親の愛と子の愛、どちらが強いのか。愛とは何か――。普遍的かつ壮大な問いをテーマに扱う舞台『七日後、塔は燃え落ちた』が上演される。脚本家 大石れいかによる完全オリジナルの本作は、狂王・カルロの城が舞台。主人公・フランチェスカは育ての母・セトナの導きによってカルロに出会い、貧しさから脱却するため側室となるところから物語が始まる。セトナの目的は? 城に隠された過去とは? フランチェスカを演じる彩音星凪に話を聞いた。
「お芝居の中でバレエを踊るのが夢だったので、本作のフランチェスカ役はやっとめぐり会えたような嬉しさがあります。昔からダンスは大好きで、なかでもバレエは特に思い入れがあります。過去にそんな風に話していたことを、脚本の大石先生が覚えていてくださったので、踊りのシーンを沢山盛り込んでいただけたんです。どんな振付になっていくのか私も楽しみです」
4名と少ない俳優陣で作り上げる本作は、登場人物それぞれが親や子、愛に向き合う姿が濃厚に描かれる。
「“親子”と聞くと、宝塚在団中に新人公演で演じさせていただいた『エリザベート』のルドルフ役を思い出します。彼がお父さんと直接会話をするシーンでは、ほんの一瞬でいかに葛藤やもどかしさを表現するかに苦労しました。本作でも、一言では語り尽くせないような複雑な親子関係が描かれているので、丁寧に演じていきたいです」
フランチェスカと自身との共通点について尋ねると、「踊りですね」と、笑顔をこぼす。
「彼女は一見サバサバしているように見えるけれど、本当は繊細で優しい女性。普段の自分と似ているところがあるとすれば、感情を踊りで表現するところですね。音楽を聞いたら思わず身体を動かしてしまうところや、苛立ちや悲しみを踊りで表現したくなる感覚は、とても共感できます。
あとは、宝塚時代に男役を演じていた時の癖が出てしまう時が、今でもたまにあって(笑)。女性役を演じた経験はまだ多くありませんが、少しずつ手応えを感じてきているところなので、強くて美しいフランチェスカを演じきるために全力で役に向き合いたい。他に類をみない見どころたっぷりのオリジナル作品です。ぜひ、劇場まで観に来てください」
(取材・文:山田浩子 撮影:間野真由美)
「私の推しは宝塚歌劇団の星組トップスターの暁千星さんです!!! 初めてダンスのレッスンを一緒にさせて頂いた時に、こんなに素晴らしい身体能力と技術がありながら、こんなにもかっこいい人は見たことがないと心の地響きが鳴り止まなくて……弟子入りさせて頂いて、一から丁寧に教えてくださりました。一緒に舞台に立てた時間は宝物ですし、今も活力です。……とにかく凄いんです。舞台を観たら椅子から崩れると思います! 自慢の推しです!」
プロフィール
彩音星凪(あやおと・せな)
北海道出身。2015年、宝塚歌劇団に入団。月組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』で初舞台を踏んで以降、月組の男役として活躍。2024年、同劇団を退団。その後は、自身初となるソロコンサート『彩音星凪〜JOURNEY〜』を開催したほか、エンターテインメント時代劇『幕末』、舞台『私はスター』などに出演。本作の脚本を務める大石れいかとは、舞台『キアロスクーロ-古典落語「死神」より-』以来、2回目のタッグとなる。
公演情報
『七日後、塔は燃え落ちた』
日:2025年12月5日(金)~8日(月)
場:神戸三宮シアター・エートー
料:8,800円(全席指定·税込)
HP:https://x.com/anzusyuwawa
問:あんずシュワワ
mail:towerdownseven@gmail.com