生演奏と歌に乗せて紡ぐ家族の物語 おぶちゃpresents『Gemini Notes,Gemini Lines. 』が開幕

生演奏と歌に乗せて紡ぐ家族の物語 おぶちゃpresents『Gemini Notes,Gemini Lines. 』が開幕

大部恭平が主宰を務めるエンターテインメントユニット・おぶちゃの新作は、生演奏に乗せて届ける会話劇。アイドルオーケストラユニット「アイオケ」のじんをはじめ、安田啓人高橋みのり田中尚輝岩田陽菜遠山景織子平野勲人などおぶちゃ初参加のキャストが多数集結し、新鮮なカンパニーを作り上げている。一部Wキャストとなっており、2チーム体制で上演される本作。2026年1月15日(木)の初日を前に、ゲネプロが行われた。

本作は、音楽を担当する西山が曲と歌詞を先行して作り、そこに大部が肉付けしていく形で物語を構成したという。歌手として活動する主人公・紬が家族や仕事、自分の心と向き合う姿を軸に描いた作品で、登場人物たちの等身大のセリフ、生演奏の楽曲が魅力的だ。人生が変わるような出来事や奇跡が描かれるわけではないが、紬という人間にとって大切な一歩が丁寧に紡がれている。
「現状を変えたい・歌手として売れたい」という思いと、「自分を曲げたくない」という思いの間で揺れる紬の姿、それぞれの立場からのアドバイスや思い、家族の関係に共感する人も多いのではないだろうか。

冒頭でじんが紬として観劇の注意事項と『Gemini Notes,Gemini Lines. 』というタイトルの解説を行ったところからシームレスに楽曲へ入っていく。バンドの生演奏とじんのギター、キャスト陣のコーラスや打楽器のセッションによって劇場をライブ会場のような雰囲気に変え、あっという間に作品の世界に連れて行ってくれた。

その後もシーン転換でバンドが奏でる印象的なBGM、シーンにピッタリ合う楽曲が次々に登場する。キャスト陣は楽曲に合わせた伸びやかで明るい声や力強い歌唱で、楽曲の魅力を丁寧に伝えていた。
また、公演HPでは大部と主演のじん、音楽・音楽監督の西山による楽曲解説が公開されており、観劇前に予習をしたい方にもぴったり。観劇後に改めて楽曲に込められた思いやこだわりを知り、好きなシーンやキャラクターの心情を噛み締めたい方にとっても魅力的なコンテンツだと言えるだろう。

楽曲解説はこちら


登場人物は皆、どこかにいそうなリアリティとキャラクターとしての個性を両立している。クセが強いものの有能なプロデューサーUZさん(田中尚輝)、真面目で不器用なマネージャー・珠子ことタマちゃん(湯田陽花)、面倒見のいい波留(高橋みのり)とノリの軽い佳那(岩田陽菜)など、愛すべき人々だ。紬の熱烈なファン・キュンちゃん(平野紗貴、三村すみか)や芸能界にパイプを持つボス(大部恭平)など、強烈な印象を残すキャラクターもいい味を出している。

また、紬と家族の物語も印象深い。双子の弟・奏太(安田啓人)は発達障がいを抱えており、紬はいわゆる「きょうだい児」にあたるのだが、本作で重きが置かれているのは、彼女の苦労や辛さよりも、双子の絆や家族の愛情と思いやりだ。音楽を愛する父・章造(平野勲人)、厳しくも優しい母・照子(遠山景織子)、紬を応援する姉・文(藤井彩加/川崎瑠奈)と末の弟・湊音(藤田倖羽)は、時に語り手なども担当しながら、紬の人生や人となりを見せてくれる。

家族との何気ない会話、音楽との付き合いなどが軽やかに描かれると同時に、綺麗事だけではない本音、それぞれが抱いている心配や罪悪感のようなものも赤裸々に表現されていた。

物語が進むにつれ、キャラクターの印象が変化していくのも面白い。個人的な悩みや人に言いづらい事情とどう向き合い、折り合いをつけていくのか。紬たちの思いや生き様に自分を重ねながら見る方も多いのではないかと感じた。そこに重なる楽曲は、時にユーモラスに、時にロマンティックに物語を盛り上げている。セリフはもちろん歌詞の中にもグッとくるフレーズが多く、見る方それぞれに刺さるものがあるはずだ。

そして、自分の心に向き合う紬を正面から受け止める人々の存在のあたたかさと心強さも、本作の大きな魅力ではないだろうか。
変わるための一歩を踏み出す紬と周囲の姿からたくさんのメッセージを受け取りに、劇場に足を運んでみてはどうだろうか。

本作は2026年1月15日(木)~18日(日)まで、東京・大塚 萬劇場で上演される。

(取材・文・撮影 吉田沙奈)

公演概要

おぶちゃpresents 
『Gemini Notes,Gemini Lines. 』

作・演出:大部恭平
音楽・音楽監督 :西山宏幸

【出演者】
じん(アイオケ)
安田啓人 高橋みのり 田中尚輝 岩田陽菜
藤井彩加[15(木)、17(土)出演]
川崎瑠奈[16(金)、18(日)出演]
湯田陽花 藤田倖羽
平野紗貴[15(木)、17(土)出演]
三村すみか[16(金)、18(日)出演]
遠山景織子 平野勲人

【演奏】
西山宏幸 (Cond.&Ba.)
佐々木憲 (Key.&Acc.) おーたこーじ (Gt.) 津田北斗 (Perc.) 小寺里枝 (Vn.)

【劇場】
大塚 萬劇場
2026年1月15日(木)〜1月18日(日)

【チケット】
SS席 9,900円
S席 7,700円
A席 特典付き6,600円 特典なし5,500円
(全席指定・税込)

大部恭平じん(アイオケ)インタビュー

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