【エンタメ盛り上げ隊】ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』座談会

カンフェティスタッフによる不定期連載企画「カンフェティ エンタメ盛り上げ隊」が始動!

第1回は……

【ネタバレあり】
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』座談会

ネタバレ上等★熱量マシマシにて!
今年観劇した社員に、この名作ミュージカルを語ってもらいました。

<参加スタッフ>
・スタッフE(30代・女性) 2025年版で初観劇
・スタッフA(60代・男性) 歴代テヴィエをすべて観ている歴戦の猛者
・スタッフS(20代・女性) 2017年版、2025年版を観劇
・スタッフY(20代・女性) 2025年版で初観劇

♯1 「ヴァイオリン弾き」はどこにもいない

―――最初に、『屋根の上のヴァイオリン弾き』がどんなお話なのか教えてください。

「(一言で言うのは)難しい!」

「(最初に観た時)オーバーチュア(序曲)が無く、いきなり始まる! もう衝撃でした。普通のミュージカルとは違う!! と感じました

―――それまでは、他のミュージカルではあまり無かった?

「うん。当時はね。物語はロシア革命の直前、1905年の話です」

「ユダヤ人の集落のお話ですね」

「最初はほっこり。でも、だんだん、不穏になっていく……(一同どよめき)」

「ロシア人との衝突があり、そこから、家族の話へ……主人公テヴィエと奥さんのゴールデには5人の娘がいて……」

―――娘、5人なんだ!

「そう、5人。そのうち3人がお年頃で、順番に恋愛をしていき……」

「長女の結婚までは、明るい。次女、三女になるにつれて、暗く……あれ!”革命”がいる!!!と気付かされる」

「ヴァイオリン弾きは、どこにもいないんですよ」

ヴァイオリン弾きは、象徴! 心の中にいるのかもしれないし、いないのかもしれない」

―――ヴァイオリン弾きは、ちょいちょい出てくる?

「ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の”愛”とか”死”のような役割では?」

―――ああ、なるほど! よくわかりました(笑)

「人生は、屋根の上でヴァイオリンを弾くくらい不安定で難しいんだ。というようなことを、市村さんが最初に言う」

「そう、そのあたりはプロローグで市村さんが一通り説明をしてくれるので、初めての人は必ずそこを見て! 絶対に遅れて来ちゃダメ!!(一同笑い)」

♯2 歌もダンスも見応え十分! ”ロミジュリ” ”ウエストサイド”との共通点

―――みなさんの思う、ここが見どころ!という要チェックポイントは?

「3姉妹の歌うナンバー『マッチメイカー』! 曲だけ知ってて、あ、この作品の曲だったんだ!ってわかって嬉しかった! 3人とも歌が上手!可愛い!!大好き!!!」

3姉妹の服装も可愛い! ワンピース!エプロン!!三角巾!!!

「もう、メロメロ!!」

―――頼むから変な男と結婚しないで!!みたいな?

一同「そうそうそう!(笑)」

「結婚相手は仲人さんが決めてくれる、そういうしきたり。かわいそう……でも明るく受け入れてる」

「朝ドラ『あんぱん』でも、主人公の両親は結婚式まで会ったことが無かったね」

―――昔の日本でも。そういう時代だったんですね。では、他には?

「テヴィエのモノローグ(独白)シーン。ここが一番の救い! 神様とおしゃべりしたり! おちゃめだし、ちょっと情けなさも……。舞台の市村さんをはじめて観たんですが、『……国宝じゃん!』と思いました!
 あと、ボトルダンスは凄かったですね! 長女の結婚式で、男たちが一列になって、頭に瓶を乗せて踊る。絶対に、絶対に瓶を落とさない! まるでサーカスのよう!!」

「過去に、5人中2人落としたのを見たことがあるよ! 落とした人は抜けていってた」

―――仕掛けがないから落とすこともあるんですね。貴重な目撃情報をいただきました。

「鳳蘭さん演じるゴールデは私の憧れです! 頼りになるし愛情深いし、ちょっと怖いけど、愛のある叱咤で……お母さんになるならこういうお母さんになりたい! ……尻に敷きたいのかもしれない(一同笑い)」

―――では、Aさんの要チェックポイントは?

「居酒屋のシーン。長女の結婚で盛り上がっているユダヤ人のところに居合わせたロシア人が、ちょっかいを入れてくる。そして、ひょんなことから踊りだす! 対立している2つの民族が、みんな輪になって踊りだす。ダンスだけで人々が融合していく過程が好き。
 それと、ホーデルとパーチックのダンスシーン。一瞬でしきたりを破る、そして壁を超えていってしまう。セリフだと長くなるところをダンスで、ほんの短い時間で!」

―――どちらもミュージカルならでは!

