【インタビュー】30-DELUX 清水順二 × 竹之内景樹 『SHAKES2024~それは夢、だが人生という永劫の物語』

【インタビュー】30-DELUX  清水順二 × 竹之内景樹 『SHAKES2024~それは夢、だが人生という永劫の物語』

30-DELUX collaborate with UNiFY『SHAKES2024~それは夢、だが人生という永劫の物語』が、5月15日~19日まで俳優座劇場(東京)、5月31日~6月2日までABCホール(大阪)、6月7日~9日までメニコン シアターAoi(愛知)にて上演される。

30-DELUX 製作総指揮・出演の清水順二と、30-DELUX所属で今公演へ出演し、アシスタントプロデューサーを担う竹之内景樹へ、今公演『SHAKES2024』について、30-DELUXとこれからの演劇への想いを伺った。

――― 今年で22年目を迎える【30-DELUX】。東京・大阪・名古屋と3支部を設け、各地域と密着した作品作りや、昨年は映画「まくをおろすな!」公開など、益々勢いを増しておりますが、目指しているものや、意識していることありますでしょうか?

清水「 ”お客様視点” です。当たり前のようですが、色んな演劇を見ていると、「これは誰に向けられているものなのか?」よく理解できない作品も多く、ロビー運営やビジュアルや接客なども含めて、残念に思うことが実は多いです。そういったことから30-DELUXでは、お客様が「家から来て劇場で観劇して家に帰るまで」を考えて、お客様がより楽しめるような環境づくりを常に考えています」

――― 竹之内さんが【30-DELUX】と出会ったきっかけは何でしたか?

竹之内「専門学校時代に福岡のキャナルシティ劇場で上演していた、30-DELUXの『デスティニー』という作品を観劇しまして、その後オーディションを受けて合格しました」

――― オーディションからなのですね!そこから清水さんとご一緒することになり、今いかがですか?

竹之内「清水さんは、今では師匠というイメージが強いですね!役者としては大先輩。殺陣師としては師匠。プロデューサーとしても今は師匠となっているので、あらゆる面で「師匠」というのがしっくりきます。
2023年3月に公演した『SHAKES 2023-TOKAI side-』で初めて、舞台上で清水さんと1vs1で立ち回り(殺陣)をしまして、その時に演技の圧力だったり、立ち回りの技術レベルの高さを感じて、自分はまだまだキャリアが足りないのを痛感した。ということが近年の思い出に残っていますね」

――― 清水さんから見た、竹之内さんはいかがでしょうか?

清水「役者としては非常に華があり、身体ができていてアクションに関してはプロのレベルに到達されているように思えます。演技も思いっきりの良さがあり、近年は個性がより浮き出てきたように思えます。制作・プロデューサーとしてはまだ今回で3本目なので、これから沢山の作品を自分で生み出してこなしてもらいたいと思い、期待しています」

――― そして今作『SHAKES2024』では、お二人とも出演され、清水さんがプロデューサー、竹之内さんがアシスタントプロデューサーとのことで、楽しみにしていることや挑戦だなと思うこといかがでしょうか?

清水「2人のプロデューサーが2人ともメインキャストをやって、製作も指揮する。ということで、孤独ではなく、苦労を共にして助け合ってやれることがとても楽しみです。
昨年の名古屋製作で3本ほど一緒にやってきて、竹之内君との呼吸も確実に合ってきていますが、今回は地方公演もある上に、演出家の山本タクさんも【30-DELUX】初演出、コラボする【UNiFY】とやるのも初めてなので、それをどうやってまとめるか?が挑戦です!」

竹之内「そうですね。僕はアシスタントプロデューサーとして、半人前な自分がどこまで一つ一つのタスクを追求できるか。が今とても不安ですが、清水さんの背中を追いかける事により、成長して行きたいと考えています。なので本当に毎日が挑戦です!!」

――― 清水さんのお話にも出ましたが、今回【UNiFY】とタッグを組むということで、どのような化学反応を期待していますか?

清水「アイドルのトレンドでもある「ダンスボーカルグループ」なので、うちの劇団メンバー全員の歌と踊りが覚醒して外部の仕事が増えてほしいですね。あと、彼らに演劇や殺陣の楽しさが伝わり、今後エンタメ演劇にも挑戦していく団体になって、もっと売れてほしいと思います!さらに【UNiFY】の福井さんは26歳!リーダーで経営者!とのことで、うちの劇団員が彼の背中を見て、刺激や勇気をもらってほしいです」

竹之内「僕はこれまで何度かアイドルの方とご一緒させていただいた事がありますが、皆さん吸収力と言えば良いのか、現場力みたいなものが凄く長けている様に感じます。【UNiFY】メンバーもそれぞれのキャラクター性を自覚している様に感じました。僕も含めて、【30-DELUX】のメンバーも個性を磨いていき【UNiFY】さんとの相乗効果を期待しています」

――― 若い方たちと共に作品作りを行う清水さん、次世代の発掘や育成への想いも強いのでしょうか?

