【開幕記念会見レポート】ミュージカル『この世界の片隅に』

日本発のオリジナルミュージカルとして5月9日ミュージカル『この世界の片隅に』が、東京日比谷の日生劇場で開幕した(30日まで。のち、6月6日~9日北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru、6月15日~16日岩手・トーサイクラシックホール岩手 大ホール、6月22日~23日新潟・新潟県民会館 大ホール、6月28日~30日愛知・御園座、7月6日~7日長野・まつもと市民芸術館、7月13日~14日茨城・水戸市民会館 グロービスホール、7月18日~21日大阪・SkyシアターMBS、7月27~28日広島・呉信用金庫ホールで上演)。

こうの史代による同名漫画を原作としたこの作品は、太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、それゆえにいっそう生きることの美しさが胸に迫る作品となっていて、2度に亘る映画化、実写ドラマ化とメディア展開が続けられている。

今回の舞台は、そんな不朽の名作のミュージカル化で、脚本・演出に、『四月は君の嘘』をミュージカル作品として成功へ導いた実績を持つ上田一豪。そして、ミュージカル全編を彩る珠玉の音楽を、歌い継がれ続けている 国民的合唱・卒業ソング「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を作詞・作曲し、2014年の渡米からミュージカル音楽作家として10年ぶりに再始動するアンジェラ・アキが手掛けることでも、大きな話題を呼んでいる。

そんな作品で、絵を描くことが大好きな主人公の浦野すず役をWキャストで演じる昆夏美大原櫻子。すずが嫁ぐ相手の北條周作役を同じくWキャストで演じる海宝直人村井良大に、アンジェラ・アキが加わり、昆・海宝コンビで初日を開けた翌日の10日、この日の夜に初日を迎える大原・村井コンビが、それぞれのいまの心境や、作品への思いを語る開幕記念会見が開かれた。

──昆さん、海宝さん、アンジェラさんは昨日の初日を終えられ、大原さんと村井さんは今日ゲネプロを終え、これから初日となります。そのいまのお気持ちを色に例えて、その理由と共に教えてください。

昆 新作のミュージカルですので、まだ色が全くついてない状態の白だと思うんです。でもこの作品の温かみという部分を入れると、真っ白というよりオフホワイトかなと。

海宝 細かい!

昆 お客様がいてくださることによって作品が誕生するというのはやっぱり本当だなと感じていて。新作ということでどんな作品が目の前で繰り広げられるんだろうという、お客様のワクワクや、そわそわで結構はじめはシーンとしている感じだったんです。でも徐々にこの作品の温度感を受け取ってくださって、劇場が一体になる感じがしていって、笑いだったり、拍手だったりを改めて肌で感じて、届いているのかなという印象で初日を迎えられました。

海宝 色って言うと大喜利みたいな感じだね(笑)。昨日僕は初日を昆ちゃんと迎えさせていただきまして、原作はありますけれども、世界初演のミュージカル化ということで、やっぱり観客の皆様も、僕たち演者もちょっと緊張感があるところから始まりましたけれども、本当に温かくお客様に迎えていただいて、お客様の反応を肌で感じるような、温かい温度感みたいなものを感じることができて、皆様のおかげでいい初日を迎えられたなと思っています。ですから、お客様によって一色というよりは、様々な優しいパステルカラー、優しいカラーでこの作品に彩っていただいたなという気持ちがしております。

大原 先ほど通し稽古を終えたんですけれども、いまの率直な気持ちはオレンジです。演じている私自身もそうですし、昨日お二人の初日を観させていただいた時、もお客様が温かい気持ちで劇場を出られる作品だなと感じたので、いまはオレンジです。

村井 僕自身は先ほど最後のリハーサルを終えた時は青色だったんですね、自分でもびっくりするぐらい冷静で。だけどこれから本番に向けていくために、そこに赤を混ぜて紫にしないな、と思いながら臨みたいと思います。

アンジェラ 皆さんがおっしゃっている色が私の中でもすごくしっくりきていて。昨日本番を観させてもらって、オフホワイトもわかるし、海宝くんの言っていることもわかるし、これから本番のステージに向かうお二人の色もわかります。私はこの作品とともに4年近く時間を費やして、一人でずっとピアノと向き合って作ってきたものが、彼らをはじめ全ての演者さんの声を通して、新しいものに生まれ変わったと思うので、先ほども出ましたけれども、お客様と一緒に作っていくカラーだなと思います。自分の言葉を借りて言いますけど「自由の色」です。

四人 わー!!(拍手)

アンジェラ それぞれの公演が違う色に染まっていく。本当に自由な新しい作品が毎日生まれるような気がします。

──「自由の色」はアンジェラさんが、ご自身で歌唱したアルバム『アンジェラ・アキ sings「この世界の片隅に」』にも入っていますが、今回10年ぶりに日本で活動を再開されて、ミュージカル全編の楽曲を30曲以上創られたと聞いておりますが、ご自身でこれまでに創られたアルバムとは別のご苦労がおありになったのでは?

