新章突入。21年目の“秘密兵器”は大いなる笑いとともに 抱腹絶倒、驚天動地。おじさんに美女をまぶして送る濃〜いひととき

新章突入。21年目の“秘密兵器”は大いなる笑いとともに 抱腹絶倒、驚天動地。おじさんに美女をまぶして送る濃〜いひととき

 一癖も二癖も。いやいやもしかしたらそれ以上あるかもしれない、おじさん5人ユニット「エンターテインメント風集団 秘密兵器」。昨年は20周年記念ということで、地元の下北沢に加えて新宿シアタートップスでも作品を発表した。そんな彼らが21年目に突入して繰り出すのは、いつものようにコントとロングストーリーを組み合わせたスタイルの公演で、題して『魔ガサス幻想(ファンタジー)』。いったいどんな作品になるのか。ヒロインとして初参戦する磯原杏華。今までで一番多く作品に客演している松野井 雅。そして今回は物語の軸になりそうなメンバー番号016、野田博史。そして代表で演出も手がける岩田有弘の4人から、稽古終わりに他のメンバーが見守る中で話を聞いた。

―――20周年と銘打った昨年を越して、今回は秘密兵器の “いつものスタイル”。つまりコントが3本あってロングストーリーがそれに続く形だそうですね。

岩田「2002年あたりから試行錯誤してきて行き着いたスタイルですね。ファイナル公演の辺りからまとまってきたんです」

―――え? ファイナル公演?

岩田「僕達、先に解散公演をやってしまいまして」

野田「そうそう、44回公演ですね(笑)」

岩田「今回が28回公演ですから、今は44回までの穴埋めで、あと十数年はかかる計算です(笑)。元々僕達は好きなことをやりたいが集まった集団で、なかなかまとまりがつかなかったんです。でも、だんだんとファンが増えていくうちに、『お客さんファースト。喜んで貰いたい。様々な顔をお見せしたい』という気持ちが強くなっていったんです。それで役者によるコントで強いキャラクター性を、そしてそれを踏まえたロングストーリーでは芝居を見せるというスタイルになりました」

―――じゃあコントとロングストーリーは地続きなんですか?

岩田「ええ、ロングストーリーだけでも楽しめますが、全部見るとも〜とにかく楽しめます。そして毎回作品全体の主軸が必要になるのですが、今回は1番新人になる野田くんが務めます。1番新人といっても、10年近くか? その下が入ってこないだけですけど」

野田「一説には僕が阻止しているという噂もあって(笑)。秘密兵器のおじさんたちはやたらと仲いいんです。各メンバーの誕生日会も必ずやるし」

岩田「だから入りずらいのかねえ」

野田「そのくせ客演される方はスッと馴染める、居心地の良さもありますよ。因みに僕は16番目。僕の前に15人いたんですね」

岩田「やめちゃうと欠番になるから野田君は016。でも16人揃ったことはない(笑)」

―――参加したときの印象はどうでしたか。

野田「やはり仲いいなと思いました。最初の頃はちょっと違和感もありましたけれど。入った頃はメンバーだけで公演を打っていたのでのんびりしているんです。例えば稽古で集るとしばらく『キン肉マン』の話をみんなでしている(笑)。それからご飯に行って、戻ってまた雑談。結局稽古は1時間くらい(笑)」

岩田「それでやめた人もいたね(笑)」

―――そんな秘密兵器に磯原さんは初参加ですね。

磯原「確かに皆さん仲が良いんですが、疎外感は感じませんね。みんな優しいし脚本もとても面白くて、ニヤニヤ笑いながらホン読みをしました。今は自分のコント台本を渡されてプレッシャーで一杯です」

岩田「そんな彼女が楽しみで仕方が無い(笑)」

見守るメンバー達「そうそう!! とにかく最高ですね! 輝いてる!」

磯原「そのベタ褒めが怖いです(笑)」

―――松野井さんは客演としての参加が1番多いとか。

松野井「先ほど話が出た“解散公演”からですね。千秋楽なんか3時間越えで、私が呼んだお客さんも泣きまくったのに、1年後にサラッと公演があって(笑)。もう6回目の客演になります」

見守るメンバー達「毎年ありがとうございます!!」

岩田「普通なら“やめるやめる詐欺”みたいなもので、お客さんも仲間も離れていきますよね。でも解散後またやりたいという話が出ちゃって(苦笑)。それならば以前を全てにおいて超えるものを作ろうと。だから解散公演以降ワンステージ上がった気がします」

松野井「本気でやめようとしていたからこそ、パワーが出たんでしょうね(笑)」

―――さて、今回のタイトルは『魔ガサス幻想』。チラシにペガサスのようなものが描かれていて、なるほどと思いました。

岩田「企画・構成は僕がしますが、タイトルはメンバーの新實くんのインスパイアで決めるんです。でも、僕や脚本の五十嵐くんがそのタイトルにガツンと寄せていく訳でもない。みんな付き合いが長いから考えてることが近いのか、何となく集約されていくんです。ただ今回は21周年目でもう一歩新しく踏み出したくて、チラシを作ってもらう際に作品のキーワードを提示しました」

―――なるほど。このペガサス風なのが主軸の野田さんですね。

岩田「ふざけてるでしょ(笑)。あとはストーリー構成を考える際、客演の皆さんにはとあるプライベートアンケートを取ってそれを材料の1つにしています」

磯原「岩田さんとは別のお仕事で付き合いがあるので、私のことをわかってくれていて正直に答えたんですが、反映されてますか? ……あ!! あそこ!! そうかぁ。反映されています」
全員「(笑)」

