター
tel.03-5608-1212