現代演劇を代表する劇作家・清水邦夫の伝説的な戯曲が、大河ドラマや日曜劇場などの出演で注目を集める木村達成主演で上演。木村は約1年ぶりの舞台出演となる。
「久々の舞台ということで、本読みの日は稽古場に着くまでソワソワしていました。ただ稽古場に着いてからはすっかり慣れました。今回キャストは6人になりますが、問題児がいなければうまくいくと思っています。もし問題児がいるなら、きっと僕のことでしょう(苦笑)」
とある娼家が舞台。女主人とその客、女主人のヒモ、若い娼婦とその客の5人が、1つの家族であるかのようなゲームを始めることで物語が動き出す。
「本読みするまでは自分の言葉で解釈するところまで行きつけなかったのですが、実際に本読みをすると自分が思い描いていた解釈が変わったり、各キャラクターがより鮮明になったりして、自分がどういなきゃいけないのかということを把握することが出来ました」
演出を務めるのは、第30回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞するなど、若手演出家として注
目を集める稲葉賀恵。
「稲葉さんはすごく親身になってこの作品に取り組んでくださっていて、きっとうまくやっていけると思います」
木村に注目ポイントを聞いてみると「流れるような家族の会話」という回答が返ってきた。
「家庭で一家団欒しているところを録音してみて欲しいんですけど、お互いの理解が合った中での会話は恐ろしく速かったりノロかったり、緩急がすごいんですよ。これからの稽古でこの緩急を自然と表現出来るようになれたらと思っています」
最後に「狂人とはどんな人間のことだと思いますか?」という質問をしてみた。
「僕がトレンドに流されないタイプの人間だからかもしれませんが、同調圧力をかけるような人や周りと同じように自分の身を隠している人が狂人だなと感じますし、“十人十色”みたいにみんなと違っていいという考えがあるにも関わらず、日常的に“一般的”や“普通”という言葉を使ってしまっていることも実は恐ろしい。この作品の登場人物は、全員が普通の人かもしれませんし、全員が狂人かもしれません。特に自分が感じたことのない感覚を味わいたい方、普通じゃない作品を求めている方は観ていただきたいです」
(取材・文:冨岡弘行 撮影:友澤綾乃)
プロフィール
木村達成(きむら・たつなり)
1993年12月8日生まれ、東京都出身。主な出演作に、ミュージカル『スリル・ミー』、『セツアンの善人』、NHK 大河ドラマ『光る君へ』、TBS 日曜劇場『キャスター』など。
公演情報
『狂人なおもて往生をとぐ ~昔、僕達は愛した~』
日:2025年10月11日(土)~18日(土)
場:IMM THEATER
料:10,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.kyoujin2025.com
問:公演事務局
tel.0570-08-9921(10:00~18:00)