宝塚歌劇祝祭の100周年を牽引したトップスターが集結!『RUNWAY』に出演、蘭寿とむインタビュー!

遡ること10年前、劇団創立100周年の祝祭の時を迎えた宝塚歌劇団。各組を代表するトップスターとしてその栄えある記念式典に臨んだ、花組の蘭寿とむ、月組の龍真咲、雪組の壮一帆、星組の柚希礼音、宙組の凰稀かなめ、の5人の元トップスターと、そこから次代のバトンを引き継いでいった元星組トップスター北翔海莉、元花組トップスター柚香光、そして元トップ娘役の夢咲ねね、朝月希和ら、豪華スター陣が集った新作ショーSPECIAL ENTERTAINMENT STAGE『RUNWAY』が、12月4日~15日大阪・梅田芸術劇場メインホール、12月21日~29日神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場 ホールで上演される。

10年の歳月のなか、それぞれが歩んだ道で蓄えたものを盛り込んだ、回顧だけではないシャープでスタイリッシュな、”今”だから実現できるショーを、1幕約95分のノンストップで展開される華麗なるエンターテイメントが展開される。そんなショーで夢の5組トップ揃い踏みを果たすひとりが蘭寿とむ。このショーを契機に、一時セーブしていた芸能活動に積極的に踏み出すという蘭寿が、この新作ショーに懸ける想いを語ってくれた。


本当に100周年のメンバーが揃うの?とびっくりした

──まず、この舞台への出演オファーを受けた決め手から教えていただけますか?

 「お話を伺った時に「本当に100周年の時のメンバーが揃うの?」とすごくびっくりして。お声がけいただいたタイミングもよく、そんな貴重な機会があるなら是非参加したいと思い、迷いもなく即決していましたね。」

──100周年に向かう数年前から、非常に活発になったOG公演を様々に拝見してきましたが、確かに同じ時代、しかも宝塚創立100周年記念という、100年に一度のメモリアルにトップスターだった方々が勢ぞろいというのはかつてないことで、企画だけでドキドキ致しますが、その100周年や、ご自身がトップスターとして活躍された宝塚時代をいま改めて振り返っていただくと?

 「宝塚歌劇そのものが私にとってはずっと夢見ていた場所で、その一員として舞台に立たせてもらえただけでなく、トップを務めさせていただいた経験というのは、自分の中でもいま振り返ると本当に大きな、幸せなことでした。だからこそ、芸事にしても自分自身にしても高みを目指して追求し続けていくことは不可欠だったので、当然でもありますが苦しさもあって、本当に色々なことを経験させてもらったなと思います。何よりも周りに支えられているからこそ、自分がこの場所に立っていられるという、本当にありがたい幸せな時間だったので、あの日々を振り返ると、何があっても頑張れるんです。それだけ自分にとって大きな糧になった時間でしたし、様々に乗り越えられた壁も高いものだっただけに、私の人生にとってとても大切で、貴重な機会をいただいたんだなと改めて思います。」

──そうした時間を、特に5組のトップスターとして同じ立場で過ごされた方たちが一堂に会するということについてはどうですか?

 「100周年というのは特別な年だったので、記念式典をはじめ5人が一緒に集まる機会が多かったんです。普段は組ごとにスケジュールがそれぞれ決まっているので、5人一緒に顔を合わせることがなかなか無いのですが、特別な年だったからこそ多くの交流があって。そのメンバーでまた新しいショーができるというのは、かつてないように、これからもそうあることではないと思うので、それぞれの新しい面が見えると思いますので、本当に嬉しいし楽しみです。現役時代には考えられなかったメンバーでひとつのシーンを創るなど、懐かしいだけではない、新鮮なシーンをたくさんお見せできるので、そこはすごく楽しんでいただけると思います。」

