ファン待望の『大正浪漫探偵譚』シリーズ最新作は、東堂解の“始まりの物語” 10年の歳月を経て、新たな扉を開けた本作を見届けてほしい

 和製シャーロック・ホームズ東堂解が不可解な難事件に挑む『大正浪漫探偵譚』シリーズ。4年ぶりの書き下ろし新作が、7月に上演決定。脚本・演出の鈴木茉美に、新作について話を聞いた。

鈴木「今回は、東堂解が探偵を始めたばかりの頃の話を描きます。いつか歌をテーマにやりたいという思いがあり、『歌をやるなら、あまね!』とオファーしました。歌の上手さはもちろん、歌での表現や歌っているときのオーラが、“謎の女”役にぴったりだなと思ったんです」

 鈴木のラブコールを受けた澄華は、表情を引き締めた。

澄華「自分では、ダンスやお芝居の表現が強みかなと思っていたので、歌う役で声をかけていただき驚きました。歌はメンタルがモノをいうと思うので(笑)。練習を重ね、私にしかできない歌での見せ方を目指したいです」

 本シリーズに1作目から出演している栗田学武は、作品の魅力を次のように語る。

栗田「謎解きや伏線回収の巧みさ、展開の早さも好きなのですが、茉美さんの書くセリフには、そのときの自分に刺さる言葉がたくさんあるんです。それは茉美さんがキャラクターやキャラ同士のやりとりを、とても丁寧に書いているからだと思います」

 稽古はこれからだが、すでに個々のモチベーションは高い。

栗田「僕はこれまで佐々木役を演じてきましたが、今回は新しい役柄を演じます。それが非常に楽しみですね! また東堂役を、昨年入団した劇団員の竹中凌平が務めます。“ろまたん”シリーズへの出演が6作目となる僕は、作品をよく知る役者として、竹中の東堂、そして物語を支える力になれたらと思います」

澄華「茉美さんの演出は緻密で学びが多く、自分を成長させていくことのできる現場です。今回の台本を読み、演じる役にとても共感できました。『茉美さん、どこかで私のことを見ていた?』と思うぐらい、私自身が役と同じような言動をしていた時期があったんです。当時の記憶を引き出して演じれば、良いモノができる気がしています」

鈴木「東堂解は、私の様々な想いが詰まった特別なキャラクター。シリーズ1作目から10年、私自身も色々な経験をし、自分の中で“完璧”だった東堂に、人間味が出てきたなと感じています。今であれば、未熟な頃の東堂に向き合える。そう思ったから、今回の物語を書こうと思いました。信頼できるキャスト、スタッフと新作を作っていけることがありがたく、楽しみです」

(取材・文:木下千寿 撮影:岩田えり)

梅雨を楽しく乗り越えるあなたなりの工夫はありますか?

澄華あまねさん
「『雨が多く降る分、虹も沢山見れるから梅雨も悪くないよね』と友達に言われてから、私も梅雨の時期が少し楽しくなりました。あとは湿度が高いので、生きてるだけで保湿されてる!!と思い込んで喜ぶようにしています(笑)」

栗田学武さん
「梅雨自体は本当に好きになれないんですが(笑)、6月は誕生月なんです! なので梅雨を楽しく乗り越えるためには“誕生日祝いをされること”が必要です(笑)。とは言いつつ、6月は『大正浪漫探偵譚』の稽古の最中ですが、稽古場でサプライズ誕生日祝いをされることが苦手で。『お祝いあるのかな?』、『うわー誕生日なの忘れてたー! みたいなリアクションした方がいいのかな?』とか色々考えてしまうんです。ただ、去年の劇団公演の時もちょうど稽古中でしたが、誕生日の日は僕の稽古は休みでしたね。ある意味サプライズでした」

鈴木茉美さん
「雨が降った日は、いつもと違うことをしてもいい日にしています。してもいいというよりは、変化を加えてみるに近いかな。いつもと違うお菓子を買ってみたり、入ったことない店に入ってみたり、たまにはデリバリーでご飯を注文したり、今までと違う入浴剤を使ってみたり。雨が降ると気持ちも変化しますよね。私は鬱々したりします。天気も心も日によって様々、だからこそ心にもいつもと少しだけ違うことを加えて、プラマイゼロより少しプラスになるようにして心を整えています。そこから新しい発見があったりして、自分が成長することにも。なので梅雨の時期は、『また今日も雨だ、よし今日は高級チョコでも買ってやるぞ』、『今日も雨だ、窓辺に座って珈琲飲んで憂鬱気分に浸ってみるか』と。変化の毎日です」

プロフィール

澄華あまね(すみか・あまね)
東京都出身。2016年、宝塚歌劇団102期生として入団。2021年秋、星組公演『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』を以て退団。2022年より舞台俳優として小劇場を中心に活動。劇団アレン座の舞台は、第8回公演『アジール街に集う子たち』に出演。

栗田学武(くりた・まなぶ)
1985年生まれ、大阪府出身。劇団アレン座所属。方南ぐみ企画朗読舞台『逢いたくて』のほか、『大正浪漫探偵譚』シリーズ、『JYUKAI-DEN』シリーズなど、人気作に出演。映画作品への出演も重ねている。

鈴木茉美(すずき・まみ)
1984年生まれ、静岡県出身。劇団アレン座の座付き演出・脚本家。人間心理の深層を追究して生み出される濃やかなキャラクター造形やセリフの数々で、多くの観客の心を掴む。同時に映画にも挑戦。共同脚本を務めた話題作『遠いところ』が、7月7日より全国の映画館で公開。日本演出者協会会員。

公演情報

舞台『大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-』

日:2023年7月5日(水)~12日(水)
場:草月ホール
料:プレミアム前方シート9,000円
  一般指定席7,500円(全席指定・税込)
HP:http://romatan.com/romatan2023/
問:大正浪漫探偵譚製作委員会
  mail:info@romatan.com

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