『October Sky』のミュージカル化を手掛けたアーロン・ティーレン脚本、マイケル・マーラ作詞・作曲コンビが贈る、生きづらさを抱える人々の背中をそっと押してくれるオリジナルミュージカル『ヒーロー』が、2月6日日比谷のシアタークリエで開幕する(3月2日まで)。
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アメリカ、ウィスコンシン州のミルウォーキーを舞台に、アメコミ漫画を愛し、日々起きた出来事を漫画に描き続ける才能を持ちながら、過去のトラウマに囚われ、一歩を踏み出せずにいる主人公「ヒーロー・バトウスキー」が、彼を取り巻く人々と交流や挫折つ、再開と別れを通して真実の幸せ、気づいていく、アメリカン・コミックに登場するような並外れたパワーは無くても、誰もが自分の中にスーパーパワーを持っているという、新たなヒーロー像を描いたハートフルな作品だ。
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そんな舞台の初日を明日に控えた2月5日、ゲネプロを前に囲み取材が行われ、主演のヒーロー・バトウスキー役の有澤樟太郎、ヒーローの高校時代のガールフレンドである出来事をきっかけに互いが誤解したまま離れてしまっていたジェーン・フォスター役をWキャストで務める⼭下リオと⻘⼭なぎさが公演への抱負を語った。
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──初日を明日に控えた今の心境を一言ずつお願いします。
有澤 無事にミュージカル『ヒーロー』が幕を開けるということで、場当たりもリハーサルも全て終えたゲネプロの前なのですが、やっと実感がわいてきたというか。こうして多くの方にも集まっていただいて緊張しているんですけれども、稽古場で僕たち本当にしっかり稽古できましたし、演出の(上田)一豪さんが素晴らしいですね。
こういうとなんだか媚びているみたいなのですが(笑)そういうことじゃなくて、僕も一豪さんとやる芝居は三度目くらいになるのですが、こういった人の内面を描く作品、人間ドラマを描く作品というものはすごく一豪さんにあっていて。僕たちもミルウォーキーの話で、わりと自分たちにはなじみのないような習慣だったり、雰囲気だったりというものを言葉で教えてくれたり、身体で伝えてくれたり、本当に全身全霊で伝えてくれて。不安だったところもむしろ楽しみにさせてくれる、そういう稽古場作りを今回やってくれたので、僕自身も本番に向けて、何よりもまずたくさんの方に観ていただきたい作品になりました。是非多くの方に楽しんでいただきたいなと思っています。
山下 二十言くらい言ったね(笑)
青山 ひと言なのに(笑)
有澤 二十言も言った?(笑)
山下 言った(笑)えぇ(笑って仕切り直し)ミュージカルに関しては三度目の出演なのですけれども、今までファンタジー作品が多かったりしたので、こうした等身大の現代もののミュージカルが初めてで、結構自分のなかでも難しいなと思うことが多かったのですが、有澤さんがおっしゃる通り一豪さんがとても良い稽古場づくりをしてくださいましたのて、二ヶ月(稽古期間が)ってすごく長いと思っていたのですが、あっという間に明日初日で。とにかく楽しみつつ良い作品になると思っていますので、頑張りたいと思います。
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青山 私は初ヒロインを演じさせていただくことになって、最初は緊張で稽古場でもガチガチだったのですが、本当にカンパニーの皆様が優しくて。私がどこに行ったらいいんだろうという顔をしていたら、積極的に話しかけて下さったり、それこそ演出の一豪さんもちょっと面白い動きをしながら私に教えて下さったことで、すごく心がほぐれて楽しく稽古をすることができました。個人的には最初にキャストの皆さんとご一緒させていただいたときに、横に並ぶとわかるのですが私の身長が足りなくて(笑)みんな身長が高いということで!
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有澤 そうだよ。
山下 足りてるよ!
青山 (ヒールで)盛ってますよ(笑)そんな状況で身長大丈夫かなと思っていたら「ちっちゃいね、ちっちゃいね」と毎回のように有澤さんが言うので。
有澤 あ~良くないなそれ(笑)
山下 言っちゃったか~
青山 いじっていただいて(笑)本当に仲の良いカンパニーなので、楽しく過ごさせていただいていて、明日からの初日も是非この仲の良さもみなさんに伝わるといいなと思っています。
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──皆さん、どんな役どころなのかを簡単にご紹介いただけますか?
有澤 簡単にですね?(笑)短めにします(笑)。ヒーローという役は、こういう主人公というのもよくいると思うのですが、すごく内面的に色々なものを抱えていて、一見共感できないなと思われる役かも知れないのですが、本当に色々なものを背負っていて。
だから稽古場でも自分で何かを自家発電し何かをやるというよりは、本当にみんなに色々な影響をもらったりしたし、そのストレスみたいなものを出すエネルギーもなく、本当に諦めている人なんです、ヒーローという役は。よくヒーローというと、ビジュアルのイメージでもこうして(右手の拳を上げるポーズをして)いるので、何かパワーを使うんじゃないかとか、すごく強い主人公なんじゃないかと思われると思うのですが、決してそういう役ではなくて。
自分もこういう役を、何かを背負う役というのはやってみたかったので、今回稽古を通して一豪さんともそれについてたくさんディレクションもしていただきましたし、僕が作ったというよりもみんなが作ってくれたヒーローなので、良くなかったよって言われたら皆さんのせいだから(笑)。嘘です!(笑)自信を持ってというのとはちょっと違うかもしれませんが、やっとここまでこられたから。観て欲しいっていうのもまたちょっと違うのかもしれませんが。
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山下 観て欲しいでしょう?