清水「今は芸術を作るよりも教育の方が大事だと思っている部分があります。
30-DELUXを旗揚げしたとき(2002年)は、同級生4人と旗揚げして、自分らが主役になり、自分らの表現を発信する場だったこのユニット。それが10年たって、同級生が独立していき、劇団に形態を変化させて、若い人が徐々に活躍する場を提供していくようになった次の10年。そして30周年に向けては、今回のように育て上げた若い俳優がメインをやるようにしていかないといけないと考えています」

――― 数々の人気作・話題作を毎年作り続けておりますが、これから演劇に必要なことはどのようなことだと思いますか?

清水「芸術と娯楽を融合させる演劇が必要だと思っています。
それはエンターテインメントともいうかもしれませんが(私はエンタメ演劇と言っています)、エンタメ演劇がどんどん増えて、海外に持っていけるものが演劇界にもっと必要だと思っています。つまり、日本の舞台のオリジナル作品ですかね。日本だからこそできる作品といいますか、時代物のエンタメ演劇なんてまさにそうだと思います。しかも堅苦しい時代劇ではない、若い世代が共感できるカッコよくて面白い作品。それを導き出せる発想力と企画力、さらに発信力と持続力。これがある人が沢山出てきてほしい。生意気ですが、少し日本の舞台業界は別のジャンルの原作に頼りすぎている気がするのは私だけでしょうか」

竹之内「愛がなければ原動力は生まれませんし、ストイックにもなれないと思います。愛にも色々な形がありますので、それぞれの愛が混ざり合える環境づくりが今後の演劇界で必要なのではないか?考えています」

―――『SHAKES』は30-DELUXの代表作として、これまでも上演されておりますが、今回初めて会場へ足を運ぶ方もいるかと思います。見どころをお教えいただきたいです。

清水「ライブと演劇の融合です。カーテンコールレビューショーではペンライトを買ってお楽しみください(笑)。これまでは映像を使ったことがなかったのですが、今回初めて導入します。そして舞台美術の世界観を今までのイギリスのシェイクスピアシアター的なイメージから、どこか懐かしくも感じる遊園地のイメージにしてみました。音楽も一新です!オープニング曲はあの和田俊輔さん!見どころ満載です!!」

竹之内「アクションシーンもそうですが、『SHAKES』は基本会話劇だと思っています。文字通り『シェイク』された物語をお楽しみいただきたいです。そして、カーテンコールレビューショーにも注目いただきたいです!」

――― 今回お二人はどの役どころを演じるのでしょうか?

清水「舞台監督役をやります。舞台監督は主役の江口役(舞台の制作担当)にかなり大きな影響を与えます。江口が過去のトラウマを乗り越えて、動き出すきっかけを与えます。
若い経営者でもあり、ユニットのリーダー福井さんが演じる江口に、私が少しでも背中を押すようなポジションになれればと思ってこの役を選びました。ただ、実際の福井さんはそんなことしなくても凄い実業家ですが…」

竹之内「今回、倉木ユタカを演じさせていただきます。一言で表現するのであれば、THEワガママな御曹司です。この物語を最も引っ掻き回し、物語を展開させる。けどなぜか憎めないそんなキャラクターとなっています。2018年に一度演じさせていただいた大好きなキャラクターなのでより魅力を引き出せるように頑張ります!」

――― 30-DELUXの特徴や魅力はどこにあると思いますか?

竹之内「30-DELUXといえば「笑って、泣けて、考えさせられて、カッコいい」をテーマに作品作りをしています。また、アクションシーンも見所であると考えています。アクションと言えば、スピード感と手数の多さが注目されがちですが、アクションは芝居の表現方法の一つなので、セリフがなくともアクションの一手一手から演者の感情が伝わってくるシーンを作り上げることが特徴であり魅力です」

――― 今作のタイトル【それは夢、だが人生という永劫の物語】は、清水さんが付けられた。とお伺いしました。

清水「あ!実は演出の山本タクさんが色々候補を出してくれて、僕が選んでみた。という感じです。シェイクスピアの言葉をたくさんみて、今回の企画に合うような文章を作りました。今回関わる若い出演者たちがシェイクスピアの言葉や作品を観る機会になって、影響を受けてもらいたいなという想いもあります」

――― 今作が発表された際に、『日本全体がまた笑顔になれる日が来ると信じて。』と清水さんがコメントされておりましたが、舞台・演劇にはどんな力があると思いますか?

