長崎の離島を舞台に人間の機微を細やかに描く 松田正隆による名作を新キャストで上演

長崎の離島を舞台に人間の機微を細やかに描く 松田正隆による名作を新キャストで上演

 演出家・大河内直子とプロデューサー・田窪桜子による演劇ユニット「unrato」。今年2月、松田正隆の名作『月の岬』を上演する。1997年に初演された本作は、この年の読売演劇大賞 最優秀作品賞を受賞。全編にわたって長崎弁を用いて、繊細な人間の機微を丁寧に描いている。
 戯曲選びから本作に携わったという主演の陳内将は、初めて台本を読んだ時から「これをやってみたい」と強く思ったという。

陳内「今でも学生役をやらせてもらうことが多々ある中で、年齢的にも等身大の自分を出せる役に出会いたいと思っていました。パーソナルな部分で自分とも向き合って演じたいです。僕が演じる信夫は年齢も近く、お姉ちゃんが好きという共通点もある。自分にとって挑戦ではある作品ですが、自分と役に共通点があるというところで、助けてもらえる部分もあると思います」

 信夫の妻・直子を演じる梅田彩佳にとっても本作は大きな挑戦となる作品だ。

梅田「私にとってストレートプレイは2回目。この戯曲は、登場人物たちの本音が言葉だけでは見えてこない。どっちの思いでこの言葉を言っているんだろうと迷うことも多くて、凄く難しいと感じています。きっと悩むことも多いし、稽古中も大変なことばかりだと思いますが、それも挑戦だと思って楽しみながら演じていきたいです」

 物語の舞台は長崎の離島。ありふれた日常を送る平岡家に小さな事件が起き、そこからそこに暮らす人々の秘密が暴き出されていく。

陳内「信夫は『フーン』というセリフを何回も言うんです。自分が蒔いた種で人が変わっていく様を見て、自分のせいだとわかっているのに無関心を装っているし、何かを聞かれてもはぐらかしてばかり。責任逃れや話の転換が上手いからこそ、どっちつかずに話が進んでいくのですが、僕が演じた時にどちらかに決めつけすぎないよう、どっちなんだろうと思わせるところは残して演じたいと思っています」

梅田「直子さんは、三歩下がって歩く女性というイメージ。自分のことはあまり話しませんが、思いを溜めてやっと言えた一言の重みは凄くある。物語の後半では自分の意見をらしくない言葉で言うシーンがあるので、そうなるまでの変化を大切に演じたいと思います。まだまだ分からないところも多いので、稽古を通して直子さんの色々な感情を感じていきたいです」

(取材・文:嶋田真己 撮影:友澤綾乃 ヘアメイク:国府田 圭)

2024年幕開けです! 今年の野望を1つ教えてください。

陳内 将さん
「今年の野望は『原点に立ち返る』です。2024年、36歳になってすぐに初のバースデーイベントを実施出来ます。この、数字が干支や時計、暦などに多く使われる12という数字の引力を感じざるを得ません。年男なので、それはそうだろうと思われるのかもしれませんが2024年辰年に、龍の名を持つキャラクターを演じる作品があったり、初の“バーイベ”を実施出来ます。“バースデーイベント→誕生日の祝い事”つまりここから始まる感っ?! 
その後は『月の岬』に出演するので、月ってことは暦で、1年を12ヶ月に分けてるから、また12だ! などとこじつけて盛り上がっていました。一旦落ち着きます。しかしやはり、12と0いう数字を意識すると、ここが新たなスタートだったり、再出発の場所かもと思ってしまいます。還暦を迎えるのは24年後、その時に暦に還った際、後悔しない1年に出来るように一つひとつ真摯に向き合いたいと思います」

梅田彩佳さん
「今年の目標は、とっても単純だけどとても大切な、よく笑う!です。よく笑えるように、何事もプラス思考に、そしてどんなことにも取り組んで、難しくて困難なことがあると思うけど、その先は必ず笑えてると思うので、よく笑う!です。笑う門には福来るです^_^」

プロフィール

陳内 将(じんない・しょう)
1988年1月16日生まれ、熊本県出身。2008年デビュー。主な出演作として、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ、舞台『東京リベンジャーズ』シリーズ、舞台『紅葉鬼』、東映ムビ×ステ『死神遣いの事件貼』など。本作が、およそ8年ぶりのストレートプレイ主演作となる。

梅田彩佳(うめだ・あやか)
1989年1月3日生まれ、福岡県出身。2006年、第2期AKB48追加メンバーオーディションに合格。その後、総選挙16位になり選抜メンバーへ。チームBキャプテンとなる。NMB48での活動を経て、10年間所属したAKBグループを2016年に卒業。以後、俳優として活躍。主な出演作に、『Endless SHOCK』、ミュージカル『スワンキング』、ミュージカル『天使にラブソングを~シスターアクト』など。

公演情報

unrato#11『月の岬』

日:2024年2月23日(金・祝)~3月3日(日)
場:東京芸術劇場 シアターウエスト
料:一般7,700円 サイドバルコニー席6,600円
  学生4,000円 ※要学生証提示
  (全席指定・税込)
HP:https://ae-on.co.jp/unrato/tsukinomisaki/
問:アイオーン mail:info@ae-on.co.jp

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