【4年振りの開幕!!公演レポート!!】ブロードウェイミュージカル『レント』

永遠の傑作 ブロードウェイミュージカル『レント』東急シアターオーブにて開幕!

コロナ禍で二度の中止を余儀なくされた待望のオリジナル演出版来日!

1996年にNYの小劇場でオープン後、わずか2ヶ月でブロードウエィに進出。ピューリッツァ賞、トニー賞、オピー賞など各賞を総なめにし、まさに社会現象ともいえる熱狂で迎えられ、いまなお、時代を超えて輝き続ける傑作ミュージカル『RENT』

作詞・作曲・脚本のジョナサン・ラーソンが、オペラ『ラ・ボエーム』を下敷きに、HIVウィルス危機や、孤独、就労不安、貧困に翻弄されながらも、若者たちが、夢や情熱、友情を糧に「大切なのは今、この瞬間なんだ(“NO DAY BUT TODAY”)」と懸命に生きる姿を描いたストーリーと、 “SEASONS OF LOVE “をはじめ、名曲の宝庫のミュージカルナンバーの数々が観る者の心を捉えた。

そんな作品の初演から20周年を記念して立ち上げられた全米ツアー公演(2016年・18年に来日)の集大成として、2022年5月、ラーソンと共に『レント』を生み出したマイケル・グライフによるオリジナル演出版が、コロナ禍による二度に渡る公演中止を乗り越え、4年ぶりに待望の来日を果たし、「25周年フェアウェルツアー」の、その名の通り “ラストチャンス”となる予定のステージが開幕した。

愛をもって今を生きることの尊さが詰まった等身大のミュージカル!

ジョナサン・ラーソンの想いを受け継ぐ、
一生忘れない「季節」がやってくるーー
『RENT』25周年フェアウェルツアーついに来日!

【STORY】

20世紀末のNY-イーストヴィレッジ。クリスマスの夜。
荒廃したアパートに住み、家賃(レント)も払えない貧しい生活を送るマークとロジャー。

映像作家を目指すマークは女性弁護士ジョアンと付き合い始めた元恋人のパフォーミング・アーティスト、モーリーンに今も振り回されている。

一方、シンガーソングライターを目指すロジャーは、人生に刻まれる1曲を書きたいと願いながら、それが果たせず悶々とした日々を過ごしているが、ナイトクラブダンサーのミミと出会い、互いに惹かれあいながらも、心を通わせることができない。

二人の共通の友人で、共にHIVポジティブのエンジェルとコリンズは、互いに残された時間が少ないことを意識しながら、共にあなたを守ると誓いあう。

季節は流れ、行方不明になっていたミミが手遅れの状態で発見される。真っ直ぐな気持ちでミミに向きあうロジャーが、やっと書き上げたラブソングを捧げると……。

Report

ミュージカルの世界に全く新しい扉を開いた作品と称えられる『RENT』の伝説は、ロック調の音楽、愛、友情、希望などの前向きなメッセージと同時に、貧困や人種差別、麻薬中毒、同性愛、当時不治の病と恐れられていたHIVウィルスによる危機なども臆せず描き、等身大の若者たちの姿を描いたことだろう。

さらにこの傑作ミュージカルが開幕を迎えた1996年初日当日、ジョナサン・ラーソンが大動脈瘤破裂によって35歳の若さでこの世を去ったという、あまりに衝撃的な出来事が、「若い人にも楽しんでもらえるミュージカルを」と願いをこめてこの作品を制作したラーソンの、尊い意志のすべてを担って作品が成長していった、まさに伝説としか言いようがないドラマが作品を高みへ、高みへと押し上げていったのだ。

しかも、2022年未だ収束したとは言い難い新型コロナウィルス禍に揺れる日本で、多様な人種の優れたパフォーマーたちが躍動しているステージに接すると、この作品の普遍性に改めて目を開かれる思いがする。どんなに苦しい日々が続いても、「52万5千600分」の1年をどう数える?日没の数?真夜中の数?笑いの数?涙の数?では愛で数えるのはどうだろう?と問いかける”SEASONS OF LOVE “や、夢に破れ、愛する友の死をも乗り越え、大切なのは過去ではなく「今」だ、と届けられるメッセージ「NO DAY BUT TODAY」が心に深く染み入ってくる。

 特にラーソンと共に『RENT』を生み出したマイケル・グライフによるオリジナル演出版の、鉄骨を積み上げたような抽象的なセットと登場人物たちの物語が、映像効果などに頼らずいまそこで繰り広げられている現実感と、ドラマ性を巧みに共有していて惹きつけられる。中でもサイドから強く当たるライトによる強いコントラストや、登場人物の不安感をあらわすように、壁に大きく映し出されるシルエットなどが実に印象的。日本でも様々なカンパニーによって数多く上演されている作品で、そのいずれもが魅力的なステージだったが、やはりオリジナル演出版を観ると、双方の良さを感じられる利点もあり、これまで『RENT』に接していない方はもちろん、観ている方にも是非この作品のオリジナリティを体感して欲しいと思わせる。

特に、「日本に来るのをずっと楽しみにしていました!コロナ禍でも待ってくれている皆さんの存在が自分の支えになりました。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」とコメントしたロジャー役のコールマン・カミングスや、「2018年以来の日本公演になります。東京に再び戻ってくることができて嬉しいです!生きることの大切さを謳う『RENT』で劇場に戻ってくることができて幸せです」とコメントしたマーク役のJ.T.ウッドをはじめ、カンパニーのメンバーがそれぞれ実力と個性にあふれていて、群像劇としての作品の魅力を盛り上げる様が圧巻。

来日カンパニー公演の常で、アンサンブルメンバーがプリンシパルキャストの役柄を演じることもあるが、いずれもこの人がアンサンブルなの?と驚くほどの力量を持っている面々なので、どの回のどのタイミングで観ても、伝説のミュージカルの醍醐味が味わえることは間違いない。

 クリスマスの夜から次のクリスマスの夜まで「52万5千600分」の1年を描いた作品に起こる奇跡を、迫力のステージで体感して欲しいファイナルの名に相応しい来日公演だ。

(文・撮影/橘涼香)

ブロードウェイミュージカル「レント」25周年記念Farewellツアー来日公演

公演期間:2022年5月18日 (水) ~2022年5月29日 (日)
会場:東急シアターオーブ
STORY:
舞台は20世紀末のNY-イーストヴィレッジ。

荒廃したアパートに住み、家賃(レント)も払えない貧しい生活を送るマークとロジャー。
映像作家を目指すマークは女性弁護士ジョアンと付き合い始めた元恋人のパフォーミング・アーティスト、モーリーンに今も振り回されている。

シンガーソングライターを目指すロジャーは、曲が書けず悶々とした日々を過ごしているが、ナイトクラブダンサーのミミと出会い、互いに愛し合うものの、心はすれ違う。
共にHIVポジティブのエンジェルとコリンズは永遠の別れを迎える。

ある日、行方不明になっていたミミが手遅れの状態で発見される。
真っ直ぐな気持ちでミミに向きあうロジャーが、やっと書き上げたラブソングを捧げると……。

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