太宰治が初めて書き下ろした長編小説を、五戸真理枝が戯曲化・演出! 「自分が“やらなければ”という使命感を感じた」

太宰治が初めて書き下ろした長編小説を、五戸真理枝が戯曲化・演出! 「自分が“やらなければ”という使命感を感じた」

 32歳の太宰治が初めて書き下ろした長編小説『新ハムレット』は、シェイクスピアの『ハムレット』を翻案したものだった。その“怪作”がPARCO劇場開場50周年記念シリーズとして、気鋭の演出家・五戸真理枝が戯曲と演出を手掛け上演される。

 「僕はあれこれ考えるよりも、自分の嗅覚を信じていたいんです。このお話をいただいたときも、自分の中で“やらない”という選択肢はなかったし、自分が“やらなければいけない”という使命感のようなものさえ感じました。何事もタイミングって大事じゃないですか。自分の前に舞い降りたものはキャッチしていきたいんです」

 そう話すのは、ハムレット役の木村達成。数々の話題作に出演してきた木村だが、特にここ数年、役や作品との向き合い方が変化したようだ。

 「正直、役については何も考えていないんですよ。いろいろ考えて背負い過ぎてしまうと、リアリティや自分の持つエネルギーを発散できないような気がしていて。数年後、この考えは変わっているかもしれませんが、今の自分ができることに常に挑戦し続けたいので、役作りはあまりしないでいきたいんです」

 木村自身、いつもフラットでいたいということか。

 「恥ずかしい話、太宰治の作品を読んだことがなく、太宰に対するイメージも人と比べて凄く薄いと思います」

 過去に出演経験もあるシェイクスピアについても「作品のすべてを知っているわけではないですが、ポエミーというか、恥ずかしい言葉がたくさんあるイメージです」と、飾らずに告白。

 「完璧な人間でいたくないんです。どこかに脆さや危うさがあって、いつもギリギリの状態でいたい。それが結果的に人間的な魅力に繋がると思うんですよね」

 独自の哲学を語る木村。池田成志・松下由樹・平田満らベテラン俳優との共演についてはこう話す。

 「先輩たちも同じ人間なのか確認したいですね(笑)。『私だってキツイのよ!』とか、『全然分からないよ、俺も!』と言ってくださる先輩たちだったら、僕は嬉しいな」

 最後に観客へのメッセージを求めると――。

 「僕がこのメンバーに囲まれてPARCO劇場に立っている姿、観たくないですか? PARCO劇場が開場50周年であることも、このタイミングでこの作品に出演していることも奇跡。ぜひ舞台上の奇跡を、劇場で、ご自分の目で確かめに来てください」

(取材・文:五月女菜穂 撮影:佐藤雄哉(平賀スクエア))

プロフィール

木村達成(きむら・たつなり)
1993年12月8日生まれ、東京都出身。ミュージカル
『テニスの王子様』2ndシーズンでデビュー。ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』影山飛雄役で注目を集める。以降、ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』、『四月は君の嘘』、『マチルダ』など、話題作に出演。近年は、音楽劇『銀河鉄道の夜2020』、『SLAPSTICKS』、『血の婚礼』、『管理人/THE CARETAKER』など、ストレートプレイにも挑戦している。舞台出演のほか、ドラマ『オールドファッションカップケーキ』などに出演。2022年12月には、『木村達成 10周年コンサート -Alphabet Knee Attack-』を開催した。

公演情報

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
『新ハムレット』

日:2023年6月6日(火)~25日(日)
  ※他、福岡・大阪公演あり
場:PARCO劇場
料:11,000円
  ※他、割引あり。詳細は団体HPにて
  (全席指定・税込)
  ※未就学児入場不可
HP:https://stage.parco.jp/program/shin-hamlet
問:パルコステージ
  tel.03-3477-5858(時間短縮営業中)

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