アンジェラ 苦労した点はいくつもあるのですが、こうの先生の原作が持っている温かさとか、ピュアさをどう音楽化するか。上田さんが素晴らしい脚色にしてくださったので、それをどう支えられるか。一番に原作をリスペクトし、一豪さんの脚色を立てるような、支えられるような音楽にしたいなと思ったのと、楽曲を作っていく時に台本がすごく好きで。とても読みやすかったし、毎日「じゃあ、今日はどこから作るか」と、台本をパンとあけて、あ、このシーンかと。

キャストたち (口々に)えー? 本当ですか?

アンジェラ そうなの(笑)。最初に作ったのが「端っこ」と「醒めない夢」だったんです。

四人 へぇ~!!

アンジェラ できあがった時に「見えた」と思いました。それを乗り越えたら、あとはどうバランスを取るかだったので、最初の2曲が一番時間を費やしたかな。

──CDでも「端っこ」から最後に「醒めない夢」のメロディーが入ってきますが、キャストの皆さんは、アンジェラさんの楽曲について、実際に歌われていかがですか?

昆 私は稽古の時には色々な歌い方だったり、アプローチの仕方に1度足を止めて考えることがあって。でもお稽古を続けていく中で、シーンとして歌うなかで、こういう感じかなみたいなものを自分で見つけ、アンジェラさんや歌唱指導の方にアドバイスもいただきつつ進めていきました。昨日お客様の前で歌った時に、あんまり役者が自分で悦に入っちゃいけないと思うんですが、すごく没入感のある楽曲が多いな、没頭できて中に入り込める楽曲が多いなと思って。今日初日を迎えられるお二人を客席で観たいなと思っているのですが、改めて本番の中で、客席で聞いた時にどういう印象を受けるんだろうなというのが、すごくいま楽しみです。さっき「端っこ」の話が出ましたけど、アンジェラさんの稽古場での言葉の中ですごく印象的なものがあって「『端っこ』はさくちゃん(大原)と昆ちゃんの色で歌っていい、任せるから」と言ってくださったのがすごく嬉しくて。もちろん二人の個性とか、やってきた歴史の中から生まれる出るものの違いもあるでしょうし、幅広い聞き方で聞いていただける楽曲も多いと思うので、キャストによって聞こえ方が違う楽曲が多いのではないかなと思いました。

海宝 最初に曲をいただいた時に、とてもこの原作とマッチした瑞々しい楽曲だなというのが印象で。そこから稽古に入って歌わせていただいて、とにかく音楽の力がこの作品の推進力になっているなというのを、演じていてとても感じています。アンジェラさんがずっと音楽界で培ってこられたもの、そして実際に演劇、ミュージカルを勉強された、その二つの感覚が混ざり合って、今までのミュージカルとはまた一味違う、新しい形というのか、それがこの作品にとてもマッチしているなというのは、日々稽古しながら演じながら感じています。稽古の中でも俳優ともディスカッションもしていただきながら、お芝居の中でどう音楽が生きていくのかというところも妥協せずに、共に歩いてくださったというのは僕たち演者としてはありがたい、得難い経験だったし、贅沢だなと思いますね。ちょうど稽古場の配置的に僕らの席の隣にピアノがあるんですけど、そこでアンジェラさんが編曲というか、直したいところを、ピアノを弾きながら歌っていらっしゃることが、だんだんが当たり前になっていく贅沢さで。ふと気づいたら「そうだ、アンジェラ・アキさんが、隣でピアノを弾いて歌っているんだ!」と思うと、なんて贅沢な時間だったんだろうなと、すごく感じていました。

