嘘のない“真実の芝居”の追求、観客と演者が共鳴し、魂を揺さぶる瞬間の創造を目指す劇団狼少年が結成10周年を機に、連日キャンセル待ちの大反響を生んだ珠玉の名作を再演する。演劇の聖地、下北沢・本多劇場での初公演を皮切りに待望の映画化、そして地方公演として仙台と初の大阪公演も組まれた。
様々な境遇を背負った人々の絆が集う夜間中学を舞台に、絆を紡ぐ尊さとコミュニティのあり方、他者を想い行動することの普遍的価値を問う物語は、新たなキャストを迎えどんな景色を見せるのだろうか?
―――初演からキャストであるお2人は本作にどんな印象をお持ちですか?
たむら「本来の自分で生きて行こうと意識した時期と初演がちょうど重なったこともあり、思い出深い作品です。様々な事情を持つ人達の前に向かって生きる姿がとても印象に残っています。そこから劇団狼少年さんには3作品参加させて頂いていたのですが、どの作品が好き?と聞かれたら最初に出てくる作品なので、再演がとても楽しみです。夜間中学は社会の縮図ですよね。そこに通う人は少数派ですが、だからと言って抱えている悩みとか夢とか葛藤などはどこの立場にいても変わらないはすです。
何が普通か、何が特殊かは誰も分からなくて。普通だと思っていたことがそうでなかったりすることが、結構当たり前にある。だから本作を観た方には、決して夜間学校だけの話ではないのだということを感じ取ってもらえると思います」
及川「私にとっても節目になった作品ですね。コロナ禍を経て、多くのものを見つめ直すきっかけとなる出来事があり、舞台に立つことが当たり前ではないと教えてもらえた作品です。年齢や性別に限らず色々なものを抱えてきた人達が集まる夜間中学で、皆さんとの温かいふれあいを通して、演じながらもここが私の場所だと思えるようになりました。
とても難しい役で、この作品をやると普通に食事をしていても瘦せるんです。でもそれぐらい特別な思い入れがありますし、やるからには前回を超えたいですね」
―――演出としてお2人の役どころをどのように考えていますか?
奥津「たむらさんの役の台詞には、僕が一番思い入れのある言葉を入れています。ある事件をきっかけに人を疑い始めてしまう若者たちに対して、たむらさん演じるおばあちゃんが訴えかける場面があるんですが、そこで皆がハッとさせられるんです。僕自身、一番好きなシーンでもありますし、ある意味この物語を導く存在とも言える役ですね。
奈央さんが演じるヒロインは、僕が演じる玄太という、過去にヤクザをしていた人間とすごくシンクロしています。劇中で2人の会話はほとんどありませんが、幼少期の何かがつながっていて、表裏一体というか、彼女の生き方が玄太の生き方にも重なって見えるんです。書いている時以上に、演じている時にハッとさせられることもあって、特別な役だと感じています。芝居からにじみ出る母性や華もあって、奈央さんだからこそ、この役に命を吹き込んでくれると思っています。
たむらさんも含め、この2人への想いを込めて描いたので、正直、僕としてはこの2人以外が演じるのは難しいんじゃないかと思っています」
―――初の大阪公演です
奥津「僕の中では、ずっと色んな場所で公演をしたいと思っていて、その1つが大阪でした。劇団員に大阪出身の宮後マミがいるので、彼女にとっては凱旋公演になりますね。自分も故郷・仙台で公演をした時は、かなり感慨深いものがありましたから。僕自身は東北出身ですが、西に所縁があって友人も多いんです。居心地がいいというか、どこか肌感覚が合うんでしょうね。だから大阪は、第2の故郷にしようと思っています(笑)
『晩カラ』の劇中には、いくつかドッと笑わせる“外さない”シーンがあって、それを笑いの目が肥えた大阪のお客さんがどうジャッジするのか。正直怖さもありますが、それ以上に楽しみですね」
―――改めて本作から伝わるものはなんだと思いますか?
及川「『そのままでいいんだよ』と肯定してもらえる気がします。それぞれの人生と生き方があって、悩みが無い人はいないけども、『そのままでいいよ。大丈夫だよ』と背中を押してくれる気がします。誰かの為に動く大切さ、そのエネルギーも感じてもらいたいです」
たむら「『決して独りじゃないよ』と語りかけてくれる気がします。人生でつまずいた時、自分だけがダメだと思ってしまいがちですが、もう少し視野を広げると、実は周りには助けてくれる人がいて、あなたは独りじゃないよという優しさが込められていると感じました。
是非、こういう『晩カラ学校』みたいな場所を、作品を観た方にも見つけてもらえたら嬉しいです」
奥津「今回の再演には色々な見どころがありますが、一番はキャスティングです。僕の中では、少しも妥協のないキャスティングができたと自負していますので、ぜひそこに注目してもらいたいですね。
新しい顔ぶれによるフレッシュさも魅力ですが、初演から演じ続けているお2人には、確実に積み重ねてきた深みがあります。時間を重ねたからこそ、初演では見られなかった芝居が生まれていると思います。生身の人間が舞台上で放つエネルギーを、ぜひライブで体験してほしいです。ご来場をお待ちしています」
(取材・文&撮影:小笠原大介)
プロフィール
たむらもとこ
4月23日秋田県生まれ。
主な出演作は『クローバー』、『北の国から92巣⽴ち』、映画『骨なし灯籠』など。
及川奈央(おいかわ・なお)
1981年広島県生まれ。
主な出演作は『炎神戦隊ゴーオンジャー』、『龍馬伝』など。
奥津裕也(おくつ・ゆうや)
1984年宮城県生まれ。
主な出演作に映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』、『ピストルライターの撃ち方』、韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』など。
公演情報
劇団狼少年 第15回公演 『晩カラ学校』
日:2026年4月2日(木)~5日(日)
場:in→dependent theatre 2nd
料:VIP席[特典付]10,000円
一般席6,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.ohkamishow.com/stage15
問:劇団狼少年制作
mail:bankara_osaka@ravencom.jp