3年に一度、 舞踊の粋が横浜に結集! プロフェッショナルに好きであること、ディレクター・小林十市の挑戦

 3年に一度のダンスの祭典が横浜で開催される。ディレクターである国際的ダンサー・小林十市氏は「これだけ多彩なジャンルが一堂に会するのはDanceDanceDance@YOKOHAMAならでは」と語る。

 「4 回目ということでプログラムを厳選しています。世界的アーティストによるプロフェッショナルな作品から市民参加のものまで幅広い視野で企画しました。また、オールジャンルの祭典ですから、異なる芸術やジャンルを組み合わせた挑戦的なプログラムも見所です。例えば『おさよ(落語版ジゼル)』では落語とバレエを組み合わせていて、落語は知らないけどバレエは好きな人が落語について興味を持てる、その逆も然りです。またはその組み合わせについても考えていただけるかな、と。ダンスを好きな人が〝好き〞を深められる場所です」

 多様なジャンルが舞い乱れるラインナップを組む他方で、小林氏自身も踊るプログラム『エリア
50代』と『NoismCompanyNiigata× 小林十市』では、彼の「これから」を見据えた思考が作品を通じて展開される。

 「コロナ禍で海外招聘ができないとなり、前から試したかった企画をやる良い機会だろう、と。50代になって自分の身体とどう向き合うのかというのを他のダンサーさんにも聞いてみたくて。そうしたら、結構他のダンサーさんも同じような意見でした。
 格好付けず、自分自身に対して踊る、自然体の自分を曝け出す、ということができたら理想です。けれどお客様にお見せする以上、評価との折り合いが難しい。自分がダメだと思っている部分まで曝け出せるか、という……恐いんですけどね。日本のお客様は目が肥えているのでその期待に応えたいという気持ちと、そんな自分に課したハードルから解放され得るのかという葛藤の挑戦です。
 金森穣さんとは二人ともベジャールの元にいたので、一緒に過去を振り返りながら先へ進んで行くためのものになると思います。脱ベジャールを目指すことを意味するかも」

 フランクな語り口はあくまで軽やかだが、奥底に葛藤と覚悟が見える。今回のDDD はそんなディレクターに呼応し、プロ達の〝好き〞が見られるに違いない。


(取材・文:關智子)


最近新しく始めたこと・始めたいと思っていることは何ですか?

小林十市さん
「最近意識して始めたこと『インプロビゼーション』。最近即興で踊れるようになりたいと思い、インスタ映えするようなかっこいい踊りができればいいなと、家の台所や居間、庭でも動いてみています。色々な動画を見て真似から入り自分の理にかなった動きに流れていくように、そんな事を考えながら過ごしていることが多いです。毎日というか不規則ですけど、ほぼ毎日。ある意味瞑想みたいな感じです。自分への内なる旅っぽいから続けてみたいと思っています」

プロフィール

小林十市(こばやし・じゅういち)
ダンサー、振付家。1969 年生まれ。79 年より小林紀子に師事し、バレエダンサーとして数々の賞を受賞。89 年、スイスのベジャール・バレエ・ローザンヌ(BBL)に入団、『春の祭典』、『火の鳥』、『くるみ割り人形』、『シエラザード』など数多くのベジャール作品に出演した。BBL を退団後、世界各国のバレエ団にベジャール作品の振付・指導を行っている。2004 年『エリザベス・レックス』で俳優としてデビュー。現在はフランスを拠点に後進の指導にあたっている。祖父は落語界初の人間国宝である故・五代目柳家小さん、弟は噺家・柳家花緑。

公演情報

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021

日:2021年8月28日(土)~10月17日(日)
場:象の鼻パーク 特設ステージ、KAAT神奈川芸術劇場 ホール 他
料:公演毎に異なる ※詳細は公式HPにて
HP:https://dance-yokohama.jp/
問:横浜アーツフェスティバル実行委員会
  tel.045-663-1365(平日9:00~17:00)

インタビューカテゴリの最新記事