──また、同時期にトップスターだった皆様以外にも、蘭寿さんにとって絆の深い方々が出演されますね。

 「そうですね。私が宙組時代に共に切磋琢磨した北翔海莉、みっちゃんは花組の『オーシャンズ11』にも専科から出演してくれて、バディ役として共演できてとても頼りにしていたので、久しぶりにまた一緒に舞台に立てることを本人とも「嬉しいね~」といつも話しています。同じく柚香光ちゃんは私の退団作品だった『ラスト・タイクーン ─ハリウッドの帝王、不滅の愛─』の新人公演で主演をしていて、後に立派なトップスターになり退団したばかりのところですから、まとっているオーラも全く違っているれいちゃんの魅力を間近に感じられるのも嬉しいなと思っています。一方で今回が「はじめまして」の方もいらっしゃいますし、この扮装ビジュアルを見ていただいてもおわかりになると思いますが、懐かしいメンバーで集まって再び「男役」「娘役」に帰るというよりも、いまの私たちだからこそ出せるものをご覧いただけるスタイリッシュなショーになりますので、新しい面もたくさんお目にかけられます。とは言えもちろん当時の曲も色々とやりますので、そこでは男役スイッチが自然に入ってしまうかもしれませんが(笑)そこもお楽しみになさっていただきたいです。」

──いまお話にも出ました、ビジュアル撮影に臨まれたときにはいかがでしたか?

 「素晴らしいお衣裳を着せていただいたんですけど、総スパンだったことにびっくりしちゃって。まず久しぶり感がすごかったんですよ(笑)。「こんなキラキラ着てたんだ~」と。普通に生活していたらまずこういう総スパンの衣裳ってないですからね(笑)。カメラマンさんからはこのショーに添うようなカッコよくスタイリッシュなイメージで、と言っていただきましたので、その感じが出せるかな?ということを試行錯誤しながらも、まさに非日常感を楽しませていただきました。それぞれの個性に合わせてデザインしてくださっていて、みんな違っていて、写っていない下の部分もゴージャスなのですが、全員総スパンということは変わらないので。」

──こちらは本番でも使用されるお衣裳なのですか?

 「動きが入ることも考えながら進化していっているのですが、基本は全員着ることになりますので、この写真ではわからない全身も観ていただけます。」

いまの自分だからこそ出るものに挑戦していきたい

──また、今回演出を担当される稲葉太地さんとは『Mr.Swing!』でご一緒されていますね。

 「私たちを色々な角度で見せてくださる先生で、『Mr.Swing!』でもオープニングのあとに野球のシーンが突然入ったり、学年を経た上でのちょっとした遊びの部分を観せられたりするシーンも印象に残っています。そこからまた定番とも言えるラテンシーンもあったり、男役さんが女役をやるなど、本当に変化に富んだ様々な場面を創って下さいました。「イントロダクション」と題した安寿ミラさん振付のシーンからはじまるオープニングから私は本当に大好きなショーだったので、素敵な舞台を創ってくださった先生と、今回これだけのメンバーが集まっての構成ですので、何が飛び出すか是非ご期待いただきたいです。」

──そうした豪華メンバーが集ってのお稽古ですが、蘭寿さんご自身にとって「お稽古場」というのはどんな場所ですか?

 「挑戦の場所ですね。作品によって目指しているものはそれぞれ違うので、常に新しいものへの挑戦の場所だということは変わらないと思っています。もちろんトップになってからは作品全体のことや、組のことも考えていましたから、自分のことにも集中しつつ、全体のことも見ているという感覚がありました。むしろ退団してからの方が、自分の研鑽や挑戦に邁進している場所だったように思います。」

──やはり同じお稽古場と言っても、宝塚時代のそれと、退団後では違う感覚だったということでしょうか?

 「はい、やはり違う面が大きいように思います。宝塚は常に同じメンバーで新しい作品を創っていくのですが、退団後に出演させていただいた、例えば「地球ゴージャス」の舞台などでは、キャスト一人ひとりが本当に個性豊かなスペシャリストなので、その求められているものに各々が邁進していましたし、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』では主演をさせていただきましたが、宝塚時代とは違った見え方でしたし、やはり作品によって、稽古場の居方、感じ方、考え方、全てが違っていたと思います。」

──そこから今回は宝塚OGの方々だけということで、また違った?

 「そうですね、懐かしい気持ちもありますし、違った魅力も感じられて、とても面白いです。」

──蘭寿さんと言えば、なんと言ってもダイナミックなダンスの素晴らしさがまず印象に深いのですが。

 「そう言っていただけるだけでありがたいですが、出産も経てかなり身体が固まってしまったので、戻す作業を続けています。いまの自分に出せるもの、特にシャープなカッコいい女性を表現できたらと日々頑張っています。改めて、舞台は本当に楽しいと感じています。コロナ禍でLIVE配信もたくさんあったので、宝塚に限らず色々な舞台の配信を観ていましたが、劇場に足を運べるようになって、生の舞台からもらえるパワーや伝わるものが全く違うなと感じたんです。やっぱり人が生で生み出しているものってこんなにも大きくて、こんなにも喜びを感じられるものだということをすごく感じたので、その世界にまた自分が戻ってこられたのも嬉しいです。」

──そうした期間にご覧になったもので印象に残っている作品やジャンルはありますか?

