大自然の中で楽しめるイマーシブシアター!満天の星空の下で繰り広げられるミステリー!星めぐる高原の劇場「不思議なペンション“ライムライト”の宿泊記~消えた小説家の遺作~」

大自然の中で楽しめるイマーシブシアター!満天の星空の下で繰り広げられるミステリー!星めぐる高原の劇場「不思議なペンション“ライムライト”の宿泊記~消えた小説家の遺作~」

2025年夏、長野県茅野市の高原に体験型・没入型作品に特化した劇場「星めぐる高原の劇場」が誕生する。昼は一面に広がる山々と自然が、夜には満天の星空を楽しめるロケーション、そんな景色が楽しめる場所に建つモダンなペンション「ライムライト」が劇場だ。

その第1回目となる公演「不思議なペンション“ライムライト”の宿泊記~消えた小説家の遺作~」が7月25日から8月31日の夏の期間に上演される。ペンションと大自然をつかったイマーシブシアター(没入型体験演劇)となる本作。

今回は、劇場および作品の企画者であるWooHoo企画の山口晃平、株式会社CHAMPIONの山口輝大、そして本作の脚本・演出の藤井千咲子(ESPACT)に劇場そして本作の魅力を語ってもらった。

※インタビューの補足として、振付けの浅野康之(トイメン)も参加。


――まずは、今回の劇場の誕生と作品が生まれたきっかけを教えてください。

晃平「僕自身そして、弊社の前社長である私の母がイマーシブシアターが好きで、2人で都内の公演を観に行くんですが、よく「長野県でイマーシブシアターやってみたいよね」という話をしていたのが始まりです。ちょうどその頃に、ESPACTの初演オーディションを受けていて。オーディション締切が僕の誕生日だったという理由なんですが(笑)オーディションには受からなかったですが、ESPACTの皆さんから「お手伝いしませんか?」とお声がけいただいて、昨年『リ・リ・リィンカーテンコール』(2024年10月)でお手伝いをさせていただきました。その縁もあり、藤井さんにイマーシブシアターを作りたいと相談をしたのがきっかけですね。」

藤井「たしか昨年の12月頃に、晃平君と前社長とお話をしました。お話の内容が、とにかく凄すぎてびっくりしたのを覚えています。そもそも、長野でやることからびっくりしました。」

晃平「地元・長野県の自然の中で行うことをコンセプトとして最初にお伝えしました。都内だとビル街の一角で上演しているイメージがあるんですよ。なので、公演中は没入するけども、会場を出た後に現実に戻される感覚が少し寂しくて。終わった後も楽しめること、長野県でやる事を考えた時に、「長野県の山奥のペンション」という言葉が浮かんだんです。多くの方々にとって、「長野県の山奥のペンション」は非日常な存在だと思いますし、長野県の自然を活かすことで、公演が終わっても物語の世界観が続くと思い、前社長に軽い気持ちで話してみたんです。そこから日が経たないうちに、CHAMPIONの事業としてペンション1棟を購入していたんです・・・」

藤井「私に相談した時点で、そのペンションを購入されていたんですよ。」

輝大「CHAMPIONという会社は学習塾の経営が主な仕事です。前社長から引き継いだころに、このイマーシブシアターの話が上がり、早い段階でペンションを購入しました。事業の一環として子供教育に絡めたく、イマーシブ体験を通して子供が積極的に参加できる環境を作れるかもしれないと思っています。実は僕らのところには、不登校児童の相談が多く寄せられます。寄せられる相談の例に、スマホの動画といった無機質で受動的なものをずっと見ている事が多く、ストレスがたまると壁に当たったり、何か物を投げたりする、などが挙げられます。その解決になるかはまだわかりませんが、主体的・能動的になれる状況を作り、大人も子供も楽しんで没入できるイマーシブシアターは子供教育にもいいなと思っています。」

晃平「自然あふれる場所で、なおかつ子供も楽しめる作品と考えた時に、藤井さんの作る物語がいいなと思ったんです。温かくてハートフルなファンタジーが素敵な印象で、場所の雰囲気にとても合うと思い、すぐにお声がけをさせていただきました。」

藤井「ペンションがすでにあるという事だったので、このお話を受ける前に一度見に行ったんですよ。そこが本当に素敵なところで、面白いことができると思い、一緒にやる事を決めました。企画を形にできるようESPACTや浅野くんと一緒に作るというお話でお受けしました。」

――…となると、今回の「星めぐる高原の劇場」でもあるペンションは、イマーシブシアターをはじめとした体験型作品を上演するために用意した場所、ということでしょうか?