清水「今年2月に上演した30-DELUXOSAKA「リプレイス2024」の作家、高橋いさを先生が「演劇は生きる力を与える器である」と仰っています。演劇という器は、人間の幸福も不幸も喜びも悲しみも歓喜も絶望もすべて盛ることができる巨大な器だと。それを生身の人間がライブ(生)で届けることができれば、それは生きる勇気に繋がると信じています。演劇にはそんな力があります。

東日本大震災の時にこの『SHAKES』をボランティア公演として上演しました。被災された方が観劇し「久しぶりに笑いました!」「生きる勇気がわきました!」とおっしゃってくれた時は、私自身が勇気をいただきました。
2024年は1月1日から能登地震を目の当たりにし、笑顔が消えました。義援金を送り、ボランティア活動をするくらいしかできない。ただただ、笑顔に戻る日が来ることを祈るだけ。そして、この演劇をお届けして少しでもお客様が楽しんでもらえることを祈るだけです」

――― 今回の『SHAKES2024』とても楽しみにしております。最後に読者のみなさんへメッセージをお願いいたします!

清水「これから演劇界を引っ張っていく可能性のある若者ばかりです。個性あふれるフレッシュな方々がたくさん出演します。是非気になる人の名前と顔を憶えてください。そのためにパンフレットをご購入ください(笑)。舞台本編もグッズも精魂込めて創ります。是非、皆様一度や二度は30-DELUXの世界観を体験しにきてください!」

竹之内「UNiFYの皆さんとの初コラボ・演出家の山本タクさんを迎えて新たなる演出、そして30-DELUXの公演では久々のレビューショーを実施します。120%以上の満足度にしますので、是非、劇場までお越しください!」

● 清水順二(しみず・じゅんじ)

1972年11月8日生まれ。俳優・殺陣師・演劇プロデューサー。演劇ユニット30-DELUX製作総指揮。
「笑って、泣けて、考えさせられて、カッコいい」をテーマに、独自のアクションエンターテインメント作品を創り続け、今や年間2万人の動員を誇るユニットに成長させる。
近作に30-DELUX OSAKA 3rd Live『リプレイス2024』、30-DELUX NAGOYA『義経千本桜~源平天外絵巻~』など東名阪の三都市でそれぞれの製作を行っている。

● 竹之内景樹(たけのうち かげき)

1993年3月3日生まれ。俳優・殺陣師。演劇ユニット30-DELUX所属。
殺陣、アクションのみならず善人から悪役までキャラクター問わず幅広い役を演じ、活躍の幅を広げている。
30-DELUX NAGOYA 『義経千本桜~源平天外絵巻~』『イケメン戦国 THE STAGE ~連合軍VS”戦乱の亡者”雑賀孫一編~』『死の泉』などへ出演している。

30-DELUX collaborate with UNiFY『SHAKES2024~それは夢、だが人生という永劫の物語』

▼SCHEDULE
<東京公演>
公演期間:2024年5月15日 (水) ~2024年5月19日 (日)
会場:俳優座劇場

<大阪公演>
公演期間:2024年5月31日 (金) ~2024年6月2日 (日)
会場:ABCホール

<名古屋公演>
公演期間:2024年6月7日 (金) ~2024年6月9日 (日)
会場:メニコン シアターAoi

▼STORY
シェイクスピアの登場人物が一同に介するテーマパーク「シェイクスピアランド」。
そのオープニングアクトの開演が迫り、現場責任者である江口は奔走していた。
一筋縄ではいかないキャスト揃いで江口は振り回されてばかり。
そんな最中、彼は予知夢を見る。
かつての友人が舞台の上で刺されて死ぬという夢。
不安を打ち消せない江口の前に八年ぶりに現れる匠。
予知夢の中で死んだ友人であり、江口には今も匠を許せない過去があった。
その夢の通りに匠は死んでしまうのか?
そんな二人を傍で見つめ続けるメイの思いは・・・。

▼CAST
【UNiFY】
福井巴也、雨宮大晟、石沢瑠架、石橋弘毅、伊月大和、
宝、富園力也、中川将平、新美直己、RAY 

【30-DELUX】
村瀬文宣、髙木俊輔、竹之内景樹、大塚晋也、石井鈴音、田中雅士、森田凱斗
藤原渚、永易大空、林ちり、南勇大、長瀬友起、原田百嘉
谷口敏也、田中精
清水順二 

【ゲスト出演】
藤田奈那、湯本亜美

インタビュー】30-DELUX 清水順二×UNiFY 福井巴也

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