 「やっぱりミュージカルからは元気をもらえますね。ストレートプレイで色々考えさせられるのもとても好きですし、ミュージカルは音楽があるので、音楽が後々まで頭にも心にも残りますし、特にハッピーなものですと一番パワーをもらえます。」

──では、この舞台はもちろんですが、今後もそうした舞台などに立たれている蘭寿さんを期待しても良いのでしょうか。

 「ありがとうございます。自分のペースを保ちながら、続けていけたらなと思っています。」

──それはとても嬉しいです!こんなこともやってみたい、というものはありますか?

 「様々な人生経験を経ましたので、そういったものがにじみ出るようなガッツリしたお芝居ですとか、いまの自分だから表現できるものにも挑戦させていただけたらと思います。先日出演した日曜劇場「ブラックペアン シーズン2」でも、本当に素晴らしい方々とご一緒させていただけて、大きな実りがありましたので、ジャンルにこだわらず、今だからこそのものにめぐり会える、良いご縁があればいいなと思っています。」

──これからのご活躍も本当に楽しみにしていますが、まずこの舞台『RUNWAY』を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

 「それぞれが歩んできた道がひとつになった時に生まれるものは、お客様にも想像できるようで、想像できないとても新しいものになると思います。休憩なし約95分で駆け抜けるショーになりますので、是非楽しみに観に来てください!お待ちしています。」

(取材・文・撮影:橘涼香)

 

プロフィール

蘭寿 とむ(らんじゅ・とむ)
1996年宝塚歌劇団に首席入団。『CAN-CAN』で初舞台を踏み、同年花組に配属。2011年『ファントム』で花組トップスターに就任。
『オーシャンズ11』『逆転裁判』『ファントム』『戦国BASARA-真田幸村編-』など、多様な作品で主演を務めた。2014年『ラスト・タイクーン ーハリウッドの帝王、不滅の愛ー』『TAKARAZUKA∞夢眩』にて宝塚を退団後は、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』地球ゴージャスプロデュース公演Vol.14『The Love Bugs』『TAKE FIVE』等で活躍。2024年7月日曜劇場「ブラックペアン シーズン2」第2話にゲスト出演。2025年3月には『CRIMINAL FOUR-愛しき大悪党-』に出演予定。

公演情報

SPECIAL ENTERTAINMENT STAGE『RUNWAY』

日程:
12月4日(水)~15日(日)
大阪・梅田芸術劇場メインホール(※公演終了)
12月21日(土)~29日(日)
神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場 ホール

構成・演出:稲葉太地(宝塚歌劇団)
出演:蘭寿とむ、龍真咲、壮一帆、柚希礼音、凰稀かなめ、北翔海莉、柚香 光/夢咲ねね、朝月希和
瀬戸かずや、愛月ひかる、光月るう、沙月愛奈、響れおな、天寿光希、音波みのり、笙乃茅桜、夢妃杏瑠、和海しょう、風馬翔、晴音アキ、秋音光、希峰かなた、大原万由子、帆純まひろ、花束ゆめ

料金:S席14,000円 A席9,000円 椅子付立見席6,000円 (全席指定・税込)

お問合せ:梅田芸術劇場【東京】0570-077-039(10:00~18:00)

注釈付チケット・ライブ配信チケット販売中

【注釈付チケット】
[神奈川公演]
注釈付S席 14,000円(全席指定・税込)
注釈付A席  9,000円(全席指定・税込)
※追加公演を除く。

【ライブ配信日程】
●2024年12月28日(土)17:00 公演
●2024年12月29日(日)13:00 公演 大千穐楽 
※いずれもアーカイブ配信なし

<視聴方法>
・PIA LIVE STREAM(ぴあ)
・Rakuten TV

<配信チケット料金(税込)>
ライブ配信視聴券:各4,500円
ライブ配信視聴券(公演プログラム郵送サービス付き):各7,000円 ※送料別途必要
※「公演プログラム郵送サービス付き」は数量限定。予定枚数に達し次第販売終了。
※公演プログラムは各公演会場で販売するほか、12月4日よりネット通販も実施
※(参考)プログラム販売価格:2,500円(税込)

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