【ゲネプロレポート】偽名で生きた人々―ハンセン病患者の日々を描く。teamキーチェーン第21回本公演「荊棘の途」

【ゲネプロレポート】偽名で生きた人々―ハンセン病患者の日々を描く。teamキーチェーン第21回本公演「荊棘の途」

2026年1月22日 (木) 〜26日 (月) 吉祥寺シアター(東京)にて、teamキーチェーン第21回本公演「荊棘の途」が上演される。上演に先がけて、1月22日(木)に関係者ゲネプロが行われた。

Azukiを中心に活動する団体、teamキーチェーンの最新作は、ハンセン病がテーマだ。
かつては「らい」と呼ばれたこの病は、患者に対する差別が人権問題として各所でたびたび取り上げられている。
本作では1952年のハンセン病療養施設でのちょうど1年間が描かれる。

ここは、生きる場所か、死に逝く場所なのかー
治療目的だと言われ、隔離され名前を奪われ、人権を奪われた人達が居た。

一九三一年四月「癩予防法」制定
一九四三年治療薬「プロミン」効果発表
一九五三年八月「らい予防法」制定隔離政策を維持
一九九六年四月「らい予防法」廃止
二〇〇一年五月国が憲法違反だったことを認め謝罪

「あれは生きとるんですか?」
「ああ。鼻もないのに五月蠅いいびきをかく。」

物語は、山口快士が演じる篠崎文男(本名・篠田一男)が、ハンセン病の療養施設に入所するところから始まる。名前さえも変えざるを得なかった彼の境遇が、冒頭から観客の胸を打つ。

療養所の門をくぐる文男の表情には、恐怖、絶望、そして未来を奪われた喪失感が刻まれている。入所時に行われた「消毒」という儀式的な場面が、彼が「社会から隔離される」という現実を象徴的に描き出す。

そこで文男は、田名瀬偉年演じる武井昇(本名・村井進)をはじめとする、ハンセン病患者たちと出会う。彼もまた、本名を名乗ることができない。偽名で生きることを強いられた人々—それは単なる名前の変更ではなく、自分自身の存在の否定を意味していた。

そこで暮らす人々は身体だけでなく、名前や戸籍などのアイデンティティまで蝕まれながらも、明るい性格の者が多いという印象を受けた。

ハンセン病というテーマは重く、暗い作品になるという印象を持つ観客は、このギャップに驚かされることだろう。笑い声や日常の会話—そこには確かに「生」があり、人間らしい営みがある。

しかし、ふとした時に目を引く、引きずられた脚や皮膚など、確かな重みを感じる場面もある。
松葉づえで移動する日常や盲目の患者、手足に巻かれた包帯。これらの描写は過度に悲劇的ではなく、むしろ淡々としているからこそ、逆に深い衝撃を与える。明るさと重さ、希望と絶望が同居する—それが療養所という場所の真実なのだと気づかされる。

また本作では、ハンセン病患者とその家族の苦悩も同時に描かれている。
岡田奏が演じる文男の弟・篠田芳雄は、ハンセン病患者を家族に持つ苦しみを演じる。

芳雄の悲痛な叫びにより、ハンセン病は個人だけの問題ではなく、家族全体を巻き込む社会問題であることが浮き彫りになる。

病状が進行した患者を演じる役者たちの身体表現も特筆すべきだろう。
不自由な手足の動き、視力の低下による仕草など、リアリティのある演技が作品を支えている。

本作は、ハンセン病というテーマを扱いながらも、人間ドラマとして普遍的な感動を与える作品である。
物語が進むにつれて、「人間とは何か」という根源的な問いが浮かび上がる。病気になっても、社会から隔離されても、人間であることに変わりはない。

この作品は、単なる過去の物語ではない。現代を生きる私たちに、差別とは何か、人間の尊厳とは何か、そして記憶を継承する責任とは何かを問いかける、今日的な作品である。

(文:カンフェティ/撮影:yumeha shino)

公演概要

teamキーチェーン第21回本公演「荊棘の途」

公演日:2026年1月22日(木)~26日(月)

会場:【東京】吉祥寺シアター
料金:前売4,900円 
   当日5,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.teamkey-chain.net/
お問い合わせ:teamキーチェーン
    mail:teamkeychain1221@gmail.com

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