
12月5日より神戸三宮シアター・エートにて開幕する舞台「七日後、塔は燃え落ちた」。本作は映画「100万円の選択」や舞台「キアロスクーロ」を手掛けた脚本家・大石れいかの書き下ろし新作で、劇作家・演出家の菱田信也が演出を担当。自由に踊りたいという願いから、ゲテル領の独裁者の王・カルロの18番目の妻となった踊り子・フランチェスカが、塔に閉じ込められている青年クラウディオと出会うところから、王国が終焉を迎えるまでの“7日間”が描かれる。
主人公・フランチェスカ役に彩音星凪、青年クラウディオ役に佐藤匠、フランチェスカの育ての母・セトナ役に和海、独裁者の王・カルロ役になだぎ武の4人芝居で行われる。
11月某日、キャスト&演出の菱田が初めて全員揃った稽古初日の様子を取材。座組の様子や稽古中の風景、キャスト4人による意気込みコメントお届けする。
この日取材したのは、本読みを終えて、各シーンの立ち位置や上手&下手の出ハケの確認。実は取材スタッフも驚くほどの短い稽古日数で、短期間による焦りや動揺といった空気感が稽古場に包まれるのではという、取材を終えた時にはそのような心配は杞憂に過ぎなかった。


彩音と佐藤は今年10月の舞台「私はスター」で共演したばかりで、阿吽の呼吸はピッタリ。2人のシーンでは、自然と互いにアイデアを出し合いながら、ブラッシュアップしている様子が伺えた。
セトナ役の和海は、フランチェスカの育ての親で実は亡霊という難しい役を演じる。少しでも役の雰囲気を掴もうと、稽古中だけでなく休憩の合間にも演出の菱田と話し合う場面を多く見かけた。
カルロ役のなだぎは、稽古を積みながらセリフを入れるタイプで“スロースターター”と自負していたこともあり、稽古中は台本を見ながらの確認となったが、ほぼセリフが入っていた佐藤に“裏切り者”と呼んだりと随所に笑いを入れつつ、休憩中ではほぼ同年代である3人(彩音、佐藤、和海)とのジェネレーションギャップにまつわる話で場を盛り上げていた。

劇中では、彩音のダンスシーンがいくつか盛り込まれるそうで、この日もワンシーンだったが、踊りのシーンを観ることが出来た。セリフのタイミング確認がメインだったため、全力とまではいかなかったものの、表現力豊かな踊りを披露。本番が非常に楽しみである。
また本作のキャッチフレーズにもなっている「親と子、どちらの愛が強いのか」というキーワードにも要チェックだ。現時点で明らかになっているのは、フランチェスカの育ての母がセトナということだけ。果たして4人の人間関係は?
キャストコメント

≪フランチェスカ役:彩音星凪≫
この作品は、親である人には、親である立場の人たちに共感できる部分がありますし、親がいる存在の人たちには、私たちのそれぞれの立場に共感するところがあると思います。すごい苦しいお話にはなりますが、苦しいだけではない、ちゃんと光のある作品だと思うので、そこを観ていただけたら嬉しいです。私個人の見どころとしては、私一人で踊るシーンが何か所かありまして、感情表現をしっかりと皆さんに伝えたいと思います。頑張ります!

≪クラウディオ役:佐藤匠≫
4人での舞台は、僕がこれまで出演してきたお芝居の中で、一番少ない人数になります。台本を読んで、登場人物4人の人間関係がすごく大事だなと思っているので、その部分を一色じゃなく、いろいろな色で観ていただけたらと思いますし、どのキャラクターに気持ちを乗っけるかによって作品として違う目で見られるような面白味のある作品が作れるように頑張っていきます。クラウディオは本当にいい子なので、自分の腹黒さをあまり乗せないように(苦笑)、意地悪な部分は全て無くして頑張りたいと思います。

