【インタビュー】松本岳✖️伊達花彩✖️関根優那✖️輝山立が語る、舞台「ままない」

ほんのりと温かいユーモアと切なさが心を打つ“最旬青春小説”

舞台『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな」が、2022年7月1日(金)から東京・博品館劇場で上演される。

原作は、葵遼太による同名タイトルの小説。彼女の砂羽(佐倉花怜)を失い、悲しみを抱えたまま高校3年生をやり直す主人公の佐藤晃(松本岳)。留年して、居場所がないと思っていたはずの学校生活だが、クラスメイトの白波瀬巴緒(関根優那)や御堂楓(伊達花彩)、和久井順平(輝山立)と出会い、気がつけば自分の周りに輪ができていき……。

本作では、出演者らによるバンド生演奏も予定されている。

出演者の松本岳伊達花彩(いぎなり東北産)、関根優那輝山立の4人に意気込みや原作を読んだときの感想などを聞いた。

ーー今回、作品に出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

松本岳(以下、松本):タイトルにびっくりしましたね。どんな作品なんだろうと思い、原作の小説を読みました。僕が演じる佐藤晃という役は、いろいろ抱えていて、普通の高校生ではなかなかない経験をしている。だから、想像するのが難しいなと思いました。自分が生きてきた中で、少しでも何か晃の感情に近いものを引き出さないといけないなと、逆にやる気が出ましたね(笑)

ーーいい意味でギャップがありましたか。タイトルと内容について。

松本:ギャップというか、小説を読んだらタイトルの理由もしっくりきました。

ーー伊達さんは今回が初舞台ですが、出演が決まったときのお気持ちは。

伊達花彩(以下、伊達):初めての舞台だったので、不安でした。だけど原作小説を読んだときに、登場人物たちの気持ちに入り込めたので、舞台化されるのだったらやってみたいなと思いました。

関根優那(以下、関根):私もタイトルのインパクトが最初は大きかったですね。全然どういう話か、想像がつかなかった。個人的には学生ものをやることが久しぶりだったので、その点でも楽しみにしていました。実際に読んでみると、タイトルと内容のギャップもありましたし、言葉選びのセンスやセリフの掛け合いのテンポの良さなど、雰囲気がすごく面白くて。すぐに物語に入り込めました。私たちが舞台上でやるときはどうしたら原作の良さが伝わるだろうと考えながら読んでましたね。みんなと作品を作り上げていくのが楽しみです。

輝山立(以下、輝山):僕も舞台のお話をいただいてから、この原作小説を読んで、そこで学生ものなんだと知りました。いま29歳なので、17歳は12年も前の話。学生時代の記憶も徐々に薄れてきていますが(笑)、男女混合のグループでわちゃわちゃしたことが、これまでの作品も含めてあまりない経験だなと思います。しかも、この作品にはバンドが出てくるじゃないですか。実は僕、高校時代、ちょっとだけバンドをやったことがあって。そういう点でも、なんかすごく嬉しいなと思いました。

松本:学生時代にバンドやっていたんだ!

輝山:そう。しかも1回きりのためにやったんだよね。卒業するタイミングで、ライブをしたり、出し物をしたりする伝統がある学校だったんです。僕はサッカー部だったんですけど、サッカー部の仲間たちとバンドを選びました。高校2年生から、部活が終わった後の時間を利用して、練習していましたね。

松本:楽しそう!いい青春してますね〜。

輝山:でもたった1日だけだから!今回は、それ以来の楽器演奏ですけど、なんかすごくご縁を感じます。

ーー高校のときは楽器は何をやられていたのですか?

輝山:今回と同じ、ドラムをやっていました。

松本:あれ、この話は輝山くんのストーリーですか?(笑)

輝山:違うよ!(笑)

ーー原作小説を読まれたときの感想や印象に残っている場面などを教えてください。

松本:病院で晃と砂羽のお父さんが喋るシーンが印象に残っています。余命わずかな娘の時間を、結婚もしていない男にあげるなんて、どんな気持ちなんだろうと思っちゃって。もし自分が親だったら耐えられないだろうなと思うし、なんで砂羽のお父さんは許してくれるんだろうとも思いましたね。まだ稽古が始まっていないですけど、舞台ではどういう風になるんだろう。僕が原作を読んだときの感情が観ているお客さんにも伝わればいいな、どうやったら伝わるかなと思っています。

伊達:舞台版の脚本にはないシーンなんですけど、晃くんと一緒にギターを練習するときに、御堂ちゃんと待ち合わせをするシーンがあるんですよ。そこで御堂ちゃんが鬼ごっこしているシーンがかわいいなと思いました。晃と御堂ちゃんの関係性がすごく滲み出ているような感じがして、好きですね。

関根:私は、最初の挨拶のシーンが印象に残っています。晃が1学年上だということで、みんなが偏見を持っているなか、白波瀬は「嫌いなものは、ひとの自己紹介を聞いた後で、こそこそ話をする陰湿なやつらでーす」とはっきり言う。なかなか言えるものではないですよね。

松本:うん、自分を持っているよね。

関根:そう。見た目がギャルっぽいので、軽そうな印象になりがちだと思うんですが、このセリフで「もしかして芯が強い?」と思わせてくれたんです。だからすごく印象に残っています。

輝山:僕はもうすごく好きな登場人物がいて……柿ケ原武彦くんです。何度も口に出したくなるゴロのいい名前ですし、武彦くんが出てくるシーンが全部好きです。最初からずっと面白いし、最後はいいやつなので。舞台上ではこの武彦くんを吉田知央くんがどう演じてくれるのか、楽しみですね。

ーーでは、最後に観客の皆様に一言お願いします!

