「ワシーリエフ版ならではのエネルギッシュなバジルを踊りたい」 東京バレエ団を代表する人気レパートリー、2年ぶりに再演!

 東京バレエ団の『ドン・キホーテ』は、元ボリショイ・バレエ団芸術監督のウラジーミル・ワシーリエフ演出・振付により2001年に初演を迎えた同団を代表する人気レパートリー。全2幕に古典の見どころをぎゅっと詰め込み、床屋の青年バジルと町娘キトリの恋の行方をエネルギッシュに描き出す。2年ぶりの再演となる今回、主人公バジルを踊るのはプリンシパルの秋元康臣。過去公演の際は来日したワシーリエフから直々に指導を受けるという好機を得た。

 「ワシーリエフさんは掛け声も大きく誰よりエネルギッシュで、こちらも自然と乗せられてしまうほど(笑)。活気をとても大事にされていて、動きの大きさや勢いにしても、自分の思うよりもっと目一杯の力を振り絞って全身で踊るよう求められる。ワシーリエフさんが取り入れている“フラジョーク”というテクニックがあって、昔から凄いなと思って見ていましたが、実際に教わると勢いが全く違う。自分でやるとついついコントロールしてしまうけれど、あそこまで振り切ってみせないと駄目なんだということを知りました」

 確かなテクニックと端正な佇まいで、古典の王子からキャラクター、創作バレエの主人公まで幅広い役を自在に踊りこなす。なかでもバジル役に定評があり、これまで数々の舞台で主演を務めてきた。

 「初めてバジルを踊ったのは14年前。パートナーは海外ゲストで、パ・ド・ドゥのサポートで“ここで何かあってはいけない!”と思い、もの凄く緊張したのを覚えています。あの時に比べるとバジルに対する意識もだいぶ変わって、発散できるし、楽しめるようになりました。ただバジルというキャラクターはヘンに大人になってもいけない。大人の色気でみせるのはエスパーダの役割だと思うし、かといってエレガンスさを出そうとするとまた違ってしまう。そういう意味では難しい役柄かもしれません」

 舞台はスペイン・バルセロナ。物語はどこまでも明るく陽気で、その主人公として作品世界に活気を注ぐ。

 「主役として舞台を持ち上げる大変さというのは確かにあります。ただ、いざ本番となると出し切ろうという想いで舞台に立つので気持ちも自然と上がっていくし、作品自体が明るいから自ずと笑顔でいられる。あとは自分自身純粋に楽しんで踊り、そしてワシーリエフ版ならではのエネルギッシュなバジルをお見せできたらと思っています」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:間野真由美)

祝日が1日もない6月。好きな祝日を作れるとしたら、“何の日“を作りますか?

「『なんでもない日』
何もしない、何も考えない日。他の祝日は意味があるから、なんでもない日があってもいいんじゃないか?と思いました。」

プロフィール

秋元康臣(あきもと・やすおみ)
神奈川県出身。3歳よりバレエを始める。2000年12歳でボリショイ・バレエ学校に留学。2006年18歳で同校を卒業。2005年モスクワ国際バレエコンクール ファイナリスト、2006年タンツオリンプ 第3位。2014年ペルミ国際バレエコンクール”アラベスク”で銀賞を受賞。国内のカンパニーを経て、チェリャビンスク・バレエに入団。プリンシパルとして活躍。2015年夏、東京バレエ団にプリンシパルとして入団。以後の主なレパートリーに、ブルメイステル版『白鳥の湖』(ジークフリート王子)、『くるみ割り人形』(くるみ割り王子)、『ドン・キホーテ』(バジル/エスパーダ)、『ラ・バヤデール』(ソロル)、ワシーリエフ振付 子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(バジル)、『パキータ』(プリンシパル)、ベジャール『ザ・カブキ』(由良之助/塩冶判官)、ノイマイヤー『スプリング・アンド・フォール』(主役)、アシュトン『真夏の夜の夢』(オベロン)、クランコ『ロミオとジュリエット』(ロミオ)など。

公演情報

東京バレエ団 ドン・キホーテ(全2幕)

日:2022年6月23日(木)~26日(日)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席13,000円 A席11,000円 B席9,000円 ※他、各種席種あり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
HP:https://www.nbs.or.jp/
問:NBSチケットセンター tel.03-3791-8888(平日10:00~16:00

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