キャラメルボックス、今年のクリスマスツアーは23年振りの再演作品 関東大震災から100年の節目に贈る、生と死を見つめ直す物語

キャラメルボックス、今年のクリスマスツアーは23年振りの再演作品 関東大震災から100年の節目に贈る、生と死を見つめ直す物語

 演劇集団キャラメルボックス恒例のクリスマスツアー。一年の締め括りとして楽しみにしているファンも多いことだろう。今年選ばれたのはなんと、劇団としては23年振りの再演となる『クローズ・ユア・アイズ』。主宰の成井豊に、この作品を選んだ理由をまずは尋ねてみた。

成井「物語のキーワードとして関東大震災が出てくるのですが、今年がその100年目ということがきっかけの1 つで、今のメンバーでキャスティングを組んだらいい感じだったので決めました。もともとは1995年に起きた阪神淡路大震災に触発されて書いた作品です。僕たちにとって神戸の街は1990年以降毎年行っていた場所なので、他人事だとは思えなかったんですね」

 23年振りの再演にあたってキャストは全員入れ替わり、初演を経験しているのは岡田さつきだけ。ただそれも別の役を演じるという。今回、物語の中心を務めるのは鍛治本大樹と畑中智行の2人となった。

鍛治本「この作品、いつか再演しないかな?と思っていました。だから再演は嬉しいです。ただ、自分が主演ということにはビックリしています。初演時に香取武三役だった岡田達也さんと僕とでは共通点がないので……。そもそも今回で3回目の主演ですが、未だに今回が初主演だと思われていることがあって(笑)。存在感を出していきたいです」

畑中「初演の時、僕は入団1年目だったので20人もキャストがいたのに、僕1人きりのスタッフでした(笑)。洗濯や雑用に追われて、早く舞台に立ちたくなったことを憶えています。この作品は劇団員の人気が高くて再演したいと思っていたので、23年掛かってしまいましたが、再演をみんなで喜んでいます。自分としても挑戦しがいのある役柄ですから、前向きに頑張ろうと思います」

 激務に追われた成井が体調を崩し、そのため“死”というものを意識した作品が続いた時期の作品だという。

成井「ただ“死”を意識するというより、それを通して生きることを考えたいなと思うんです。今回はキャストが変わるだけでなく、舞台美術がまるっきり変わって、終始物語が船の上で展開されることになっています。評判だったオープニングのダンスシーンはそのままですが、ちょっと構成も変わります。だから23年前とは別の作品だと言ってもいいくらいです」

畑中「お客さんも“やっと観られる”と思っているんじゃないですか。期待値は高いと思います」

(取材・文:渡部晋也 撮影:山本一人(平賀スクエア))

プロフィール

成井 豊(なるい・ゆたか)
脚本家・演出家。早稲田大学第一文学部を卒業後、高校教師を経て1985年に演劇集団キャラメルボックスを旗揚げ。ハートウォーミングなファンタジー作品を標榜し、人気劇団の1つへと成長させる。2019年、キャラメルボックスは活動を休止するが、2021年に再開した。

畑中智行(はたなか・ともゆき)
2000年、演劇集団キャラメルボックスに入団。『光の帝国』、『夏への扉』、『鍵泥棒のメソッド』など同劇団の作品に多数出演。劇団公演では主演を務めることも多く、また外部作品への出演も多数。前回の『クローズ・ユア・アイズ』の公演時に入団したため、前回公演ではスタッフとしてクレジットされている。

鍛治本大樹(かじもと・だいき)
2007年、演劇集団キャラメルボックスへ入団。劇団公演の主な出演作は、『アルジャーノンに花束を』、『時をかける少女』など。外部団体への出演も多く、新進気鋭の演出家の作品や2.5次元舞台でも活躍。精緻さと大胆さを備えた幅の広い表現力が魅力。2014年、『太陽の棘 彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』で初主演を努め、今回で3回目の主演となる。

公演情報

演劇集団キャラメルボックス 2023クリスマスツアー『クローズ・ユア・アイズ』

日:2023年12月20日(水)~25日(月)
  ※他、大阪公演あり
場:サンシャイン劇場
料:一般8,000円 小中高生チケット2,000円
  ※他、席種あり。詳細は公式HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://napposunited.com/closeyoureyes/
問:ナッポスユナイテッド 
  mail:support@napposunited.com

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