大原 私は初めてこの作品に携わった時に、それこそ「端っこ」と「醒めない夢」を聞かせていただいて、もう涙が止まらない感動があって。この二曲以外にも共通しているんですけれど、どこか懐かしいような感覚が、曲からぐっと引き出される感じで、懐かしさって人の感動だと思うのですが、そういったところでたくさんの楽曲に感動させていただきました。私はアーティストとしてポップスも歌わせていただく中で、アンジェラさんが「ポップスで歌っていいよ」と言ってくださった言葉で、曲との距離がすごく近くなって、いまとても歌いやすく、のびのび歌わせていただいているな、という感覚です。どの曲も名曲で、まさかお一人から生まれたとは思えないぐらいバラエティに富んでいて、ミュージカルでは全26曲になると思うので、本当に早く一曲一曲を皆さんにお届けしたいなという思いです。

村井 もう本当に全ての曲が耳に残り、そして心地よく聞けてしまうもので、役を忘れて歌いたくなっちゃうようなところもあるのと、他の方達が歌っている曲も自分も勝手に口ずさんでいるぐらいで。耳にも残るし、心にも残るし、温かさもあるし、先ほど「自由の色」で観ていただきたいというふうにおっしゃいましたけれど、本当に様々な色が入っている曲が多いので、皆さんにどう届くか。昨日初日をご覧になった方達には届けられたと思いますが、これからたくさん地方公演もありますし、色々な方に聞いていただいて、それぞれの心に届く響くメロディーを感じ取っていただければ。日本人だけがわかるというような温かみをすごく感じ取れる作品ですので、是非聞いて覚えていただいて、帰る頃に何かを口ずさんで歌っていただければなと思います。

──皆様のお好きなシーン、ご自身のシーンでも、他の方のシーンでも、ここが好きだ!というところを教えてください。では逆回りで行きましょうか。

村井 僕が一番好きなシーンはスイカのシーンなんですけど。あそこはいいよね(キャスト同意)、とっても良いです。いつ観ても泣いちゃうんですよね。詳しくは言えないのですけど、スイカのシーンは是非聞いて、セリフも込みで全部感じ取っていただければと思います。ちなみに本物のスイカを毎回食べています。本当に甘いですよ。

昆・大原 本当に美味しい!

海宝 本当に甘いよね、どこから取り寄せてるのかわからない(笑)。

村井 お高いやつじゃないですかね(笑)

大原 えぇ、ちょっと待って難しいよ、選べない……日本人の自分がひとりのお客さんとして観ていて、やっぱり桜って美しいなというのが「花祭り」の曲をみんなで歌うシーンがあるんですけど、あそこはあの歌とセットとにもう感動して、それだけで泣ける感じが私はしていて、自分自身が櫻子という名前なこともあって、親近感があって大好きです。

──昆さんはどうですか?

昆 えっ私ですか?(海宝に)先に言っていいの?

海宝 いいよ、いいよ!

昆 全体で言うと好きなシーンがいっぱいあるんですが、みんなで歌うもので言うとやっぱりM1の「この世界のあちこちに」です。物語の始まりですし、どういう作品が始まるんだろうと、幕が開いて最初に聞く曲で本当に素晴らしいです。こちらも物語を進めていく推進力やエネルギーを、演出の上田一豪さんからも落とさないでほしいというディレクションはいただいていて、そこがマッチした時に楽曲の温かさと前に行く力がすごくフィットするなと思っています。やっぱりみんなで最初に届ける歌ですし、そこでお客様の心をぐっと掴んで物語が進んでいけば、こっちの勝ちかなと言うか(笑)。やっぱりつかみって大事だなと思うので、責任を持ってお届けしたいと思います。

海宝 僕も本当に好きなシーンがたくさんあるのですが、個人的には水原哲さんとすずさんの納屋のシーンがとても好きで。

昆 いいです!

海宝 うん、いいよね。あのシーンは、稽古場の中でもいろいろな形でチャレンジというか、一豪さんとアンジェラさんがやりとりをして様々な形で試した結果、今の演出になっているんですけど、とにかく繊細でバックに流れているアンジェラさんの音楽と高まりの描き方がとても素晴らしくて。ちょうど僕は袖で次の出番を待っているのですが、ちょっとその後にやきもちを焼くシーンになっていくんですよ、もう本当にあのシーンがよければよいほどこっちはクッとなって出られるので、あそこはいつも本当にいいシーンだなと思いながら出ています。

──アンジェラさんは特に言いにくいと思うのですが、敢えて選んでいただくとすると?

