「ひらかれた劇場」を目指し、芸術監督・長塚圭史の下で注目すべき作品を送り出しているKAAT神奈川芸術劇場。2023-24シーズン最初のホール公演となるのは、倉持裕作、杉原邦生演出による新作公演
『SHELL』。同じ人間でありながら実はいくつもの“顔”を持つ、そんな世界が存在したとして、それを見抜くことができる人間がいたらどう反応するか。そんなことをテーマにした物語。中心となるのは高校生を中心とした若者たち。そしていくつもの“顔”を持って生きている女子高生・希穂を、ドラマや映画での個性的な演技が光る石井杏奈が演じる。最近は大人の風格を感じさせるようになってきた石井だが、今作では制服に身を包み女子高生を演じる。
「おそらくこれが最後の高校生じゃないですか?(笑) 昔は等身大で演じようと思っていたけ
ど、今はあの頃を振り返る作業をしないといけないですね。当時のキャピキャピ感や、青春を感じているキラキラした瞳め など。大人になるに従って忘れている部分があると思いますから」
これまで映像作品への出演が多く、舞台はまだまだ始めたばかりで苦手意識もあったそうだが、飛び込んでみると意外な成果に気がついたという。
「ずっと映像ばかりで舞台は素人同然ですが、自分が芝居を好きなことは誰にも負けません。まっさらな自分に色をつけてもらいたいと思います。2年前の初舞台で新しい発見がいっぱいありました。それを映像に持っていくととても良くて、自分の成長を感じることができました。今回もそれを期待しています」
もちろん倉持作品も初めて。すでに目を通したと言う台本への印象は。
「1回では理解できなくて、何度も読みました。私は今までファンタジーの要素がないものを演じることが多く、『SHELL』の様な不思議な世界観は初体験です。あと女子高生同士の会話が凄くリアルですね(笑)。いつも何人かで集まって、賛同したり反発したりして、自分の気持ちをぶつけ合い、それでも答えが出ない……青春ってこういう日常だよなと」
様々な個性がぶつかり合う舞台の上で、石井杏奈がどんな成長を遂げるのか。そこに大きな期待を寄せたい。
「舞台はナマモノなのでプレッシャーもありますが、私もこの2年で公私共に学んだことがたくさんありますし、芝居へのアプローチの方法や深さも変わってきていると思います。ぜひそこも観ていただきたいですね」
(取材・文:渡部晋也 撮影:間野真由美 ヘアメイク:八戸亜季子 スタイリスト:二宮ちえ)
プロフィール
石井杏奈(いしい・あんな)
1998年生まれ。2012年より女優としての活動をスタートし、様々な映画・ドラマ・CM に出演する。2015年には第58回ブルーリボン賞 新人賞を受賞。近年の主な出演作に、映画『ホムンクルス』、『砕け散るところを見せてあげる』、ドラマ『シェフは名探偵』、『金魚妻』、『悪魔はそこに居る』、『ガチ恋粘着獣』、『彼女たちの犯罪』、ミュージカル『リトル× ゾンビガール』、タクシーアプリ「GO」、アサヒ飲料「和紅茶」など。
衣装: ワンピース 53,900 円(Y.M.Walts / MARVIN&SONS tel.03-6276-9433) イヤリング 24,200円 リング30,800円(共にLana Swans / SUSU PRESS tel.03-6821-7739) ビーズベスト(スタイリスト私物)
公演情報
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『SHELL』
日:2023年11月11日(土)~26日(日)
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉
料:S席6,800円 A席4,800円
24歳以下3,400円 高校生以下1,000円
※他、各種割引あり。詳細は公演HPにて
(全席指定・税込)
HP:https://www.kaat.jp/d/shell
問:チケットかながわ
tel.0570-015-415(10:00~18:00)