舞台はチャイナタウン!  米中の音楽が交差する往年の名作 「一番の経験は失敗をすること。」

 『サウンド・オブ・ミュージック』などを手掛けたロジャース&ハマースタイン往年の名作『フラワー・ドラム・ソング』が、この春、日本で幕を開ける。サンフランシスコのチャイナタウンを舞台に、アメリカと中国それぞれの音楽が呼応し独特の世界観を作り上げる異色作だ。

 「初演は60年以上前ということもあって、音楽はちょっとレトロで可愛い印象でした。すごく趣があるんです」と語るのは、ヒロインを演じる桜井玲香。

 「私が演じるメイは、中国で父を亡くしてしまった女の子。父の友人を頼って辿り着いたチャイナタウンで、さまざまな出会いと経験をするお話です」

 桜井いわく、メイは「すごく純粋無垢」ということ。

 「幼い頃からたくさん苦労をしてきてはいるものの、恋愛をしたことがなくデートの意味もわからない純粋無垢……『いや、それは遊ばれてるよ!』と思うこともありますが、寄り添ってあげたいと思うキャラクターです(笑)」

 作・演出を手掛けるのはミュージカル『テニスの王子様』の演出や振付で知られ、宝塚など数多くの名作で振付を手掛ける上島雪夫。桜井も「上島さんとは私の人生の節目となる作品でいつもご一緒させていただいています。今回もダンスシーンがすごく楽しみです」と目を輝かせる。

 サンフランシスコという新天地に飛び込むこととなるメイだが、桜井自身も高校生からアイドルグループ「乃木坂46」、そして舞台俳優へと常に新たな環境に挑んできた。そのうえで、大切なのは「傷付くこと」だと語る。

 「新しいことへの挑戦はすごく大切。私は新しい環境に飛び込んで、そこでの失敗が一番の経験になると思っています。見ているほうは痛々しく感じることもあるかもしれませんが、私自身は失敗をたくさん経験したほうがいいと思っています。そのときはつらいですけど……」

 純粋ゆえの危うさを持ち、作中でも過酷な運命に翻弄されることとなるメイだが、傷付きながらも自分の道を見つけていくことになるだろう。傷付くことの意味を知る桜井だからこその熱演に注目したい。

 「アメリカンとチャイニーズが融合された、とても不思議な世界観ですが、すごく華やかで楽しい舞台になる予感です。劇場でお会いできたらうれしいです!」

(取材・文:いつか床子 撮影:岩田えり)

プロフィール

桜井玲香(さくらい・れいか)
1994年5月16日生まれ、神奈川県出身。2012年にアイドルグループ「乃木坂46」の1期生としてデビュー。グループのキャプテンとして活躍し、惜しまれながら2019年9月にグループを卒業。アイドル時代から舞台俳優としても精力的に活動しており、2014年に劇団スーパー・エキセントリック・シアター創立35周年公演『Mr.カミナリ』で初舞台を踏む。2018 年には『レベッカ』でグランドミュージカルに初出演。そのほか『ゴースト』、『ザ・パンデモニアム・ロック・ショー』、『SLAPSTICKS』などの作品でヒロインを務める。本作で作・演出を務める上島とは、自身初のミュージカル出演作『リボンの騎士』や、グループ卒業後の初ミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』で共作。また、光文社『CLASSY.』でレギュラーモデルを務めるなど、活躍の場を広げている。

公演情報

ミュージカル『FLOWER DRUM SONG

日:2022年4月23日(土)~27日(水)
場:日本青年館ホール
料:S席12,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
HP:https://flowerdrumsong.jp/
問:キョードー東京 tel.0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)

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