輝大「そうですね、今回のペンションは体験型の作品をやるという前提で購入しています。」

藤井「私も同じ質問をしたんですよ!宿泊事業をするためではなく、ペンション型の劇場として購入したんですか?って。もう行動力がすごい人たちなんです!」

晃平「いろいろお話を聞くと、イマーシブ公演ができる場所が少ないというのを聞いていたので、常にイマーシブ公演をやりたいという人たちに向けた劇場があってもよいのでは?と思い、今回「星めぐる高原の劇場」を立ち上げました。WooHoo企画はその運営と企画を担っています。第1回目となる本作はイマーシブシアターとなりますが、今後も自身の身体で物語を味わうことのできる体験型の作品をお楽しみいただける場所にしたいと考えています。例えば、マーダーミステリー、謎解きといった作品も体験できる場所として、「星めぐる高原の劇場」を運営していく予定です。」

輝大「夜空が綺麗なので夜公演にも適している場所です。でも、立地の関係上、夜公演の終演後は公共交通機関でのご帰宅が難しいので宿泊もできるようにしています。」

晃平「ペンション内にはバーカウンターもあるので、交流の場を設けることができます。せっかくなら終電を気にせず、客様同士で一緒に夜までお話ができる時間を設けたく、今回の作品では宿泊型の公演をやろうということになりました。」

――色々と驚きが多いですが、実際にペンションに訪れた際の印象はどうでしたか?

藤井「自然が豊かで素敵な場所でした!普段、都会で暮らしている人からすると、行く道中から楽しいと思います。到着後も普段見ない景色が全面に広がっているんです。1985年に建てられた立派なペンションで、部屋の中に入った瞬間、テンションが上がるぐらい素敵な空間でした。日常から乖離している空間・時間を体験できると思います。」

浅野「ペンションの周りには諏訪湖、白樺湖や車山高原といった大自然やアウトドア向けの遊びがたくさんあるので、周辺を満喫して夜にイマーシブシアターも体験する、そんな楽しみ方が生まれるのではないかなと思います。今回、長野県や茅野市教育委員会にも後援に入っていただいているので、今後、地域に根差した活動ができるペンションだと思っています。作品を作る側としても素敵な未来を感じますね。」

――そんな自然あふれる会場でどんな作品を作ろうとしているんでしょうか?

藤井「一番最初に「絶対にミステリーがやりたい」というオーダーがありました。殺人事件が起きるようなサスペンス系のものではなく、大人も子供も楽しめる、ハートフルでちょっとファンタジーな作品をやりたいと。下見をしながら、この場所で何ができるかを一緒に考えて作っています。モチーフとしては、小学生高学年が読むような児童書ミステリーのイメージですね。」

晃平「企画する上で「いろんな作品をあのペンションでやりたい」と思っていたので、一番最初の作品は「この場所を好きになってもらえる作品」と考えていました。そうなったときにリアルなサスペンスもいいですが、この場所に滞在したことで特別な思い出になり、「またあのペンションに行ってみたいな」って思えるような、温かみのある作品にしたいと話しました。あとは、ミステリーというジャンルにもこだわりました。ミステリー形式はキャラクターと参加しているゲストが1つになる力を持ったジャンルだと感じているからです。「この場所を好きになってもらうこと」「ミステリー」という2つを満たすハートフルな作品を書いてください、と藤井さんにはお願いをしました。」

藤井「今は執筆中で、お子さんも大人も楽しめるような作品になると思います。」

――物語に加えて、この劇場の持つ良さも入ってくるわけですね。

藤井「「星めぐる高原の劇場」の名前の通り、夜空の星々がとにかくきれいで、高い建物もなく、周りも静かで幻想的なんです。宿泊するしないはおいといても、一緒に星を見ただけで特別な体験になります。」

晃平「終演後、外に出ても現実に戻らないほどの自然を味わうことができます!」

藤井「演出に盛り込めるような自然が豊富にあります。ペンション屋内がメインにはなりますが、外に出て、満天の星空の下での物語体験も考えています。周辺の環境をフルに使う予定です。とはいえ、あまり自由に出歩くことも危険なので、そこはキャストとともに体験をしてもらう予定です。目に入ってくるものが全て非日常なので、帰るまで楽しめる作品になりますね。」

浅野「だから、めっちゃ怖い作品をあそこで上演したら、ずっと現実に戻れませんけどもね(笑)」

――作品によって、思い出が変わってしまいそうですね。ちなみに今回の公演で工夫されていることなどありますか?