松本:今までいろいろな作品をやってきましたが、正直、台本が一番重要だと思うんです。僕が読んできた中でも、この作品は絶対いい作品になるという自信はあります。作品の全てを自分と重ねることはちょっと非現実的だと思うんですけど、でもきっと誰もが当てはまるようなことが見つかると思うんですよね。僕はこの台本を読んで、自分もいろいろなしがらみの中で生きているんだ、いろいろな人がいるんだと気づいた。いい意味でね。だから、ある意味励みになるような舞台に僕はしたいと思ってます。観に来てくれた人には絶対後悔させないように頑張ります。

関根:学生ものなので青春を感じられると思いますが、生と死も関わっている作品でもあるので、繊細な言葉の繋がりも伝えられたらいいなと思います。それぞれお互いが刺激し合って、ちょっとずつ成長していく17歳・18歳のあの頃の気持ちを思い出させてくれる作品だと思いますし、あとやっぱりバンドがあるので!物語の中で一生懸命バンドを練習して、最後披露できるのをリアルタイムで感じられるのは、生でやるいいところ。一緒にその時間を感じていただけるような作品になるなと思います。ぜひ楽しみにしていてください!

輝山:原作は本当に力がある作品で、読んだ方は満足していると思う。いや、僕が書いたわけじゃないんですけどね(笑)、絶対素敵な作品になると思っています。僕は小説を読んだときに、音楽が欲しいなと思ったんですよね。なので、それが実現できるのは、舞台の良さで、舞台でしかできないことだと思います。そういうことも含めて、この小説がまた広がってくれたらいいなと思いますし、逆に舞台に興味を持ってくれる方が増えたら嬉しいなと思います。

伊達:この作品は入り込みづらそうで、すごく入り込みやすい作品なんですよ。それぞれの持ってる境遇や心境が濃いんですけど、その登場人物たちの考え方に救われたりすると思うので、ぜひぜひ楽しみにしていてください!

ーー初舞台ということで、その辺りの意気込みも合わせてぜひ!

伊達:初舞台がこの舞台でこのメンバーでよかったなって思います。生演奏もあるので、全力で頑張りたいと思っています!

(文・写真:五月女菜穂)

プロフィール

●松本岳(まつもと・がく)
1993年4月8日生まれ、富山県出身。2013年、テレビドラマ『名もなき毒』で俳優デビュー。15年、スーパー戦隊シリーズの『手裏剣戦隊ニンニンジャー』で加藤・クラウド・八雲/アオニンジャー役で出演。近作に『ぼくらの七日間戦争』(2020)、『私のホストちゃん THE PREMIUM』(2019)など。

●伊達花彩(だて・かあや)
2005年3月21日生まれ、宮城県出身。2015年、女性アイドルグループ「いぎなり東北産」のメンバーになる。今回の『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』が初舞台。22年7月、主演映画『劇場版アイカツプラネット!』が公開される。

●関根優那(せきね・ゆうな)
1994年9月28日生まれ、埼玉県出身。2012年〜18年まで「Cheeky Parade」のメンバーとして活動。主な出演歴は主演舞台『新サクラ大戦 the Stage』(2020年~)、舞台『盾の勇者の成り上がり』(2021年)、舞台『フルーツバスケット』(2022年)など。

●輝山立(きやま・りゅう)
1992年9月11日生まれ、東京都出身。
映画『予告犯』や、 ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」  舞台「青山オペレッタ THE STAGE」 「Paradox Live on Stage」 などに出演。
また 矢島弘一主宰の劇団「東京マハロ」の劇団員でもある。

舞台『処女のまま死ぬやつなんていない、どうせ世の中にやられちまうからな』

公演期間:2022年7月1日 (金) ~2022年7月10日 (日)
会場:博品館劇場
■あらすじ
ねーねーねー。高校三年生の朝は、意外な声に遮られた。
狸寝入りを決め込む僕に話しかけてきた同級生、白波瀬巳緒。
そして、隣の席の、綺麗な声が耳に残る少女、御堂楓。
留年し、居場所がないと思った学校のはずなのに、気づけば僕の周りに輪ができていく。
胸がまだ、痛む。あの笑顔を思い出す。でも、彼女の声が響く。
ほんのり暖かいユーモアと切なさが心を打つ、最旬青春小説。

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