佐藤B作、佐渡稔ら5人の男たちが集まり、1973年に結成された劇団東京ヴォードヴィルショー。創立50周年を迎える今年、記念公演『その場しのぎの男たち』を上演する。本作は三谷幸喜が劇団のために書き下ろし、1992年に初演を迎えた同団の代表作であり人気作だ。
佐藤「50年劇団をやってきて一番好きな芝居です。喜劇でありながら社会性もあるし、一人ひとりの台詞が本当に面白い。三谷くんがまだ無名の頃だったけど、凄いですよ。もう完成してたから。ただ台本は遅かった(笑)」
佐渡「今日から稽古となっても台本がない。FAXが1枚送られてきて、その続きが1時間経っても2時間経ってもこないから、今日は解散!となって(笑)」
佐藤「面白い喜劇はやっぱり構想に時間が掛かる。政治家の世界がきっちり書かれていて、それでいて人間とはこういうものだという深い話になっている。喜劇を通して世の中を照らしていて、だからどの時代にも合う」
舞台は明治24年。来日中のロシア皇太子が大津で斬りつけられる事件が発生し、内閣の面々は善後策を講じるが――。史実に残る「大津事件」を題材に、佐藤は陸奥宗光農商務大臣を、佐渡は松方正義総理を演じる。
佐藤「陸奥は切れ者で、危機をどう乗り越えるかアイデアを次々出すが、それが全部裏目に出てしまうという(笑)」
佐渡「片や松方という男は知恵がない。だけど実在の人物は凄く優秀な人なんですよ。台本を読みながら可笑しくて笑っちゃう。そこで嬉しくなっちゃって、ついついやりすぎてしまいがち」
佐藤「だけど笑いを取りにいってもダメだし、笑ってくれるだろうと余裕で臨むのもダメ。必死で取り組まないといけない。だから疲れるんだよね(笑)」
また、本公演の上演と劇団の存続に向け、クラウドファンディングを実施。反響は予想以上で、2ヶ月で目標額を達成した。
佐藤「劇団を続けてこれたのも皆さんのお力添えのお陰です。結成時は50年後なんて想像もしなかった。客は来ないし、来ても誰も笑わないし(笑)」
佐渡「お客が2人の時もあって。やっぱり全然笑わなかった(笑)」
佐藤「50周年でこの大好きな芝居ができるのは幸せです。幸せをお裾分けするという意味でも、全力で取り組みたいと思います」
佐渡「今回は10年ぶりの再演で、10歳年を取った分体力が保つか心配だけど(笑)。年を重ねてますます良くなったと言われるよう、頑張りたいと思います」
(取材・文:小野寺悦子 撮影:友澤綾乃)
佐藤B作さん
「雨音が奏でるメロディーを聴きながらお酒を頂くと良い睡眠が取れます。その日その日で、雨音は全く異なったメロディーを奏でます。今日の雨音は演歌だな、今日はジャズっぽいなと……。これをつまみにお酒を頂くと、すぐに眠くなり良い睡眠が取れます。梅雨時は、一年の疲れを取るために良く寝ることです!!」
佐渡 稔さん
「梅雨は嫌いではないです。何故なら良い歌がいっぱいあります。聴くとハッピーになります。①悲しき雨音 ②黄昏のビギン ③雨に唄えば 雨が降ると傘を持って長靴を履いて真似して踊りました」
※悲しき雨音=1962年に発売されたザ・カスケーズの楽曲
※雨に唄えば=ジーン・ケリー主演のミュージカル映画
プロフィール
佐藤B作(さとう・びーさく)
1949年2月13日生まれ、福島県出身。1973年、東京ヴォードヴィルショーを結成。舞台のほか、テレビ・映画と幅広く活躍。主な出演に、舞台『サンシャイン・ボーイズ』、『ザ・空気 ver.3』、『終われない男たち』、映画『マルサの女』、『ラヂオの時間』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』など。
佐渡 稔(さわたり・みのる)
1949年5月22日生まれ、新潟県出身。1973年、東京ヴォードヴィルショーを結成。主な出演に、舞台『終われない男たち』、映画『HERO』、『相棒-劇場版Ⅱ-』、『THE 有頂天ホテル』、NHK大河ドラマ『八重の桜』、『新選組!』など。
公演情報
劇団東京ヴォードヴィルショー創立50周年記念公演『その場しのぎの男たち』
日:2023年7月21日(金)~30日(日)
場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
料:7,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.vaudeville-show.com/
問:劇団東京ヴォードヴィルショー
tel.03-3227-8371