浅野「さきほどお話が出たように、お子さんもご参加いただきやすい工夫をしています。保護者同伴であれば、10歳~高校生未満のお子様は1名まで参加・宿泊無料です。」

輝大「大人も楽しむことで、子供も一緒に楽しむことができると思います。役者の方を追いかけながら物語を体験することで、子供と一緒に没頭して楽しんでもらいたいです。そういった楽しみがあることが広がってほしいですね。」

晃平「立地としては、最寄り駅からペンションまで距離があるので、電車でお越しになる方に向けに1日4組限定にはなりますが車での送迎をご用意しています。(※宿泊チケット限定)」

晃平「ちなみに、道中、大量のシカに遭遇すると思います。夜は150頭ぐらい目撃しますね(笑)しかも、ちゃんと車をよけてくれるんですよ。」

浅野「サファリパークみたいな体験ができますね(笑)」

藤井「もちろん、自家用車で来ていただいても大丈夫です。いずれにしても、道中から非日常な光景を楽しめると思います。送迎車・自家用車に関わらず、ペンションに向かう道中にお楽しみいただける演出も考えてるので、楽しみにしていてください。」

晃平「宿泊チケットだけではなく日帰りチケットもあるので、近隣ペンションの宿泊者でも楽しめるようにしています。自分にあった楽しみ方で参加してみてください。」

――それでは最後に、読者に向けて一言をお願いいたします。

晃平「長野県のペンションならではの強みを存分に活かして、上演中だけじゃなく、「旅ごと物語」になるような、特別な思い出ができる作品になると思います。非日常体験を楽しみに、ぜひ遊びに来てください。」

藤井「「星めぐる高原の劇場」の立ち上げであり、私自身もミステリーを描くのが初めての試みです。そんな中で、ミステリーの舞台として、これ以上ないぐらいの素敵な場所で物語を描けるので、その場所の力を借りながら頑張って書いていきます!」

取材・文・写真:カンフェティ

プロフィール

WooHoo企画

2024年設立。長野県で教育業を営む株式会社CHAMPIONが「物語体験を長野県に!」という志のもと新たに立ち上げた新事業。『星めぐる高原の劇場』の企画・運営、全作品のプロデュースを行う。

藤井千咲子(ふじい・ちさこ)

大阪府出身。俳優・脚本家・演出家。イマーシブシアター創作団体『ESPACT』メンバー。演劇ユニット『シマイシバイ』主宰。代表作に、ESPACT始動公演『リ・リ・リィンカーテンコール』作・演出・出演、体験する物語project『カジノ・シュレディンガー』『黄昏のまほろば遊園地』『ALICE IN THE NIGHT MYSTERY CIRCUS』出演、泊まれる演劇『藍色飯店』出演、舞台『遥かな町へ』長瀬智子役、など。

公演情報

■日程:2025年7月25日(金)~8月31日(日) ※期間中の金・土・日・祝開催
■会場:リゾートイン「ライムライト」 〒391-0301長野県茅野市北山 3413-130

■スタッフ:
脚本・演出:藤井千咲子
振付け:浅野康之
音楽:内田秋(No Fun)
照明:佐々木夕貴(eimatsumoto Co.Ltd.)
音響:今里 愛(Sugar Sound)
映像:HI:SS
衣裳:COCORO MITOBE
演出助手:吉野めぐみ
宣伝美術・WEB:文目ゆかり
撮影:岩田マサヤ
デザイン:Pomponette
宣伝美術モデル:星野文月

■キャスト:
窪真理チャカローズ
佐藤新太
谷怜由
山根明莉
吉野めぐみ
大﨑萌々香(Wキャスト)
田口新奈(Wキャスト)

■制作協力:ESPACT、トイメン
■企画・プロデュース:WooHoo企画
■後援:長野県、茅野市教育委員会

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