女性の心の機微の描写に定評があるサヨナラワーク。その新作公演『マザー4』が、12月に上演される。この作品は“ひとつの謎”を中心に展開されるミステリな舞台とのことだが、今回出演する遠藤千織、彩原双葉、蒼木鞠子、集貝はな、舞園れいなに話を聞いた。
―――舞台経験、サヨナラワークとの関わり方もそれぞれですが、出演が決まった時の心境は?
遠藤「私は双葉さんが出演されていた、サヨナラワーク#4『眠れぬ姫は夢を見る』を観劇させていただきました。脚本の良さ、少人数だからこそ出来るお芝居、プロジェクションマッピングの綺麗さなどに惹かれて、私もサヨナラワークに出演してみたいと思っていたので、今回機会をいただけて嬉しいです」
彩原「前回に引き続きお話をいただきました。舞台上に4人しかおらず、プレッシャーではあるのですが、精一杯挑戦させていただきたいという気持ちです」
蒼木「私は、演出の深寅さんの舞台に過去何度か出演させていただいています。なので長いお付き合いになりますね。サヨナラワークさんの脚本は女の子の心情を繊細に描くのが上手で、いつも『いいなぁ』と思っているので、今回出演させていただくことになり嬉しく思っています。実は3年前から、役者をほぼ引退していて、今回も制作として関わる予定だったのですが、コメディ担当として出演してほしいとお話をいただいて(笑)。久しぶりに舞台に上がらせていただくことになりました。」
集貝「普段は声優として活動しているので、本格的な舞台出演は今回が初めてになります。読み合わせの時点で、声優の芝居と舞台で活躍する皆さんのお芝居ってこんなに違うんだ、と気づきが多くて、色々なことを吸収させていただけたらと思っています」
舞園「今作には以前お世話になったスタッフさんにご紹介いただき、参加出来ることになりました。私は普段、アイドルとしても活動しつつ、“舞園れいな”として舞台にも出演していて、こうしてご縁が繋がって次のお仕事がいただけることというのはとてもありがたいです。期待に応えられるように頑張りたいと思います」
―――今までにガールズ演劇の経験は? どんなところが魅力だと思いますか?
遠藤「人数が多いガールズ演劇の経験はあるのですが、今作は舞台上に4人だけということで、ある意味贅沢な空間です。華やかさだけでなく、繊細さだったり、丁寧なやり取りだったりを見せていけたらと思います」
彩原「SFチックな舞台ではあるのですが、前作の『眠れぬ姫は夢を見る』とはまた違った雰囲気のガールズ演劇だなと思います。出演者が4人しかいない分、出番は沢山いただけるのですが、お客様に飽きられてしまわないように、楽しませられるように、頑張らなければです」
蒼木「ガールズ演劇ってひとつのジャンルになりつつありますが、女性だけの方が描きやすい、掘り下げやすいテーマってあると思うんですよね。よりデリケートな部分に踏み込めるというか……。そういうところがガールズ演劇、そしてサヨナラワークの魅力かなと思います。」
集貝「ガールズ演劇というワードを初めて知りました……! 蒼木さんが仰った通り、同性しかいないからこそ、同性の話を深く掘り下げられるというのはその通りだと思います。特に今作の『マザー4』は女性だから思うこと、苦悩することが沢山描かれるので、自分に重ねて考えてる女性のお客様も多いのではないかと……。そして逆に男性の方がこの作品を観てどんな感想を抱くのかも興味がありますね」
舞園「以前に出た舞台が、逆に男性がメインで女性はごく少人数という作品だったので、今回のような女性だけの現場がちょっと新鮮でワクワクしています。私が演じる役は感情の起伏が凄く大きい役ではないのですが、だからこそ、どう表現出来るかな……というのも今、考えているところです」
―――ご自身の役どころについてはいかがでしょうか?
