モーリス・ベジャール、ジョン・ノイマイヤー、イリ・キリアンといった巨匠たちの名作を集めた東京バレエ団のトリプル・ビル〈レジェンズ・ガラ〉。なかでも注目はノイマイヤー作『月に寄せる七つの俳句』で、17年ぶりの再演を果たす。
「まさか選ばれると思っていなかったので、びっくりして。ジョンの愛を感じて、泣いてしまいました」と話すのは、ソリストの平木菜子。ノイマイヤー直々に行われたキャスティングで、メインキャストの“月を見る人”に抜擢された。
ノイマイヤーは彼女の恩師であり、ハンブルク・バレエ学校で2年間、その後ハンブルク・バレエ団で6年間、彼の下で研鑽を重ねてきた。
「巨匠と呼ばれる方なので、遠い存在のように思われますが、愛情が強くて深い。本当に温かい人だと感じます。ジョンは限界まで身体を使い、音楽と共に全身で表現する。流れるような動きが美しい。それを学んだ8年でした」
『月に寄せる七つの俳句』は1989年の初演作。ノイマイヤーが東京バレエ団のために創作したオリジナル作で、芭蕉や一茶などの日本の俳句を題材に七景が展開されていく。初演で現団長の斎藤友佳理が踊った役を、今彼女が受け継いでいる。
「振付・セット・衣裳・照明と、どの部分をとっても美しい。ジョンならではの、波のような動きも見えて、彼のこだわりが伝わってきます。“月を見る人”は少女のような動きから始まり、1人の男性と心を通わせ、恋をして、やがて現実世界のものではなくなる。その人生を40分の中で踊る作品だと私は理解していて。友佳理さんの指導はとても細かく、動き一つひとつの角度まで丁寧に教わっています。ストーリーについて友佳理さんの考えをお聞きして、それで作品の理解がさらに深まりました」
東京バレエ団に移籍して5年。ベジャールやキリアンに、クランコ、ロビンズ作品と数々の舞台を踏んでいるが、ノイマイヤー作品に出演するのは今回が初となる。
「東京バレエ団のダンサーとしてノイマイヤー作品を踊るのは私の1つの目標でもありました。本番を観て、ジョンがどう思うか、今からドキドキです。役の人生をしっかり表現しながら歩んでいけたら、何か伝わるものが出てくるのではないかと思っていて。その人物を演じるということを、1番大切に踊りたいと思っています」
(取材・文:小野寺悦子 撮影:平賀正明)
プロフィール
平木菜子(ひらき・なこ)
広島県出身。6歳でバレエを始める。2013年よりハンブルク・バレエ学校で学び、2015年にハンブルク・バレエ団に入団。ノイマイヤー作品からヌレエフ作品まで幅広く踊る。2021年3月、東京バレエ団にアーティストとして入団。2022年4月にセカンドソリスト、2023年4月にソリストに昇進。主なレパートリーに、ウラジーミル・ブルメイステル版『白鳥の湖』三羽の白鳥/スペインのソリスト、斎藤友佳理版『眠れる森の美女』ヴィオラント/サファイアの精、モーリス・ベジャール『ザ・カブキ』お才など。
公演情報
東京バレエ団 レジェンズ・ガラ
日:2026年2月27日(金)~3月1日(日)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席15,000円 A席12,000円
※他、各席種あり。詳細は下記HPにて
(全席指定・税込)
HP:https://www.nbs.or.jp
問:NBSチケットセンター
tel.03-3791-8888(月~金10:00~16:00/土日祝休)