中野京子の大ベストセラーシリーズ『怖い絵』がクラシックコンサートに! 『亡き王女のためのパヴァーヌ』、『カルメン』をはじめとした親しみある楽曲と共に、物語に沿ってセレクトした絵画を舞台上のスクリーンに投影し、著者自ら〝怖さ〞をテーマに解説を行う。
「『カルメン』で投影するのは闘牛士を描いたゴヤの版画『ラ・タウロマキア』。ゴヤ自身闘牛が好きで、若い頃闘牛に出たことがあるくらい。私も昔スペインで闘牛を観たことがありますが、500 キロの巨大な牛が暴れ狂っていて、人間なんてとてもかなわない。目の前で見て、その本当の恐怖がわかった。『カルメン』では闘牛士が闘いの興奮冷めやらぬなか、カルメンと出会い恋に落ちる。彼も今日は命が助かったけど、明日はわからない――。あの怖さをお話ししたいと思い、ゴヤを選びました」
『怖い絵』シリーズの関連企画として2017年に開催された『怖い絵展』は68万人の動員を記録し、社会現象を巻き起こした。どうして人は〝怖い〞に惹か
れてしまうのだろう。
「〝怖い〞は誰もが知っているから。人は必ず死ぬ。知らないこと、死は怖い。恋を知らない人はいるけれど、〝怖い〞という感覚を知らない人はいない。だから惹かれるのでは」
さらに絵画の背景を知れば、その見え方もまた違うものになると話す。
「私たちは絵画を観るまま感じなさいと習った。でも時代も文化も違う人間が見ても、何も知らなければ画家の意図は感じられない。例えばチラシの絵画のドラクロワの『怒れるメディア』は母親が子供を守っている絵に見えるけど、実は不実な夫に対する復讐心で子供を手に掛けようとしているもの。一見そうは見えなくても、背景を知れば怖さを知り、絵がもっと楽しくなる。それが音楽と結びつけばと思っています」
オペラ歌手、そして東京フィルのオーケストラと共に、絵を観て聴いて楽しむ。〝怖い〞シリーズの新たな試みに大きな注目が集まりそうだ。
「このような試みはたぶん初めてで、私自身どうなるんだろうとドキドキしています(笑)。オペラファンから『怖い絵』ファンまで、幅広い方に楽しんで頂けるよう願っています」
(取材・文:小野寺悦子)
「“近々スマホを手に入れる!”それが私の始めようと思っていること。実は私、携帯を持っていないんです。私にとって移動時間は読書の時間。それを邪魔されるのがイヤで、これまであえて持たずにいました。ただ近頃は公衆電話も少なくなって、いざというとき困ることも多い。そこで2年前から使い始めたのがキッズケータイ。けれどキッズケータイって最大10人の登録相手としか通話ができず、仕事で使うにはまず適さない。購入以来使ったのは20回程度で、今では使い方もほとんど忘れてしまって……。果たしてスマホは使いこなせるか。でも宣言したからには、きちんと実行しなければいけないですね(笑)」
プロフィール
中野京子(なかの・きょうこ)
北海道出身。作家・ドイツ文学者。西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに、絵画エッセイや西洋史解説書などを多数発表。著書に『怖い絵』シリーズ(角川文庫)、『名画の謎』シリーズ(文藝春秋)、『名画で読み解く王家12 の物語』シリーズ(光文社新書)、『美貌のひと』(PHP 新書)、『異形のものたち』(NHK 新書)、『欲望の名画』(文春新書)など多数。今年5月『名画で読み解く』シリーズ第5 弾『プロイセン王家12の物語』(光文社新書)を刊行。2017年に特別監修を手がけた「怖い絵展」は上野の森美術館と兵庫県立美術館で開催され、68万人を動員した。
公演情報
怖いクラシックコンサート
日:2021年9月19日(日)14:00開演(13:00開場)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席9,800円 A席8,500円 B席7,200円
C席5,800円(全席指定・税込)
HP:https://lalalaclub.com/kowai/
問:ららら♪クラブ・チケット
tel.050-5434-7343(平日10:00~17:00)