アンジェラ 今みんなが喋っている時に私はどれだろうと考えていたのですが、この4人の歌は素晴らしい、100点なことは大前提として、やっぱり自分がお芝居の世界の人じゃないので、お芝居に圧倒されます。たぶん早いタイミングで村井くんに言ったのですが、それこそ桜のシーンの中で、言葉を発さないけれども二人のキャラクターがすれ違うシーンがあって、あれで号泣するんです。喋らなくても泣けるというのが、すごい演技力だなと思うしいつも圧倒されます。しかも二人の思いがまたちょっと違って、それぞれの周作の思いがビシビシ来て、毎回フレッシュな気持ちであのシーンを観ていてとても好きです。もうひとつは最後の方に、すずと、妹のすみちゃんが会話をするシーンで、1回も稽古場で涙せずには観ていないです。あの間合いというか、もう本当に贅沢で、(キャストに)贅沢なのはこっちなんです。毎日稽古場でこれを観られるんだって。もう私は最初の通し稽古で「お金取れる、これ」と言いました(笑)。それくらい圧倒される、素晴らしい体験を私がさせてもらっています。だから全部好きですが、敢えてと言えばそこですね。

──では最後にすず役のお二人から、これから日生劇場で始まって、最後は呉の大千穐まで全国を回る抱負を含めて、皆様へのメッセージをお願いします。

大原 戦時中の話ということで、多くの方が暗い気持ちになるんじゃないかと思われているかと思うのですが、戦争の悲惨さというのももちろん描かれてはいるのですが、やっぱり重きを置いてるのはすずが居場所を探していく、すずの成長の話、すごく普遍的な話であり、また私も先ほど色に例えて言いましたけれども、最終的には観たお客様が皆さん絶対に笑顔で劇場を去ることができる。それくらい温かい物語になっているなという思っておりますので、是非多くの方にご来場いただきたいと思いますし、いま4人いますけれども、この組み合わせによってたぶん受け取るお芝居の感じも全然違うと思うので、1回とは言わず4回見に来てください。

昆 こうの先生の原作はもちろんありますけれども、新しい作品が生まれる瞬間に、いま自分が立ち会えていることが本当に光栄です。お稽古をしていく中で、本当に皆さんがこの作品を愛して、原作をリスペクトしつつミュージカル化する意味を考えながら、どうやったら最大限にお客様にお届けできるかを、すごく考えながら作っていった稽古期間でしたので、温かい人たちが温かい空気の中温かい作品を届けられていることが私はとても嬉しいです。この作品の持っているメッセージだったり、温度感を是非劇場にきて体感していただきたいですし、日本人が作る日本の物語を全国にお届けできるというのもとても貴重なありがたい機会だと思うので、ミュージカルに今まで興味がなかったという方も、気軽に作品に出会いに来ていただければいいなと思います。

(取材・文・撮影/橘涼香)

ミュージカル『この世界の片隅に』

イントロダクション
こうの史代による原作漫画は、太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、それゆえにいっそう生きることの美しさが胸に迫る作品です。2度に亘る映画化、実写ドラマ化と、様々に形を変えて永遠に残り続けるであろう不朽の名作を、ミュージカルとして新たに上演いたします。脚本・演出は、原作コミック『四月は君の嘘』をミュージカル作品として成功へと導いた実績もある上田一豪が、そして、ミュージカル全編を彩る珠玉の音楽を手掛けるのは、歌い継がれ続けている 国民的合唱・卒業ソング「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を作詞・作曲し、2014年の渡米からミュージカル音楽作家として10年ぶりに再始動するアンジェラ・アキに決定!キャスト陣には、絵を描くことが大好きな主人公の浦野すず役を昆夏美と大原櫻子がWキャストで、すずが嫁ぐ相手の北條周作役を海宝直人と村井良大のWキャストで、すずと周作の三角関係となる白木リン役を平野綾と桜井玲香がWキャストで、すずと幼馴染で淡い恋心をいただいていた水原哲役を小野塚勇人と小林唯がWキャストで、すずの妹の浦野すみ役には小向なるが、周作の姉ですずにとっては義姉の黒村径子役を音月桂と、人気実力派が勢揃いいたしました。
日生劇場で開幕の後、全国ツアーを展開し、『この世界の片隅に』の舞台である広島県呉市にて大千穐楽を迎える予定となっております。

クリエイティブ&キャスト
原作:こうの史代 『この世界の片隅に』(ゼノンコミックス/コアミックス)
音楽:アンジェラ・アキ
脚本・演出:上田一豪

浦野すず:昆 夏美/大原櫻子(Wキャスト)
北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)
白木リン:平野 綾/桜井玲香(Wキャスト)
水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)
浦野すみ:小向なる
黒村径子:音月 桂