集貝「普段声優として活動しているが故になのですが、自分の実年齢よりも大分幼いキャラクターの声を担当させていただくことも多くあるんです。なので、今回は自分の実年齢に近い役をやらせていただくということで、大人っぽくやったらいいのか? いやでも等身大でいいのか?と悩みながら台本と向き合っています」
―――集貝さんと舞園さんはWキャストなんですよね。
舞園「そうなんです。読み合わせで先に集貝さんのお芝居を見て、いい意味で自分とは解釈が違う部分など『あ、なるほど……』と刺激を受けました」
―――もともとは初演キャストに“当て書き”をして生まれた役とのことですが、ご自身と役の共通点や、台本との向き合い方などいかがでしょうか。
遠藤「自分の中では意外な役をいただいたなと思っています。こういう役もいただけるんだ、という驚きと嬉しさがありましたね。自分の中でも挑戦になると思います」
彩原「当たり前なんですけど、家で台本を読んでいるのと、皆で読み合わせるのでは全然感覚が違って……皆でやるからこそ、より気持ちがぐちゃぐちゃになって、重たいものがずしんと心にのしかかってきました」
蒼木「私は基本的には明るくて、なんならちょっとやかましい役です(笑)。感情のジェットコースターが激しくて! 私にも似ているところはあると(演出の深寅さんには)言っていただいています。自分では『そうかな?』と思うので、役と向き合いながら、自分自身とも向き合っていく機会になりそうです」
―――最後に、お客様に一言お願いします!
舞園「女性は共感しやすい、そして男性にもぜひ考えてほしい内容になっています。何かメッセージを受け取って帰っていただける舞台になればいいなと思って頑張ります」
集貝「私のことを観に来てくださるファンの方は、朗読劇も初めて!という方が多かったので、もしかしたら“初の舞台観劇”という方もいらっしゃるんじゃないかなと思っています。ぜひご来場いただいて、舞台もいいな、楽しいなと思っていただけたら嬉しいですし、一生懸命稽古しますので、共演者の皆様、スタッフの皆様もどうかよろしくお願いします!という気持ちです(笑)。Wキャストということで、きっと違う楽しさがあるかと思います。ぜひ両チームとも観てくださいね」
蒼木「派手ではないはずなのに、いつの間にか最後まで見入ってしまう、そんな吸引力を持った作品だと思います。そんな不思議な感覚を味わいたい方に、ぜひ観ていただきたいです」
彩原「感染症の影響もまだありますが、徐々に観劇しやすい空気にはなってきたかなと思います。何回も観ていただきたい作品になっていますので、寒い時期ですが温かくしてぜひ劇場に足を運んでくださったら嬉しいです」
遠藤「お客様に何かを感じ取っていただける、サヨナラワークさんでしか出来ない舞台を、この5人で最後まで完走できるように、精一杯頑張りたいと思います。応援のほど、よろしくお願いします!」
(取材・文:通崎千穂 撮影:間野真由美)
プロフィール
蒼木鞠子(あおき・まりこ)
2月28日生まれ、富山県出身。本団体での過去の主な出演は、ネリムプロデュース『劇場版 サヨナラワーク』など。今作が約3年ぶりの舞台出演となる。
彩原双葉(あやはら・ふたば)
11月10日生まれ、福岡県出身。主な出演に、サヨナラワーク #4『眠れぬ姫は夢を見る』など。
遠藤千織(えんどう・ちおり)
3月18日生まれ、東京都出身。主な出演に、ミュージカル『悪ノ娘』、舞台『サイバーガール』シリーズなど。
集貝はな(ためがい・はな)
9月20日生まれ、東京都出身。主な出演作品に、『アイドルマスター シンデレラガールズ』シリーズ、アニメ『シャドウバースF(フレイム)』など。
舞園れいな(まいぞの・れいな)
12月9日生まれ。アイドルグループ「アルカナビス」の“れいな寿司”としても活動。主な出演に、デストルドー9 クローゼット・ドラマ『アンドロギュノスの乙女』など。
公演情報
サヨナラワーク #5『マザー4』
日:2022年12月20日(火)~25日(日)
場:劇場HOPE
料:【劇場】一般4,500円 学生2,000円(全席自由・税込) 【配信】2,000円(税込) ※Confetti Streaming Theaterにて12/21より配信
HP:https://note.com/sayonarawork/
問:深寅芥 mail:sayonarawork@gmail.com