1949年創立以来、半世紀以上にわたって児童演劇を上演し続けてきた劇団東少。7月から開幕する2023年 夏休みファミリー劇場では、ミュージカル『アルプスの少女ハイジ』が上演される。
逆境にもめげず、どんな環境に置かれても対応できる素直さを持ったハイジが、たくさんの人との出会いを通して、愛と友情を築いていく本作。ハイジ役には乃木坂46を卒業後、数々の舞台やドラマに出演する伊藤寧々。そして、セバスチャン役を2004年から劇団東少に参加する正木慎也が演じる。伊藤と正木に舞台への意気込みを聞いた。
―――まず始めに、出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
伊藤「ハイジとして出演できると聞いたときは、とても嬉しかったです。私は身長が低いので、少女役ができるというのが長所でもあり、個性でもあると思っています。今回は、その個性が活きると思ったので、それも嬉しく思いました」
正木「僕は、劇団東少さんが4年前にこの作品を上演したときもセバスチャンをやらさせていただいているのですが、年齢的にもちょうど役柄に合うようになってきたと思います。
この物語は、アニメや児童文学などさまざまな形で皆さんに知られていますが、セバスチャンはそのメディアによって雰囲気が全然違うんですよ。なので、あまり原作にとらわれ過ぎずに、僕なりのセバスチャンを演じたいと思います。
今回、三越劇場から地方公演へと続きますが、コロナ禍もあって、僕が三越劇場の舞台に立つのは4年ぶりです。それもすごく嬉しいです」
―――それぞれの役を演じる上で意識していることは?
伊藤「ハイジは天真爛漫さがポイントだと思うので、稽古場ではどのくらいのテンション感を出せば子どもだと感じてもらえるのかをしっかりと研究したいと思います」
正木「伊藤さんがやりやすいように演じたらいいのかなと思いますよ。
僕たち周りの人間は、主役のハイジとクララが輝けるように歯車になり、お客さんが喜んでくれるようなセバスチャンになればと思うので。セバスチャン役については、『僕が考えたのはこんなセバスチャンだ』と演じるよりも、みんなが楽しめて、みんなが演じやすいように演じていければと思います」
―――今回、初共演となるお二人ですが、初めて会ったときの印象は?
正木「僕にとっては、(伊藤は)娘と変わらないくらいの年齢なんですよ。なので、そんな彼女を支える立場で出演できるというのは、すごくやりがいがあることで楽しみですし、気合いが入ります」
伊藤「ビジュアル撮影でご一緒したのが初めてでしたが、スタジオに入ってこられた瞬間からダンディーでかっこよくて、オーラがあって素敵な方だと思いました。今、お話をさせていただいていてもとても頼りになる方だと改めて思いました」
―――この作品は親子で観に来られる方も多いと思いますが、お子さんたちにこの作品を通して、どんなことを伝えたいですか?
伊藤「純粋に楽しんでいただけたらと思います。私も昨年末に東少さんのミュージカル『シンデレラ』を観劇させていただいたのですが、会場に来ていた女の子たちがシンデレラのような可愛らしいお洋服を着て、キラキラした目で舞台を観ている姿を見て、子どもたちに夢を与えられる作品なんだなと実感しました。私もそんな存在になれたらいいなと思います」
正木「ハイジはクララのために、余計なお節介だというくらいお世話を焼いていきます。そして、それが最終的にはみんなを笑顔にしていきます。人に無関心な人が多い世の中だからこそ、この物語が子どもたちに少しでも響いたらと思います。助け合っていく素晴らしさを少しでも感じていただけたらうれしいです」
―――一般的なミュージカルは観客のほとんどが大人だと思いますが、お子さんが多いことで感じる違いはありますか?
正木「あります。三越劇場は、比較的、観劇に慣れたお子さんが多いように思いますが、特に地方公演では、子どもたちはみんな自由。面白ければ大爆笑しますし、席を立ったり、話し出す子たちもたくさんいます。
きっと、物語に入り込んでくれているからこそ、声が出るんだと思うので、楽しんでくれているのがわかってうれしいです。あまり気にせずに子連れで来てもらいたいですね」
伊藤「私は初めて参加させていただくので、今のお話を聞いてより楽しみになりました。確かに観に行かせていただいたときも、お子さんがいるだけで劇場の空気も違うものになっているのを感じたので、独特の空気感なのかなと思います。
演じる私たちにはより集中力が求められると思うので、気を抜かずに頑張りながらも、その空気も楽しめたらと思います」
―――改めて本作の見どころを教えてください。
伊藤「この作品を知っている方は多いと思いますが、どんなストーリーなのかを細かく知っている人は意外と多くはないのかなと思います。なので、友情と家族愛を描いたこの物語を純粋に楽しんでもらえたらと思います。
私は台本を読んで、ハイジとおじいさんの関係に胸が締め付けられました。その2人の関係も注目してもらいたいですし、クララとハイジの友情も丁寧に伝えていきたいと思います」
正木「何回演じても感動する作品です。これまでも何度も上演されている作品ですので、きっとこれまでに観たことがあるという方もいらっしゃると思います。ですが、今回は、伊藤さんを含め、新しいキャストがたくさん出演されることもあり、きっと作品の雰囲気も変わると思いますので、新鮮に感じていただけると思います。
東少さんには“涙と笑いと感動を”というキャッチフレーズがあるのですが、それをそのまま表したかのような作品なので、誰でも楽しんでいただけると思います。この作品には悪人が出てこないんですよ。ハイジと出会うことで、みんなが優しくなれる。ハイジが固定概念を覆して、みんなの気持ちをほぐしていく。そんな作品になっているので、ぜひたくさんの人に観ていただきたいです」
(取材・文&撮影:嶋田真己)
プロフィール
伊藤寧々(いとう・ねね)
1995年12月12日生まれ、岐阜県出身。2011年乃木坂46第1期生オーディションに合格し、活動を開始。2014年に卒業以降、現在は舞台やドラマを中心にバラエティーにも出演中。FC岐阜応援マネージャー2015シーズンから継続中。主な作品に、劇場版『BAD BOYS J 最後に守るもの』、『本当にあった怖い話2017』、TVドラマ『コウノドリ』第2シリーズなど。
正木慎也(まさき・しんや)
1990年にお祭り忍者でCDデビュー。その年の各新人賞を取り、同年のNHK紅白歌合戦にも出場している。バラエティー・歌番組や橋田壽賀子ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』等に出演。1990年代には、数多くの舞台でも活躍。その後、2000年より独立し、歌手活動や舞台活動をメインに 活動している。劇団東少には2004年より参加。『人魚姫』や『白雪姫』の王子役、ミュージカル『日本昔ばなし~こぶとりじいさん しょじょ寺の狸ばやし・雪女~』では雪女に恋をする巳之吉役で出演。今年の11月には六行会ホールでの舞台も控えている。
公演情報
2023年 夏休みファミリー劇場 劇団東少公演
ミュージカル『アルプスの少女ハイジ』
日:2023年7月22日(土)~25日(火)
※他、地方公演あり
場:三越劇場
料:プレミアム席[前方席・特典付]5,500円
4,300円 ※大人・子ども同一料金
(全席指定・税込)
HP:https://www.tohshou.jp
問:劇団東少
tel.03-6265-7070(平日10:00~17:30)