岩田「秘密兵器は1番僕が素でいられる場所。メンバーは自分のことを誰よりも知っている仲閒だと思っています。だから客演の皆さんにも、それぞれの良いところを見つけられる関係でいたいです。自分のことって自分ではわからないじゃないですか」

野田「秘密兵器メンバーには基本的にアンケートはないですが、今回は岩田さんと飯食いながら話をして、新しく話せたこともあります」

岩田「今現在のメンバーに感じたことも取り入れながら作品を練っていきます。今回は野田君くん中心にした21年目の新たな挑戦でもありますね。ぜひ注目して欲しいです」

―――ヒロインとして磯原さんを選んだ決め手は何でしょう。

岩田「彼女はまだ若いのに演技の幅が広くて、そこに嘘くささが無いんです。でもまだ素の部分はわからないので、秘密兵器でそこを掘り起こしたいと思います。勘が良いようで、こちらが求めるチャンネルにすぐに合わせられるのですが、秘密兵器はチャンネルとチャンネルの間の部分、雑音みたいな、その方の人間くさいところを求めます。それが彼女にとって良いきっかけになれば良いなと思います」

松野井「私が皆さんに呼ばれるのは、その人間臭い部分でしょうか。もう雑音しかないですから(笑)」

岩田「松野井さんは見た目がパーフェクトなのに、陰で凄い努力をされている。思いも掛けないドジさや、人間くささ、良い意味のすき間があるんです。そしていつも新たな気持ちでいて、常にチャレンジしてくれる。キャスティング会議で必ず名前が挙がりまし、今回はキーパーソンになります」

―――ではそんな21年目の皆さんからメッセージをお願いします。

野田「秘密兵器の21周年に向かってどんな脚本が上がってくるか僕も楽しみ。そしてどう進化するか見届けて欲しいです」

松野井「コントを観るとロングストーリーの深さがわかる訳ですが、そのコントは5本から毎公演3本を選ぶので、最低でも2日は観て全物語をコンプリートしてほしいです(笑)。みんなで素敵な夏を一緒に過ごせれば良いなと思います」

磯原「秘密兵器のファンの皆さんも私を観るのは初めてだし、私のファンも秘密兵器が初めてですから、どうなるんだろうと思います。もはや皆さんを信じてついていくだけですね」

―――ファンの皆さんもおじさんに囲まれる磯原さんを観て驚くかも知れません。

磯原「ここまでおじさんに囲まれるのは、握手会以来ですかね(笑)」

見守るメンバー達「ありがとうございます!!!(手を伸ばす)」

―――では、岩田さん、締めて下さい(笑)

「2005年から年1回、夏の下北沢で上演しているので、劇場関係者もこれが無いと夏が迎えられないと言ってくれるまでになりました。ですが、それに胡坐をかかず、2022年秘密兵器の新たな挑戦です。役者達の今の生き様を詰め込んだ、生の演劇を観て頂きたいですね。笑い、涙、感動が揃っていますから」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

岩田有弘(いわた・ありひろ)
東京都出身。東京農業大学在学中の2002年に演劇ユニット「秘密兵器」を結成、主宰として活躍し、昨年は20周年記念公演として2作品を発表。下北沢を中心に定期公演を続け”下北沢小劇場の申し子”の異名を得る。さらに2013年には劇団「大人の麦茶」にも入団。2015年には舞台プロデュースユニット「銀岩塩」を結成し代表に。俳優だけでなく『牙狼<GARO>』初舞台化をプロデュースするなど、活躍の場を広げている。

磯原杏華(いそはら・きょうか)
愛知県出身。幼い頃からクラシックバレエに親しむ。2009年にSKE48第2期生オーディションに合格し、翌年チームEの新設に伴い新メンバーに昇格。SKE48のメンバーとして活躍し、2016年にグループを卒業。卒業後は舞台を中心に映画やテレビドラマなどにも出演。活動の幅を拡げている。岩田とは「銀岩塩」公演で共演している。

松野井 雅(まつのい・みやび)
広島県出身。15歳で芸能界デビュー。2014年、松野井 雅と名前を改め心機一転。テレビドラマ、映画、舞台など幅広く活躍。出演作『牙狼<GARO>』シリーズなど。趣味はランニング、猫と遊ぶこと。フィンランド政府観光局公認のフィンランドサウナアンバサダーを務め、YouTube「松野井雅チャンネル【公式】」ではサウナ関連動画を公開中! 秘密兵器の作品には客演を重ね、最多記録を継続している。

野田博史(のだ・ひろし)
福岡県出身。2011年からエンターテインメント風集団秘密兵器に参加。以降全作品に出演する。その他、銀岩塩vol.1『ジアースアートネオライン神聖創造物~その老人は誰よりも若かった~』、銀岩塩vol.2『牙狼<GARO> -神ノ牙 覚醒-』、銀岩塩vol.3 LIVE ENTERTAINMENT『神ノ牙-JINGA-転生~消えるのは俺じゃない、世界だ。~』、大人の麦茶 第26杯目公演『おもったことは、なかったです』、ハイブリットエンターテインメント『ファイティングミュージカル 魔界』シリーズなど出演。さらに映画やテレビドラマ、声優としても活躍している。

公演情報

MISSION IN POSITIVE 28th Attack
『魔ガサス幻想 -MAGASASU FANTASY- 』

日:2022年8月13日(土)~21日(日)
場:下北沢 「劇」小劇場
料:前売4,500円 当日5,000円
  学割2,500円 ※要学生証提示
  ※他、リピーター割あり。
   詳しくは団体HPにて(全席自由・税込)
HP:https://www.himitsuheiki.com/
問:エンターテインメント風集団 秘密兵器 
  mail:himitsuheiki.swp@gmail.com

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