白木美貴子 川口竜也 加藤潤一

飯野めぐみ 家塚敦子 伽藍 琳 小林遼介 小林諒音 鈴木結加里 高瀬雄史 
丹宗立峰 中山 昇 般若愛実 東 倫太朗 舩山智香子 古川隼大 麦嶋真帆

桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬 晴
大村つばき 鞆 琉那 増田梨沙

上演スケジュール
【東京公演】 
5月9日(木)~5月30日(木)日生劇場

【全国ツアー公演】
北海道公演 6月6日(木)~9日(日)   札幌文化芸術劇場 hitaru
岩手公演  6月15日(土)~16日(日) トーサイクラシックホール岩手 大ホール
新潟公演  6月22日(土)~23日(日) 新潟県民会館 大ホール
愛知公演  6月28日(金)~30日(日) 御園座
長野公演  7月6日(土)~7日(日)   まつもと市民芸術館
茨城公演  7月13日(土)~14日(日) 水戸市民会館 グロービスホール
大阪公演  7月18日(木)~21日(日) SkyシアターMBS
広島公演  7月27日(土)~28日(日) 呉信用金庫ホール

作品公式サイト 
https://www.tohostage.com/konosekai/

原作書籍情報

『この世界の片隅に【新装版】』(ゼノンコミックス/コアミックス) 
著者:こうの史代  発売:コアミックス
©こうの史代/コアミックス
上巻、下巻 好評発売中

アンジェラ・アキ アルバム情報

「アンジェラ・アキ sings 『この世界の片隅に』」絶賛発売中!
詳細:https://www.angela-aki.online/

コメント

アンジェラ・アキ 音楽
この度、『この世界の片隅で』ミュージカルに音楽担当として参加させて頂く事になりました。ミュージカルの音楽作家になりたくて、10年前にアメリカの音楽大学に入学し、作曲を学び直しました。その学びの体験を経て素晴らしい作品に巡り会えたことを心から光栄に思っています。ミュージカルには「何故それを舞台化するのか」という問いにはっきりとした答えが必要です。このお話しを頂いてから改めてこうの史代先生の原作を読み、作品の素晴らしさに深く感動しました。そして上田一豪さんが書き上げた脚本を読んだ時に、この作品を舞台化することの意味がはっきりとわかりました。家族とは何か。絆とは何か。自分の居場所はどこにあるのか。もがきながらも常に前に進んでいく登場人物の中にある強さ、そして優しさを伝えるお手伝いをさせて頂けるのだと、心が躍りました。上田さんの美しい脚本には音楽の入る余白があり、「ここにはこういう楽曲がほしい」といった思いもそこから伝わってきました。すずはここでどう思ったのだろう、周作はこの瞬間に何を感じたのだろう。それは悔しさなのか、怒りなのか、それとも悲しみなのか。上田さんの脚本、そして原作を何度も何度も読み直し試行錯誤する中で、登場人物の心をどんどん知ることができました。ときには、「その台詞は歌にしたほうが強く響くから、歌にください」と言って、頂いたり。そうやって上田さんと密にやりとりしながら1年かけて30曲近くの歌を書きました。そして役者さんたちが脚本を読みながら歌うワークショップをしたときに、これは素晴らしいミュージカルになる!と実感できました。登場人物たちの頭や心の中に入って、場面毎に音楽で寄り添うことが出来たのではないかと、その段階で感じられたのです。舞台化まであと少し、この総合芸術であるとも言えるミュージカル作品を作り上げる喜びを噛みしめています。会場でこの作品をご覧になった皆様の心が、作品を彩る優しさにそっと包まれますように。

昆 夏美  浦野すず役(Wキャスト)
原作漫画から映画化・実写ドラマ化され、様々な形で新しく誕生を続けたこの作品のミュージカル化ということで、今回はどのような『この世界の片隅に』が生まれるのかと期待に胸が膨らみます。初めてこの作品に触れた時、登場人物たちが日々の生活の中でささやかな幸せを見つけながら懸命に生きていた姿が心に残りました。かつてあった日本の日常と歴史をキャスト・スタッフ一同、舞台上で丁寧に描いていければと思います。

大原櫻子 浦野すず役(Wキャスト)
台本を読ませていただいた時、ずっと涙が止まりませんでした。そして、劇中に歌わせていただく音楽を聴いて、改めて、この作品ですずを演じたい、と自分の気持ちが強まりました。 アニメーションなどでも、多くの方に愛されている作品でもあり、今作の内容をお客様に届けるには、日本人として、大きな責任感と覚悟を持って臨まなければならない作品だと思っております。子供から大人まで、愛され、心に刻まれる作品にする為、一生懸命演じたいと思います。

