味方×石田のコンビが、あの“銀ちゃんとヤス”に挑む 「稽古に入ったら殺し合い」そんな真剣勝負の中から名作が生み出される

 つかこうへいがこの世を去り、13回忌を迎える今年、つかの代表作が次々上演されている。その締め括りとして『つかこうへい Lonely 13 Blues』と銘打ち、『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』と『初級革命講座飛龍伝』が連続上演される。

 『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』は、映画にもなった『蒲田行進曲』の後日譚として1994年に初演された作品だが、今回は初めて観る人でもわかりやすいよう、『蒲田行進曲』のストーリーも盛り込む新たな構成での上演となるという。

 主役の銀四郎とヤスを演じるのは、味方良介と石田明。これまでも度々つかこうへい作品に挑み、このコンビでは5作目となる。何度も共演を重ねる2人だが、お互いの存在が安心感に繋がることがあるのだろうか。

石田「安心感よりは、むしろヒリついた感覚ですね。なにしろ僕達はいつもプロデューサーに、次に上演したいつかさんの作品をアピールしていますから」

味方「そう、この作品がやりたいってね」

石田「それが実現するわけです。あれだけ懇願しておいて生半可はできないですから」

味方「先輩の話なども参考にして、代表作品に挑みます」

 そう語る2人はプライベートでも仲が良く、呑み友達でもあるという。しかし舞台の上での馴れ合いは一切無い。

石田「休憩時間はただのツレ(友達)ですが、稽古に入ったら殺し合いですから(笑)。仲が良いからこそ、互いにきちんと向き合わないと。それに結構お互いに厳しいんです。相談もディスカッションするし。周りからは同じ劇団出身みたいに見られる事もあります」

味方「辿ってきたルートは全く違うんですけどね。僕はずっと舞台の世界でしたが、石田さんは
違うわけで」

石田「僕は芸人になる前に一瞬、劇団にいましたが、人前でしゃべれるようになりたくて入っただけですから。今や僕を俳優だと思っている人も段々増えてきましたが、僕自身はまだ潜り続けながら芝居をやっている感じがすごく好きです。舞台に取り組んでいる期間はそっちに集中したいし、俳優としての活動は生きる上でのチューニングみたいなところがありますね」

 そんな2人に、できる事ならつかこうへい本人に会ってみたいか尋ねると。

味方「もちろんです」

石田「最後はそこに行き着きますね。自分たちのやったことが合っているのか確かめたいです」

(取材・文:渡部晋也 撮影:岩田えり)

7月7日は七夕。もしも願いがなんでも叶うなら……どんなお願いをしますか?

味方良介さん
「人と人との交流がもっと密になりますように。今のご時世ということだけでなく、インターネットやSNS等々の普及で顔を見合わす機会が減ったような気がします。舞台上でのやりとりは“生命”を感じることばかり、日常生活でもそういう時間が増えたら良いなと」

石田 明さん
「無敵の喉が欲しい。舞台に立つにしてもバラエティやるにしても声が重要。年々、喉が疲れやすくなっているので、これはかなり切実です。常に120%のパフォーマンスがしたい!」

プロフィール

味方良介(みかた・りょうすけ)
東京都出身。小学生の頃に観たミュージカル『エリザベート』でミュージカル俳優を志す。2017年、24歳で『熱海殺人事件』木村伝兵衛を演じ、その後4度にわたり同役を務めた。他にも『新・幕末純情伝』、『飛龍伝2020』に出演。2020年、『教場』でテレビドラマ初出演。以降、ドラマへの出演も増えている。

石田 明(いしだ・あきら)
大阪府出身。姉に連れられ、心斎橋筋2丁目劇場で観た漫才をきっかけに芸人の道を志す。2000年、高校が一緒だった井上裕介と「NON STYLE」を結成。2001年、吉本興業からプロデビューを果たす。その後いくつものコンテストで好成績を残し、2007年NHK「爆笑オンエアバトル」9代目チャンピオン、翌2008年「M-1 グランプリ」優勝を果たす。一方で舞台俳優としても活動の幅を拡げ、2016年『新・幕末純情伝』で坂本龍馬役を務めた。

公演情報

つかこうへいLonely 13 Blues「蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く」「初級革命講座 飛龍伝」

日:2022年7月8日(金)~25日(月) 
場:紀伊國屋ホール
料:【蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く】8,500円(全席指定・税込) 【初級革命講座 飛龍伝】6,500円(全席指定・税込)
HP:http://www.rup.co.jp/lonely_13_blue.html
問:Mitt tel.03-6265-3201(平日12:00~17:00)

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