
6月4日(水)より博多座にて『六月博多座大歌舞伎』が開幕した。
本公演では中村勘九郎・中村七之助が7年ぶりの博多座への出演になるため、その期待は高く、人気演目そして、清新な出演者が揃うこととなった。今回は大盛況で迎えた初日の様子を綴った公演レポートが到着した。
昼の部では、義太夫狂言の名作『双蝶々曲輪日記 引窓』からの幕開け、橋之助の南与兵衛後に南方十次兵衛、鶴松の女房お早、梅花の母お幸、中村福之助の濡髪長五郎で、互いの立場や心中を思い合う濃厚な人間ドラマを演じた。
続く『お祭り』は、粋で洒脱な江戸情緒溢れる清元の舞踊。勘九郎の鳶頭が『平成中村座小倉城公演』でも大好評だった本演目で色気たっぷりに踊った。
そして、昨年五月に東京・新宿での「歌舞伎町大歌舞伎」で初演され好評を受けた新作歌舞伎『福叶神恋噺』。七之助の愛すべき貧乏神おびん、虎之介のどこか憎めない大工辰五郎、勘九郎の貧乏神すかんぴんと、今回から初登場の貧乏神元締からっけつを猿弥が演じ、博多にちなんだエピソードも加わり、劇場はたくさんの笑いと生き生きとした人情味に溢れるお芝居にあたたかく包まれ、昼の部を締めくくった。
夜の部は、ご当地もので冤罪で筑紫に流された菅原道真の悲運を題材にした義太夫狂言の名作『菅原伝授手習鑑』 。虎之介の桜丸、鶴松の苅屋姫、中村福之助の斎世の君で、59年ぶりに『道行詞の甘替』を洗い直して上演。
そして、十八世中村勘三郎が復活させ、当代勘九郎に継承された『怪談乳房榎』。落語家・三遊亭円朝の口演を基にした怪談噺で、気品漂う重信、正直者の下男正助、悪党の蟒三次という異なる三役を勘九郎が早替りで演じ分け、本水を使用した滝壺の中で早替りしながらの大立廻りでは、観客が感嘆するほどの大きなどよめきと歓声がおき、劇場は、圧巻の迫力とエンターテインメント性に惜しみない拍手が贈られた。
公演は、6月26日(木)まで博多座にて上演。
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公演情報


六月博多座大歌舞伎
■演目:
<昼の部>
一、双蝶々曲輪日記 引窓
二、お祭り
三、福叶神恋噺
<夜の部>
一、菅原伝授手習鑑
二、怪談乳房榎
■会場:博多座
■出演:中村勘九郎・中村七之助・中村橋之助・中村福之助・中村虎之介・中村鶴松・中村梅花・市川猿弥
■日程:令和7年6月4日(水)初日~26日(木)
昼の部11:00開演 夜の部16:00開演 【休演】10日(火)、18日(水)