≪セトナ役:和海≫
4人芝居という人数が少ない中で、一人一人が主人公かのように、それぞれの物語を語ることが出来る、本当にいろいろな目線から自分を考えられる舞台です。自分の欲だけを満たすことや、戦争を通じて人間の汚いところがたくさん出るというところが、4人の中でそれぞれ描かれていると思っていて、最初にこの台本を見た時は難しいと思いましたが、実際読み解いていくと、そんなことはなかったです。親と子の絆は素敵なんだと思わせる作品になれるように、頑張りたいと思います。

≪カルロ役:なだぎ武≫
台本を読んで、不器用な人たちの集まりだと感じました。人間らしいと言いますか、みんなの不器用さ、傲慢さ、汚さとか、綺麗さ、ピュアな部分がこの物語に凝縮されていると思いますね。私自身、笑いのないストレートな舞台は久しぶりで、カルロというキャラクターは、人の上に立ちながらも、ずっとどこか哀愁を抱えたりする悲しい男で、誰にも心を“許せてない”“許さない”“許してもらっていない”、その悲しさが全部表現されてます。正直、稽古日数が少なくて、公式Xで“本番まであと10日”とポストされているのにまだ稽古が始まっていなかったり、タイトルが「七日後、塔は燃え落ちた」なのに、我々はの稽古日数は7日もなくて、“塔が燃える前に我々が燃え落ちるぞ”という緊張感はあって、もし本番までにセリフが入らなかったら、『朗読劇みたいな感じにしてくれ!』と言おうかと思っています(笑)。ただ追い詰められた時ほど、座組が一致団結できると思っているので、頑張ってセリフを全部入れて、本番に臨みたいです。
舞台「七日後、塔は燃え落ちた」は12月8日(月)まで上演される。
ストーリー
それは狂王・カルロの城が燃え落ちる七日前―――。
領主であるカルロは、先王であった父、そして実の兄を殺しその王位についた。
混沌とした世界。民は明日食べるパンも無い状態。
そんな中、踊り子のフランチェスカは貧しさから脱却するために
育ての母セトナに連れられ、城に行く。
セトナはフランチェスカが幼い頃に出会った亡霊でフランチェスカにしか見えない。
フランチェスカは自分を救ってくれたセトナを心から慕っていた。
踊りを気に入ったカルロは、フランチェスカを側室として迎えることを決める。
貧しい暮らしから脱却できたと喜ぶフランチェスカ。
だが、セトナの目的は他にあった。
フランチェスカたちが住むことを許された部屋の窓からは白い塔が見えた。
「塔に行ってみたい」と無邪気に呟くフランチェスカに、セトナは言う。
「近づくんじゃない。あそこに閉じ込めているのは罪だけさ」と。
だが、フランチェスカは出会ってしまう。塔に閉じ込められている青年クラウディオに……。
そして最後の七日間がはじまるのだった
公演概要
『七日後、塔は燃え落ちた』
■公演期間:2025年12月5日(金)~2025年12月8日(月)
12月5日(金)19時
12月6日(土)13時/17時
12月7日(日)13時/17時
12月8日(月)13時
※受付&ロビー開場…開演1時間前
※劇場客席開場…開演30分前より
※各公演、特典またはイベントを実施
12月5日(金)19時・全キャストお見送り会
12月6日(土)13時・全キャストサイン入りポストカード
12月6日(土)17時・彩音星凪×佐藤匠 アフタートークショー
12月7日(日)13時・全キャストサイン入りポストカード
12月7日(日)17時・なだぎ武×佐藤匠 アフタートークショー
12月8日(月)13時・彩音星凪×和海 アフタートークショー
■会場:神戸三宮シアター・エートー
■チケット料金(全席指定・税込)
S席…8,800円
※特別SS席は売切れました
■作:大石れいか 演出:菱田信也 制作:あんずシュワワ
■出演
彩音星凪
佐藤匠
和海
なだぎ武
■問い合わせ
あんずシュワワ
mail:towerdownseven@gmail.com
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