有澤 いや、ちょっとなんか…だからやってみてよマジでヒーロー!(笑)そういうちょっともどかしいものもありますが、作品を楽しんでいただけたら嬉しいです。
山下 ジェーンは10年ぶりにミルウォーキーに帰ってくるという設定で、一度地元を出てというのが珍しくもあったりするんです。そうして出た人間が自分の身に起きた物事に対して受け入れて、また環境を変えて戻ってくる瞬間ってすごく強くて頼もしいんですよね。自分が引きずっていないと言うか、そういう風のような強さを持っている人で。すごくヒーローにとっても押し上げていくような人物になるんじゃないかと思っています。
青山 ジェーンは芯のしっかりした女性で、過去に色々あったけれど、ジェーンが前向きにものごとをとらえられるからこそ、ヒーローも背中を押されるような形でどんどん物語がポジティブになっていくんじゃないかなと思っています。
──有澤さんは座長としての作品ですが、それによって何か心持ちが違ったりもされましたか?
有澤 やっぱり今まで割と自分がカンパニーを盛り上げる役割りというか、元気な役が多かったので、そういう立ち回りをしていたのですが、今回さっきも言ったように諦めてしまっている、内面に大きなものを抱えてしまっている役で。あまり自分は役や役作りに影響されるタイプではないと思っていたのですが、すごくテンションが上がらなくて。本当にテンションの上げ方が大変だなと思っていて、皆様に助けていただいています。今まであれだけ自分が盛り上げていたのに、今回全然盛り上げ切れていないなか、皆さんがマジで優しくて。そういう役作りみたいなところで「なんだこいつ」と思われているんじゃないかなと。
山下 いいのよ、いいの。すごいね(報道陣に)いまヒーローみたいなネガティブさを持っているみたいです(笑)。
有澤 ゲネプロの前にすみません。ちょっとヒーロー入っているみたいです(笑)。
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──素敵なミュージックビデオも公開されていて「That’s My Kryptonite」いう、スーパーマンの弱点を意味するタイトルのナンバーですが、それにちなんで皆様の弱点はなんですか?
青山 私は寒さに弱いってところですかね。冬の稽古ということもあって、いつも稽古場では誰よりも暖かい恰好をしつつ、更にカイロを身体のあちこちに貼っているくらい寒さに弱いです。
山下 私はミュージカルですかね(笑)。
有澤 いやいやいやいや!
山下 いえ、やっぱり映像の畑の人間だと思っているので、自分にとってはいつも挑戦だと思っていて、お仕事のなかで一番の弱点だなと思ったりしています。でも大丈夫!大丈夫ですよ、克服しますここで。
有澤 素晴らしい!弱点……なんだろうな、影響されやすいところですかね。弱点でもあり良いところでもあるんですけど、ちょっとうまくいかないなという時はこう(下がる)なるし、楽しい時にはこうなる(上がる)、わかりやすいところが弱点なのかなと。だから隠せるように、そろそろ三十歳になるので、いい大人になりたいと思っています。
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──公演を楽しみにされている皆さんにメッセージを
有澤 一豪さんのもと、僕は本当にこの『ヒーロー』は自信作になったと思っています。個性的なキャラクターも多いんですけど、みんなが本当に頑張りすぎていないと言うか、役として、ミルウォーキーの人間として生きてる。本当に自然体でみんながいられるように稽古を重ねてそれぞれの役作りもできました。なので僕もヒーローとして最後に本当に救われる話になっていますし、皆さんも本当に観てよかったなとも前に進みたくても進めないという方もたくさんいらっしゃると思いますが、前向きになれる作品だと思っていますので、全30公演以上ありますけれど、頑張って皆さんに届けたいと思っていますので、是非たくさんのご来場お待ちしております。楽しみにしていてください。
和やかな笑いに包まれた会見は終了。カンパニーの仲の良さが伝わる雰囲気に公演への期待が膨らむ時間だった。尚、シアタークリエの1階ロビーにはヒーローの父親アルが営むコミックショップを模した作品の世界観いっぱいの装飾も施されているので、是非早めのご入場をおススメしたい。
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(取材・文・撮影/橘涼香)
ミュージカル『ヒーロー』
公演期間:2025年2月6日 (木) 〜 2025年3月2日 (日)
会場:シアタークリエ
出演
有澤樟太郎 山下リオ/青山なぎさ(Wキャスト) 古屋敬多/寺⻄拓⼈(Wキャスト)
宮澤佐江 吉田⽇向/木村来士(Wキャスト) 佐藤正宏 ほか
スタッフ
スタッフ
脚本:アーロン・ティーレン
作曲・作詞:マイケル・マーラー
翻訳・訳詞・演出:上田一豪
STORY
奇跡はすぐそこにある―
漫画家志望のヒーロー・バトウスキーは父親と二人暮らし。ウィスコンシン州のミルウォーキーにある実家のコミックショップで働いている。高校卒業時のあることがきっかけで心が折れたヒーローは、前に進むことができなくなっていた。
ある日、高校時代のガールフレンド・ジェーンが街に戻ってくる。お互いの気持ちのすれ違いから別れたが、10年ぶりに再会した2人は当時の誤解を解き再び中を深めていく。さらには、勇気を出して出版社に送っていた自作の漫画に契約の話が舞い込んで来て、順風 満帆の幸せな日々を送っていたヒーロー。だがある日、彼が幸せを掴もうとすると不幸な出来事が起きてしまう。再びヒーローはヒーロー人生を諦めようと決意し―
▼ホームページ
https://www.tohostage.com/hero/
▼カンフェティ限定!チケットはこちら
https://www.confetti-web.com/events/6240
有澤樟太郎 インタビュー
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