海宝直人 北條周作役(Wキャスト)
今回周作を演じさせていただきます。映画やドラマなど様々な形で愛された不朽の名作のミュージカル化初演に携われることを心から光栄に思います。この作品に初めて触れた時、淡々と描かれる日常の中にある生々しい温度感や息遣いに惹き込まれ胸を打たれました。この物語が伝えるものを自らの肉体を通してしっかりと皆様にお届けできるよう、作品と向き合ってまいります。素晴らしいクリエイター、キャストの皆さんと作るミュージカル『この世界の片隅に』にどうぞご期待ください。

村井良大 北條周作役(Wキャスト)
この作品の映画版を祖母と一緒に映画館で観ました。上映後に祖母に色々と質問した事を覚えています。当時の食料不足や生活での知恵、戦争の爪痕…そして当時は何も物が無かった、と言っていました。しかし、作品の中では様々な人間模様が丁寧に描写されていました。生きていく事の愉快さ、賢明さ、日常の中の小さな幸せ、前向きに生きている日本人たち。その細やかさを、心の奥深くに響く素敵な旋律にのせてミュージカルとして創作される事にとても興味が湧いています。忘れてはいけない歴史。心に残る作品を創れるよう懸命に向き合いたいと思います。

平野 綾  白木リン役(Wキャスト)
オーディションで世界観や音楽に初めて触れた時、ストレートプレイではなくミュージカルであることの意味をとても感じ、この作品のメッセージがたくさんの方に優しく降り注げば良いなと思いました。終戦から79年経ち、当時の生活をリアルに伝えることで、過酷な歴史のなかで生きたひとりひとりの人生の喜びや幸せ、葛藤を感じていただけたらと思います。リンとして見えるもの感じるものを大切に、精一杯役として生きていきます。

桜井玲香 白木リン役(Wキャスト)
この世に生きる限り、身近な存在であり、決して忘れてはいけない〈戦争〉。その事実を、優しく、静かな厳しさをもって伝えてくれている作品だと感じました。映画、ドラマに続いてのミュージカル化。きっとまた新たなメッセージをこの作品でお届けできるかと思います。

小野塚勇人 水原哲役(Wキャスト)
この度、水原哲役を演じさせていただきます。この仕事を始めてからなのですが、何度か戦争を題材にした作品に出させていただく機会がありまして、役者というエンターテイメントの一つに入る仕事をしながらも忘れてはいけない日本の歴史であり、その様な事実があって今の平和がある事を忘れてはいけないと作品に入るたびに改めて思います。僕自身も毎回戦争を題材とした仕事に関わるときはしっかりとその出来事を忘れずに大事に演じていきたいと思います。そしてアンジェラ・アキさんが作り出す素晴らしい楽曲に乗せて皆様に「平和」を届けられたらなと思っています。

小林 唯 水原哲役(Wキャスト)
史実を背景にした本当にあったかもしれない物語。戦時中という今では考えられない過酷な環境下においても人の温かさがあったことを教えてくれる作品だと感じました。ミュージカルとして新しく生まれ変わるこの作品に参加出来ることを誇りに思うと同時に強い責任も感じています。作品と水原哲の真実をお届けできるよう誠実に丁寧に全力で挑みたいと思います。劇場を出た時に何か一つ大切なものを持ち帰って頂けますように。

小向なる 浦野すみ役
私が5歳の頃、祖母が戦時中の話をしてくれたことがありました。当時は幼いなりに想像をして、別世界のことのように感じていたと思います。しかし本作品を通じて、その時代に生きた人たちが私たちと同様に日々の暮らしの中で悩み、そして幸せを感じているんだと知ることができ、祖母の話を聞いた時よりも非常に身近に感じられました。この作品に参加できることをとても嬉しく思います。そして、この素敵な作品を皆様に心を込めて届けたいと思います。

音月 桂  黒村径子役
多くの方に愛され、これから先もずっとずっと語り継がれていくであろう作品に触れ、携わることができてとても光栄です。激動の時代を強く美しく生き抜いた人々の物語…全身全霊をかけてお届けしたいと思います。皆さまの心に響くぬくもりのある舞台になりますように。

©こうの史代/コアミックス・東宝   製作:東宝

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