シーボルト来航200年、ウィーン万博から150周年。節目の年に物語をリニューアル。新たなるシーボルト父子の物語が紐解かれる

 幕末に訪日し、海外に日本を紹介したフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトと、明治になり外交官として活躍した2人の息子、アレキサンデルとハインリッヒ。そのシーボルト父子の物語『シーボルト父子伝~蒼い目のサムライ~』も再演を重ねてもう4年目。主演で脚本・演出も務める鳳恵弥の主要作品といえる実績を上げているが、今回は大シーボルトの来航から200年。シーボルト兄弟が大活躍したウィーン万博から150周年という節目でもあることから、新作書き下ろし公演となる。

鳳「日本が政府として初めて海外の博覧会に参加したウィーン万博は、シーボルト兄弟の功績のひとつ。今回はそれを物語の中心とします。ですから物語も役柄も前作とは変わり、例えばナウマン教授を演じて貰った河合さんに、佐野常民役をお願いします。また大シーボルトの辰巳琢郎さんは続けてお願いしますが、私の兄、アレキサンデルに山崎裕太さん。ハインリッヒの妻であり、物語の語り部として重要な役柄となる岩本花役(現代)に国生さゆりさんが初参加して下さいます」

 そこでここに名前の挙がったキャストに抱負を伺った。

河合「ウィーン万博の副総裁を務めたり、シーボルト兄弟の助けを得て日本赤十字社を作ったりと佐野さんの功績は大きいですね。今回も出番とセリフは控えめにと鳳さんにお願いしていますが、今度もギターを抱えて出てくるらしいですよ(笑)」

国生「舞台は若い頃に数本出ただけですから、今回演じる中で本格的に舞台の魅力を知ることになるかなと思います。若い頃とは感じ方が変わっているでしょうから、あまりプレッシャーに感じずに、楽しめたら良いなと思っています。私は子供の頃に佐世保にいて、小学校の遠足で長崎市内にも行っているので、シーボルトさんの名前は知っていましたし、親近感があります」

山崎「後世に残る作品はチームワークも大事だと思うので、主演の鳳さんや辰巳さん、ここまで共にやってこられたスタッフの皆様と歩幅を合わせながらこれまでより良い作品になるように努めて参ります」

辰巳「昨年初めて出演して、今まで知らなかったシーボルト親子の大きな業績に驚きました。お客様からも同じような感想をたくさん聞き、このお芝居に関われてよかったと思いました。今年は来日200年ですから、さらに多くの皆さんにそれらの業績を知っていただきたい。彼らに思いをはせ、心を込めて演
じたいと思います」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

鳳 恵弥(おおとり・えみ)
東京都出身。舞台やモデルとして活躍の後、★☆北区つかこうへい劇団に入団。女優としてドラマや映画、舞台と本格的に活動を展開する。2019年、演劇ユニットACTOR’S TRIBE ZIPANGを旗揚げ、演出・脚本も手掛けている。2022年、劇場都市TOKYO演劇祭にて最優秀主演俳優賞を受賞。 

辰巳琢郎(たつみ・たくろう)
大阪府出身。京都大学在学中に劇団そとばこまちを主宰。大学卒業と同時にNHK 連続テレビ小説『ロマンス』でヒロインの相手役に抜擢。その後、ドラマ・映画・舞台で多彩な活躍を見せる。

パッパラー河合(ぱっぱらー・かわい)
千葉県出身。スーパースランプから爆風スランプに参加し、ギタリストとして活躍。さらに楽曲提供や舞台音楽を手掛ける。また、映画やドラマにも出演。

国生さゆり(こくしょう・さゆり)
鹿児島県出身。1985年、おニャン子クラブのメンバーとしてデビュー。卒業後は、主に女優としての活動を展開。数多くのドラマや映画に出演する。2020年からは小説の執筆も手掛ける。 

山崎裕太(やまざき・ゆうた)
秋田県出身。子役として活躍し、ドラマや映画に多数出演。2001 年、劇団☆新感線『大江戸ロケット』大阪公演の出演で、同年ゴールデン・アロー賞 演劇新人賞を受賞。以後、舞台俳優としても活躍している。

公演情報

ACTOR’S TRIBE ZIPANGプロデュース『シーボルト父子伝 ~蒼い目のサムライ~ 新たなる船出』

日:2023年8月31日(木)~9月3日(日)
  ※他、長崎公演あり
場:博品館劇場
料:S席10,000円
  A席8,000円(全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/siebold_fushi
問:しぃぼるとぷろだくしょん
  tel.03-3951-7051

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