2場面ともにダンスが物語を進めていくという意味で、演出・振付のジェローム・ロビンスの偉大さを感じるね。あの『ウエスト・サイド・ストーリー』の演出・振付でもある」

「2つの民族の対立というところが、『屋根~』とも似ているかもしれませんね」

「その国のカルチャーを取り入れた振付をする。天才だと思います」

―――歌も名曲揃いですけど、ダンスも見どころが多いんですね!

「私は最初に出てくる『しきたりの歌』が好きです! とにかく頭に残る!
 テヴィエはしきたりにのっとって長女と金持ちの肉屋と、結婚OK!!と言っちゃうんだけど、長女は本当は幼馴染の仕立て屋と結婚したい、パパ、お願い!と……でも娘が幸せならいいよ、OK!と言える……なんて良いパパ! この時代には稀有なパパ!! その後の夢のお告げの場面はとにかく衝撃的で面白かったです!」

「『プーさんのハニーハント』のような……(一同笑い)」

「あとは唯月ふうかちゃんのホーデル! 声がかわいい! 歌うまい! シンプルに、ただそれだけ!!」

「私も唯月ふうかちゃんはもともと大好きで、特に、シベリアへ行く時のナンバーは最高でした!『デスノート』のミサミサとか意志の強い女を演じさせたら絶品ですね。
 それと、私は三女のカップルが好きでした! 迫害する側のロシア人フョートカと、迫害される側のユダヤ人チャヴァは、ロミオとジュリエットのよう! フョートカはユダヤ人の襲撃に参加していましたが『こんなことはしたくない』と言うのが印象的でした。当時のロシア人の中にも、実際にこういう思いを抱いている人もいたのかなと思いました。フョートカ役の神田恭兵さんが本当にお上手でした」

「ロシア人だけど、ユダヤ人のテヴィエと友達という、巡査部長というキャラクターもいます。ミュージカルであるこの作品の中で数少ない歌わない役で、物語の終盤には重要な役割を担います」

―――スタッフ内では「チャヴァは死んだ!」というセリフが印象的!という声もありました。

「長女と次女は同じユダヤ人を選んだが、三女は宗教を超えた相手を選ぶ。テヴィエはそれが許せなかったのでしょう」

「でも、最後にちょっと会ってくれる。最後に許してくれる、よかったなって思いました」

「きっと最後は許してる。最後に荷造りをしている場面で、テヴィエは本を持って出てくる。ああ、三女の思い出を連れて行くんだなって」

―――読書家の娘を思い出すアイテムとして。

「細かいところにエモが散らばりすぎてヤバイ……!!」

♯3 市村正親は伝統芸能!?

―――Aさんは今までのすべてのテヴィエをご覧になっているんですよね。

「森繁久彌さん、上條恒彦さん、西田敏行さん、(来日公演の)トポルさん、そして市村さん」

「他の方に比べて、市村さんテヴィエの特徴は?」

「優しそう。優しそうなテヴィエかな」

「市村さんはお芝居の中で繊細なコントロールをされますね。シリアスな中におちゃめさ、楽しさを散りばめてくる。『感情と逆の表現をするとお客さんはぐっとくる』という話があって。まさに『辛いときは笑え!』みたいな表現が市村さんはとにかくお上手で、感情移入しちゃう。テヴィエ視点で観ちゃいますね。繊細さにスピード感もあって(76歳にして)あの声量! 驚きでした!」

「私は以前、市村さんを『市村座』で観ていて……”市村正親”という伝統芸能を観ているようだと思いました。とにかく芝居の色気が凄いし、めちゃめちゃ深い! 『屋根~』では鳳蘭さんとペアでの相乗効果も凄かったですね! もう、国で保護した方が良い……(一同笑い)」

「私は『ラ・カージュ・オ・フォール』で観ました! ハキハキしたお芝居、元気で、凄いなと思いました! 『屋根~』でも一人芝居で場をもたせる、笑いを取って、退屈させないのが凄かったです」

♯4 人生の宝物のような作品

―――最後にAさんにお聞きしたいのですが、人生の中でこの作品を何回も観てしまうのは、どうしてなんですか?

「なんだろうね……わかんない! でも、何十年も見続けられているのは幸せです! そういう作品に出会えたことが”宝”だと思っています。みなさんも是非そんな作品に出会ってください!!」

昔、ニューヨークの書店で購入したという、古い書籍を持ってきてもらいました!
ニューヨーク初演の舞台写真など、貴重な資料が掲載されています。

最後までお読みいただきありがとうございました!

カンフェティ エンタメ盛り上げ隊、今後も楽しい企画を考えております!
次回の更新をお楽しみに!

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