明治時代の文豪・小泉八雲。小泉夫妻をモデルにしたNHK“朝ドラ”の影響もあり、幅広い層から注目が集まっている。そんな八雲の短編怪談『青柳のはなし』をテーマにした「リアム・オ・メンリィ特別公演~螺旋の渦~『青柳』」が12月に草月ホールで開催される。企画制作を行う地球音楽プロジェクト実行委員会のプロデューサー・川島恵子氏から、公演についてコメントをもらった。
「リアム・オ・メンリィはアイルランドのシンガーで、ロックもトラッドも歌いますが、彼の音楽には自然への深い造詣があります。小泉八雲の『青柳のはなし』は、樹木が伐採されることで木の樹霊“青柳”が命を落とすという物語です。今回は自然への崇拝と畏怖の気持ちを、音楽を通して伝えられればと願っています」
日本の古い民話をもとにした『青柳』の世界が、ステージでどう表現されるのだろうか。
「リアムの歌とダンス、そして大鼓と謡。また、ノコギリ音などを駆使して異界を表現します。ダンスは異世界からの魔気を感じさせる舞いで、視覚的な美しさと青柳の切実な感情を踊ります。リアムのその場の感情表現を取り入れた即興的な要素も全面的に展開されます。音楽とダンス、美術を通じて『青柳』の世界を豊かに表現し、見たことのない樹木の幻想を見ることでしょう」
公演は2部構成で、後半が『青柳』をテーマにした内容。前半は『Tokyo Encounter』と題されたステージとなる。
「リアムは、ロックシンガー、アイルランド伝統歌の歌手、ジャンルと人種を越えた幅広いアーティストとしてマルチに活動しています。これまでのソロ公演ではゲストを迎えつつ、自由にピアノで弾き語りをしてきましたが、今回はアプローチを変えて、異ジャンルと組み合わせます。日本のタブラ奏者、舞踊、チェロ。また、同時来日中のアイリッシュ・カナディアン・ダンサーたちなど、これまでに共演したことのないパフォーマーたちと創作する“渦”を構成します」
ロック・バンド U2のボノから“世界一のホワイト・ソウル・シンガー”と評されるリアムの新たな挑戦。見逃せない1日になりそうだ。
「毎回スポンティニアスなステージを見せ“天性のライブ・パフォーマー”とも言われています。今回は新作アルバムからも演奏し、リアムならではの深いスピリットのライブを展開します。ご期待ください」
(取材・文:西本 勲 撮影:石田昌隆)
プロフィール
リアム・オ・メンリィ
“世界一のホワイト・ソウル・シンガー”(by ボノ)と称される、アイルランドを代表するカリスマ・シンガー。1980年代後半にロック・バンド「ホットハウス・フラワーズ」のフロントマンとして活躍。アイリッシュ・ミュージックとソウル/R&Bを融合させたソウルフルなヴォーカルで人気を得る。アイルランド伝統打楽器のボーランの名手であり、アイルランドのゲール語のシンガー、アイリッシュ・ハープ奏者でもあり、これまで多数のアイルランド伝統音楽の音楽家と共演。また、マリ、インド、チベット、中国、オーストラリアのアボリジニ、アメリカのネイティヴ・アメリカンの音楽家とも交流。2008年、リアムが中央アフリカのマリへ旅をして現地の音楽家との交流や、音楽祭「砂漠のフェスティバル」でのパフォーマンスを収録したドキュメンタリー映画『Dambé: The Mali Project』に出演。2018年にホットハウス・フラワーズ、2019年・2025年にソロで「フジロックフェスティバル」に出演。今年10月末に17年ぶりの新作アルバム「PRAYER」をリリース。
公演情報
リアム・オ・メンリィ特別公演
『~螺旋の渦~ 青柳』
日:2025年12月5日(金)19:00開演(18:15開場)
場:草月ホール
料:S席7,100円 A席6,600円(全席指定・税込)
HP:https://www.plankton.co.jp
問:プランクトン
tel.03-6273-9307(平日13:00~17:00)