注目のソプラノ歌手・迫田美帆出演! かねてから熱望していた『椿姫』に挑む

 2019年上演の藤原歌劇団『蝶々夫人』のタイトルロールでのデビュー以降、次々と注目作でヒロインを演じているソプラノ歌手・迫田美帆。現在はアメリカに拠点を置きながら幅広く活躍を続ける彼女が、ヴェルディの『椿姫』でヴィオレッタを演じる。

 「学生時代から目標としていた役で、先輩に重唱の相手をお願いして、全幕を勉強してきました。そもそもヴェルディのオペラ全般が大好きなんです。今回はじめてのヴェルディ作品でオペラ出演になるので、その点でもとても嬉しいです」

 本公演は2019年の再演であり、演出は前回と同じく粟國淳が務める。

 「前回の公演を拝見したのですが、舞台がシックな色彩で、豪華でありながらも統一感があり感動したのを覚えています。ヴィオレッタの心情が舞台そのものに表れていると感じました。あの舞台のなかでどのように歌い、演じようかと、色々想像しながら勉強をしているところです」

 管弦楽の東京フィルハーモニー交響楽団を指揮するのは、ヨーロッパ各地のオペラハウスでデビューを果たし、注目を集めている阿部加奈子だ。

 「以前、『ファウスト』でご一緒したのですが、音楽に対する情熱がとても強く、一振りするなかに様々なことを込めて伝えてくださるのがとても印象的でした。また歌手のちょっとした息の変化にも気が付いて導いてくださるので、今回も共演できることがとても嬉しいです。アルフレード役の笛田博昭さん、ジェルモン役の須藤慎吾さんをはじめ、歌手の皆さまも本当に素晴らしい方々なので、声を重ねてどんな響きが生まれるのか、ぜひ楽しみにしていただきたいです」

 ヴィオレッタは、第1幕では「花から花へ」などの華やかな楽曲を歌い、第2幕ではジェルモンとの二重唱で心情の変化を繊細に表現。第3幕では病に蝕まれながらアルフレードへの愛を歌うなど、様々な表現を求められる難役でもある。迫田の歌唱と演技に期待が膨らむ。

 「原作の小説を読み、彼女がどんな生活をしていたかなどを考えて演技に取り入れたりもしていますが、なによりも楽譜を読み解くことに時間をかけています。常に新しい発見があり、改めてヴェルディの音楽の素晴らしさに感動しているところです。これをお客さまと共有できることを楽しみに大切に演じていきたいと思います」

(取材・文:長井進之介 撮影:間野真由美)

プロフィール

迫田美帆(さこだ・みほ)
東京藝術大学卒業。サントリーホール オペラ・アカデミーアドバンスト・コース第2期修了。第50回日伊声楽コンコルソ、第13回東京音楽コンクール声楽部門第2位。第86回日本音楽コンクール 声楽部門入選など、コンクールでも目覚ましい成果を見せるなか、2019年、サントリーホール オペラ・アカデミー公演「フィガロの結婚」に伯爵夫人で出演。同年、藤原歌劇団公演のプッチーニ「蝶々夫人」にてタイトルロールでデビューを果たし、注目を集める。以降、モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」フィオルディリージ、グノー「ファウスト」マルガリート役などを演じ、いずれも高い評価を得ている。さらにオペラはもちろん、ベートーヴェン「第九」、ロッシーニ「小荘厳ミサ曲」など、ソリストとしても活躍。美声と豊かな表現力で聴衆を魅了している。現在は拠点をアメリカに置き、国際的な活動も広がりを見せている。

公演情報

藤原歌劇団公演『ラ・トラヴィアータ ~椿姫~』

日:2025年9月5日(金)~7日(日) 
場:新国立劇場 オペラパレス
料:S席22,000円
  A席19,000円
  B席16,000円
  ※他、各席種あり。詳細は下記HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://www.jof.or.jp
問:日本オペラ振興会チケットセンター 
  tel.03-6721-0874

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