KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『スプーンフェイス・スタインバーグ』

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『スプーンフェイス・スタインバーグ』

7歳の少女スプーンフェイスの死を通じて
命の輝き、生きる意味を問う珠玉の一人芝居

2023年度<貌(かたち)>シーズンの最後を飾るのは、
命の終焉を迎える少女の目に映る世界の貌(かたち)に思いを巡らせる一人芝居

「貌(かたち)」シーズンを締めくくるのは、癌に侵され死と向き合う7歳の少女を描く『スプーンフェイス・スタインバーグ』です。 
本作はミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』や映画「ロケットマン」の脚本で知られる劇作家リー・ホールによってラジオドラマとして書かれたものです。1997年にイギリスのBBCラジオ4で放送され、人生・愛・信仰の意味を詩的かつユーモアを含んだシナリオの独白が大きな反響を呼び、再放送を重ねました。その後1998年にテレビドラマ化、2000年に舞台化され、舞台版初演では、野田秀樹演出『THE BEE English Version』などにも出演したキャサリン・ハンターが当時42歳でタイトルロールを務めました。舞台版はイギリスのほか世界各国でもたびたび上演され、日本でも2010年に、現KAAT神奈川芸術劇場芸術監督・長塚圭史が、リーディング公演として上演しました(パルコ劇場ドラマリーディング ディレクターズチョイスVol.3/企画製作:株式会社パルコ)。
 
本公演で演出を手がけるのは、2017年『チック』で第10回小田島雄志・翻訳戯曲賞および第25回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞し注目を集め、近年ミュージカルやストレートプレイの演出・翻訳で数々の話題作を世に送り出している小山ゆうな。2022年2月に当劇場で上演した『ラビット・ホール』(作:デヴィット・リンゼイ=アベアー)では、息子の死に向き合う母親の心の動きを繊細に表現し、高い評価を得ました。本作で再び“子どもの死”をテーマに扱うことについて、「人の生き死にと向き合う事が演劇をやるという事でもありますし、(中略)私も覚悟を決めて作品に真っすぐ向き合いたいと思います」と決意を語っています。     
人間が生きるとは、死ぬとは、どういうことなのか、死んだらどこに行くのか...命の終焉を迎える少女の目に映る世界の貌(かたち)にまで思いを巡らせる静かなドラマを、メインシーズンの最後にお届けします。

片桐はいり・安藤玉恵、唯一無二の魅力を放つ実力派俳優の競演が実現! 
    
7歳の少女スプーンフェイスを演じるのは、ドラマ・映画・舞台・文筆など幅広く活躍し、初舞台から40周年のメモリアルイヤーに出演した野外劇『嵐が丘』(22年)で圧倒的な存在感を魅せた片桐はいりと、『桜の園』(23年)や『阿修羅のごとく』(22年)などの話題舞台に次々出演し、連続テレビ小説「らんまん」や東京ガスのテレビCMでも注目を浴びる安藤玉恵。舞台俳優としてキャリアをスタートし、映像作品でも個性が光る二人が、この珠玉の一人芝居をダブルキャストで務めます。死を目前にした7歳の少女を二人がどのように演じるのか、ぜひご期待ください。

◆あらすじ

顔がスプーンみたいに丸いため“スプーンフェイス”と名付けられた自閉症の少女は、7歳にして癌に侵される。死を間近に、両親やお手伝いのおばさん、病院の先生、大好きなオペラに思いをめぐらせながら、生きることや死ぬこと、そしてこの世界の意味をも問い語り続ける…

◆キャスト・スタッフ

【作】リー・ホール   
【翻訳】常田景子   
【演出】小山ゆうな 
 
Wキャスト
片桐はいり 安藤玉恵

◆コメント

小山ゆうな(演出) 
死期がせまった7歳の少女のモノローグ。 
少女はやせ細り衰弱した風貌かもしれない。 
でも本作「スプーンフェイス・スタインバーグ」は 
死としっかり向き合い続ける勇敢な少女の脳内の言葉で綴られる。 
脳内の彼女の風貌はどんなだろう。 
過酷な現実世界と 
どこまでも自由に羽ばたける想像の世界の話。 
リー・ホールの研ぎ澄まされた言葉を通して、 
お客さまとともに美しく果てない想像の世界を共有できる素敵な戯曲です。 
【KAAT神奈川芸術劇場2023年度シーズンチラシより】  
 
片桐はいり(出演) 
あるインタビューで、セリフがすごく多い役と病気で苦しむ役はやらないことにしています。とこたえた次の日にこのお芝居のお話しがきた。とりあえず台本を読み、20数年も前に外国の人が書いていろんな形で演じられているものを、なぜ今?とか、そもそも60代のわたしがなぜ7歳の英国少女を?とかの、たくさんの???が浮かんだが、たわむれに声を出して読んでみたら、どうしてもこれを人の前で言ってみたいような気持になっていた。謎。小山ゆうなさんのまっすぐな目と、安藤玉恵さんの特大の肝っ玉にすがって、この謎をつきとめたい。そしてちょっとした火花を散らしたい。
 
