舞台は20XX年、自動二足歩行のアンドロイドが実用化され、人々の暮らしに受容されるようになった時代。古びた旧式アンドロイドが倉庫から見つけ出され、修理を施される。彼に付けられた名は「ジェイド・バイン」。機械である彼は、一体何に生きがいを見出すのか。そして人間とは、人間の本当の強さとは果たして何なのか……。
そんな本作のストーリーについて、ジェイド・バイン役を演じる前川優希は「そう遠くない未来の話なのだろうな、と漠然と感じている」と言う。
前川「完全自立AI やアンドロイドなど、僕らにはまだ馴染みのない世界でも、悩むことは愛だったり心についてだったり。遠いようで近い、そんなお話を描ければなと思っています。音楽劇なので、歌にぜひ注目していただきたいですね。僕にとっても挑戦です。人一倍努力して輝いてみせますので、楽しみにしていてください!」
そして本作は、アニメソング歌手として活躍する黒崎真音原案のオリジナルストーリー。幼い頃から“ 原作者”になることが夢だったという黒崎。音楽監修・主題歌も担当し、さらにはリリー・ハリソン役として舞台に立つ。その溢れるバイタリティーの裏には、本作誕生のきっかけにもなる、ある経験があった。
黒崎「昨年、硬膜外血腫で右側頭部の開頭手術をしました。目を覚ましてツギハギの頭を見たとき、こんな姿になった私はもう人前に立てないと思いました。ボロボロのジャンク品、まさに旧式のロボットだと。毎晩泣き腫らして、最初は作品にしようだなんて思えませんでしたが。
少し経って、この経験から生まれるものがあると確信し、私のあの日の“感情”をジェイド・バインという“存在”に変えました。ジェイドの衣装は片方だけがボロボロになっているのですが、それは、あの日見た自分のツギハギの姿を表しているんです」
ビジュアル撮影の際、その話を聞いた前川は、ボロボロの袖を触りながら「早くこの役に向き合いたいです」と言ったそうだ。
前川「ひとつの作品には、その作品に関わった全ての人の想いが詰まっています。そして、その想いを背負って立つのが役者だと思います。だからこそ、全身全霊で臨みます!」
黒崎「私は可能性を信じて生きていきたいです。挑戦は怖くない。もうすでに、この物語は始まっています。劇場でお会いできる日を心から楽しみにしております」
(取材・文:前田有貴)
前川優希さん
「伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングが地球を回す』です。中学1年生の時に先生に勧められて読んで、読書の世界に引き込まれていったきっかけの一冊です。ユーモアにあふれていて爽快感があって。授業中に隠れて読んでいたらニヤニヤしてしまってバレたのが思い出です。読書が苦手な方にもおすすめできるそんな本です」
黒崎真音さん
「『ベルサイユのばら』です。『ベルサイユのばら』は単行本やグッズも持っているほど大ファンです。アニメ版もセル画の技術で描かれていてレトロな味わいを楽しめますし、宝塚歌劇団に興味を持ち、舞台の魅力に気づいたのもこの作品からなので、様々な想いがありよく読み返します」
プロフィール
前川優希(まえかわ・ゆうき)
1997年12月17日生まれ、東京都出身。高校在学中にNHK E テレ「Rの法則」にてデビュー。2016年、舞台『K -Lost Small World-』より、本格的に俳優活動を開始。2019年より、新感覚アーティストグループ「TFG」としてメジャーデビュー。近年の出演舞台は、舞台『シャイニングモンスター』シリーズ主演、『機動戦士ガンダム00 – 破壊による覚醒-Re:(in)novation』など。
黒崎真音(くろさき・まおん)
1988年1月13日生まれ、東京都出身。2010年、アニメ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』のエンディングテーマを収録したアルバム『H.O.T.D』でメジャーデビュー。以後、『薄桜鬼』シリーズ、『がっこうぐらし!』、『東京レイヴンズ』、『転生したら剣でした』など、人気アニメの主題歌を多数担当。舞台の原作・原案を手掛けるのは今回が初となる。
公演情報
音楽劇『ジェイド・バイン』
日:2022年11月17日(木)~23日(水・祝) 場:シアター1010
料:SS席[1階席2列目センター・3列目]12,100円 S席[1階席4列目以降]9,900円 A席[2階席1列~3列目]7,700円 B席[2階席4列目以降]5,500円(全席指定・税込)
HP:https://jadevine-stage.com/
問:【ジェイド・バイン】製作委員会 mail:hrsn.inc.info@gmail.com