13年ぶりの舞台出演で、アーサー・ミラーの社会派ドラマに挑む! 「これは思し召しだと感じた」

13年ぶりの舞台出演で、アーサー・ミラーの社会派ドラマに挑む! 「これは思し召しだと感じた」

 アメリカの劇作家アーサー・ミラーによる『橋からの眺め』。物語の舞台はニューヨークの労働者階級が住む波止場。主人公・エディは、妻と17歳になる最愛の姪との3人暮らし。違法移民の従兄弟を受け入れたことをきっかけに、一家に巻き起こる悲劇を描いた作品だ。主演は『ジャンヌ・ダルク』以来、実に13年ぶりの舞台出演となる伊藤英明。

 「これまで演技はほぼ独学というか、現場で学んできたんです。50歳を目前にして、もっとちゃんと芝居を学びたい、もっといい俳優になりたいと思って、敢えて“苦手なこと”に挑戦しようと思っていたんですね。そんなときにこの舞台出演のお話をいただいて。あぁ、これは思し召しだと感じました」

 伊藤が舞台を“苦手”と思ったのには理由がある。2004年、初舞台の『MIDSUMMER CAROL ガマ王子
vs ザリガニ魔人』の初日、頭が真っ白になり、セリフが飛んでしまった。そんな苦い経験から、以来舞台が怖くなってしまったそう。

 「稽古は好きなんです。毎日のルーティンができるし、ああでもないこうでもないと喋る時間も好きだから。でも本番はお客さんの反応を必要以上に気にしてしまうし、緊張してしまいがちなんです」

 伊藤が演じるのは、イタリア系アメリカ人の港湾労働者で、“男らしさ”に固執し、一家に悲劇をもたらす役どころ。「まだまだ役づくりはこれから」としながらも、セリフの覚え方や緊張のほぐし方など、俳優のセオリーは俳優仲間たちに聞いて研究している様子。

 「アンセル・エルゴートに『緊張することはダメではない。上手く活かせばもっといいパフォーマンスができることがある。その訓練として舞台に立つことは、俳優としてとてもプラスになった』と聞いて。その言葉を信じたいと思います」

 避けてきた舞台に挑もうと思った伊藤は、その心境の変化と次なる野望をこう語る。

 「若い頃は自分のことばかり。でもこの年齢になると、人が喜んでくれることが嬉しくなってくるんです。つまり俳優として誰かの人生に触れたり、舞台を観に来てくれてた人たちの人生が少しでもいい方向に転がってくれたりしたらいいなと思えるようになった。
 芝居ができるぐらいの英語力を身につけて、世界で活躍できる俳優になりたいですね。僕の俳優人生にとってきっと転機になる作品です。素晴らしいものにしますので、ぜひ観に来てください」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:間野真由美 ヘアメイク:今野富紀子 スタイリスト:根岸 豪)

プロフィール

伊藤英明(いとう・ひであき)
1975年8月3日生まれ、岐阜県出身。1994年、デビュー。約2年間の芸能活動休止を経て、1997年、ドラマ『デッサン』で俳優として活動を再開。2000年、『YASH- 夜叉-』で連続ドラマに初主演。映画『ブリスター!』で映画初主演。2004 年、映画『海猿 ウミザル』が公開。翌年には、『海猿 UMIZARU EVOLUTION』として連続ドラマ化。2014 年、映画『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』で、第69 回毎日映画コンクール 男優助演賞、第38回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞を受賞。9 月2 日より、ぎふチャン「岐阜英明」(毎週土曜14:00 〜)が放送開始。

公演情報

PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』

日:2023年9月2日(土)~24日(日) 
場:東京芸術劇場 プレイハウス
料:S席11,000円 A席9,000円
  ※他、各種割引あり。詳細は団体HPにて
  (全席指定・税込)
  ※未就学児入場不可
HP:https://stage.parco.jp/program/aviewfromthebridge/
問:【チケットお問合せ窓口】サンライズプロモーション東京 tel.0570-00-3337(平日12:00~15:00)
  【公演お問合せ窓口】パルコステージ tel.03-3477-5858

Advertisement

インタビューカテゴリの最新記事