安藤玉恵(出演) 
7歳の女の子の独白劇です。一人芝居を2バージョンで。本番の半年前の今、すでに顔合わせや本読み、小山さんの思いを聞いたりと、時間をかけて作っていける環境があることにとても感謝しています。ラジオドラマとして書かれた物語ですが、舞台上演もあったそう。 
マリア・カラスの音楽と共にスプーンフェイスの魂はどんなふうに私と共鳴するのか。少女の悲しみやユーモアの美しさを「上手に」伝えられたらなと思ってます。 
にしても。日々の稽古場はすごく興奮すると思う、だって、片桐はいりさんがいるんですから。
 
長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
癌に侵された自閉症のユダヤ人の少女スプーンフェイス・スタインバーグ。その澄んだ瞳に映る、その耳に広がる、この世界の圧倒的な煌めきと、まだ見ぬ死後の深淵。2010年に私自身も演出する機会を得ましたが、その際はリーディングという形式でした。今回は素晴らしいキャストお二人のダブルキャストによる一人芝居での上演です。死を目前にしながらも、少女も、世界も、マリア・カラスの歌声と共にどこまでも美しく輝きます。

◆プロフィール

作:リー・ホール
イギリスの劇作家。1966年ニューカッスル生まれ。   
家族や周囲からの反対に直面しながらもバレエダンサーを志す少年の物語を描いた映画「ビリー・エリオット」(邦題:リトル・ダンサー/2000年)と同名のミュージカルの脚本家として知られる。『スプーンフェイス・スタインバーグ』は、1997年にBBCラジオ4で放送され好評を得た後、イギリスの名優で、日本でも野田秀樹演出の舞台『THE BEE English Version』『THE DIVER』出演で知られるキャサリン・ハンター主演で舞台化されている。

翻訳:常田景子
神奈川県生まれ。東京大学文学部心理学科卒業。俳優、舞台制作を経て、翻訳家となる。2001年、第8回湯浅芳子賞、翻訳・脚色部門受賞。主な上演作品は、『ダブリンキャロル』、『子供の時間』、『スリーウインターズ』、『人形の家PART2』、『良い子はみんなご褒美がもらえる』、『フリー・コミティッド』、『メリー・ポピンズ』、『カレンダーガールズ』、『プライムたちの夜』、『ビリー・エリオット』、『パレード』、『ハーヴェイ』、『黄昏にロマンス』、『ヒストリーボーイズ』、『永遠の一瞬』、『負傷者16人』、『ピアフ』、『太陽に灼かれて』、『姉妹たちの庭で』、『グレンギャリー・グレン・ロス』、『やけたトタン屋根の上の猫』、『シカゴ』、『6週間のダンスレッスン』、『奇跡の人』、『デモクラシー』、『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』等。翻訳書に「ヴードゥーの神々」、「リディキュラス!」、「戯曲の読み方」等がある。

演出:小山ゆうな
ドイツ・ハンブルク生まれ。早稲田大学第一文学部演劇専修卒。2010年まで劇団 NLT 演出部に所属。 2011年アーティストユニット「雷ストレンジャーズ」旗揚げ。以来「雷ストレンジャーズ」全作品の上演台本・演出を手掛ける。2018 年ストリンドベリ『父』にてサンモールスタジオ最優秀団体賞受賞。2017年世田谷パブリックシアター主催公演『チック』にて 2017年小田島雄志翻訳戯曲賞受賞、2018年読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。最近の演出作に劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』、新国立劇場『願いがかなうぐつぐつカクテル』、東宝『ローズのジレンマ』等。 KAAT 神奈川芸術劇場では、2022年2月『ラビット・ホール』を演出し高い評価を得る。

<出演>

片桐はいり 
東京都出身。1982年大学在学中から93年まで劇団で活動。94年『片桐はいり一人芝居 ベンチャーズの夜』(作・演出:岩松了)にて全国を公演。近年の主な出演作に、【舞台】『嵐が丘』(演出:小野寺修二)、『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』(作・演出:岡田利規)【ドラマ】「季節のない街」、「大奥」、「東京放置食堂」【映画】「アイスクリームフィーバー」、「ウエディング・ハイ」、「キネマの神様」などのほか、キネカ大森先付ショートムービー「もぎりさん」を制作。著書に「わたしのマトカ」「グアテマラの弟」「もぎりよ今夜も有難う」。

安藤玉恵  
東京都出身。大学在学中に俳優として活動を開始。近年の主な出演作に、【舞台】『桜の園』(演出:ショーン・ホームズ)、『阿修羅のごとく』(演出:木野花)、『命、ギガ長スW』(演出:松尾スズキ)、『イェルマ』(演出:瀬戸山美咲)、『虹む街』(演出:タニノクロウ)、『グリークス』(演出:杉原邦生)、【映像】連続テレビ小説「らんまん」「あまちゃん」、ドラマ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」、映画「波紋」など。ナレーション出演にEテレ「100分deフェミニズム」の朗読、「こころの時代〜宗教・人生〜」がある。

©Tadayuki Minamoto

◆アフタートーク

■2024年2月22日(木) 19:30開演
出演:片桐はいり 小山ゆうな(演出) 長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
■2024年3月1日(金) 13:30開演
出演:安藤玉恵 小山ゆうな(演出) 長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
<所要時間:20分~30分程度>
 
※アフタートークは当日のチケットをお持ちの方のみ参加できます。

■公式サイト:https://www.kaat.jp/d/spoonface_steinberg
■公式 X(旧 Twitter):@kaatjp

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