24年ぶりの再演!スタジオライフ伝説の舞台『ヴェニスに死す』 新旧キャストで描く、苦悩の作家と美青年の耽美な世界

 劇団スタジオライフが、トーマス・マン原作『ヴェニスに死す』をこの秋再演する。1997年初演の〝伝説の作品〞となる本作では、24年の時を経て、笠原浩夫が再び主人公アッシェンバッハを演じる。

笠原「今も初演の熱を覚えています。当時は役の歳に程遠く、老いと死をどう捉えるか苦労しました。役作りで57キロまで落とし、ふらふらになりながら演じたのを思い出します」

松本「初演の映像を観て“笠原さん、細い!”と驚きました。シュッとした姿が衝撃的で格好良かったです!」

笠原「この役は出ずっぱりで、精神的なエネルギーも使う。24年経って自分がどう感じるか、今は恐さと楽しみな気持ちが半々です。美の哲学や老いへの葛藤等など、難解な台詞を語りつつ、どうしようもない人間の
性を泥臭く掘り下げたいと思います」

 主人公を虜にする美青年・タッジオとして、松本慎也と客演の馬場良馬がWキャストで出演する。タッジオ役に配役された心境は?

馬場「”美青年、正気なのか……?”というのが正直な心境です(笑)。佇まいや雰囲気で成立させなくてはいけない大事な役で、計り知れないプレッシャーに押し潰されそう。でもどんな役も染まってみたいのが役者心ではありますので、一生懸命あがくつもりです」

松本「僕も『自分で大丈夫ですか!?』と演出の倉田さんに何度も確認しました(笑)。ただビジュアルの美しさも大切だけど、年齢や性別すら超えられるのが演劇の魅力でもあって。姿勢や所作、精神性を美しく存在させ、関係性と心情を大切にタッジオとして生きられるよう精進します。そしてばばりょとの共演が楽しみで仕方がないで
す。良い刺激を与え合いながら楽しく役を構築していくことが出来ると思っています」

馬場「大好きなマツシンさんの優しさに甘えながら(笑)、良い作品を作るために一歩ずつ前進していきたいと思いますので、末永く宜しくお願い申し上げます!!」

 再演に際し台本を再構成。新キャストと共に新たな世界を描き出す。

笠原「今回は等身大で挑めるので、ただただ作品の中を漂えたらと考えています。そして幕が降りた時、お客様に不思議な余韻が残る――そんな作品になればと思っています」

馬場「コレラが猛威を振るっていた当時の『ヴェニスに死す』を、今この時代に上演する。演じる上できっと今しか実感できない感情が沢山あると思うし、今だからこそ観ていただきたい作品になると自負しています!」

松本「様々な困難の中“どう死ぬか”から”どう生きるか”というポジティブな想いを共有できる作品になればと思っています。現在の劇団だからこそできる新たな『ヴェニスに死す』を、僕自身楽しみにしています」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:ATZSHI HIRATZKA)


近新しく始めたこと・始めたいと思っていることは何ですか?

笠原浩夫さん
「このご時世というのもあって、自転車通勤を始めました。ママチャリからクロスバイクに買い換えて、片道30キロ位なら普通に行っちゃいます。元々バイク乗りだったので乗り出したら止まらない感じです。ただ雨の日の萎え度は半端ないですね、意地になって泥だらけになって乗ってます」

馬場良馬さん
「今周りでペットを飼い始める友達が多いので、僕もペットを飼いたいなと真剣に考え始めています。ただ職業柄、家を空ける事も多いのでそういう時にも対応出来るのかってなると色々悩んでしまってまだまだ決めかねているのが現状です……。
 今のところ家族に迎えたいなと考えているのは『アベニーパファー』か『フトアゴヒゲトカゲ』がめちゃめちゃ可愛くてずっと悩んでいます!」

松本慎也さん
「愛犬の肉球クリーム塗りにハマっています。この季節になると、毎年多少はガサガサになりますが、ウチの子も8歳になって最近少し足裏を気にしているので、自分の肌ケア以上に気を使っています」

プロフィール

笠原浩夫(かさはら・ひろお)
宮城県出身。1992年劇団スタジオライフに入団し、以降中心メンバーとして活躍。スタジオライフでの主な出演作に、『トーマの心臓』、『ヴェニスに死す』、『DRACULA』、『ドリアン・グレイの肖像』、『夏の夜の夢』、『エッグ・スタンド』、『デイジープルズイットオフ』、『THE SMALL POPPIES』、『アンナ・カレーニナ』、『死の泉』などがある。

馬場良馬(ばば・りょうま)
千葉県出身。2008 年、ドラマ『東京ゴーストトリップ』で本格的俳優デビューをする。同年、ミュージカル『テニスの王子様』に出演。2012年~ 2013年放送のスーパー戦隊シリーズ『特命戦隊ゴーバスターズ』のブルーバスター/岩崎リュウジ役として出演する。以降、多くの映画・舞台・ドラマで活躍する。

松本慎也(まつもと・しんや)
愛媛県出身。劇団スタジオライフに2004年入団。『トーマの心臓』、音楽劇『11 人いる!』といった話題作に数多く出演。入団当初より女性・少年役を含め幅広い役柄を演じる。主役を演じることも多く劇団の主要メンバーの1人となる。外部出演も数多く 主な代表作として『ミュージカル「黒執事」- 千の魂と堕ちた死神-』、『大和三銃士 虹の獅子たち』、舞台『魔術士オーフェンはぐれ旅』主演・オーフェン役など。

公演情報

スタジオライフ『ヴェニスに死す』

日:2021年9月1日(水)~8日(水)
場:シアターサンモール
料:一般7,700円 学生3,000円
  高校生以下2,500円 ※学生割引は要学生証提示(全席指定・税込)
HP:http://www.studio-life.com/stage/venice2021/
問:スタジオライフ
  tel.03-5942-5067(平日12:00~18:00)

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