上野水香がプロデュースする伝説のガラ公演が復活 ダンサーたちがその人らしい踊りを追求

 東京バレエ団 ゲスト・プリンシパルであり、かながわ観光親善大使も務める上野水香がプロデュースする伝説のバレエ・ガラ公演が、神奈川県民ホール開館50年を祝うため復活。2014年、2017年に続き、3度目の上演となる。

 「冠公演が長年の夢だったので、2014年にこのお話をいただいたときは本当に嬉しかったです。尊敬するダンサーたちが冠公演を行っていたので、私もやりたいという思いがあって。ダンサーたちが舞台の上でその人自身を表現していて、その姿が輝いて見えました。なので、私もいつかできたらと夢を抱いていたんです」

 この『Jewels from MIZUKA』には、ダンサーたちがのびのびと踊る機会にしたいという想いがある。

 「全幕ものの素敵な作品を振付家の指定通りに踊ることが私も含め、ダンサーみなさんが普段やられていることですが、この公演では、より自由度を増し、のびのびとらしく踊ることで各々が輝くことができる場となれば……と思っています」

 今回、上野は4作品に出演し、モーリス・ベジャール振付『ルナ』を初披露する。

 「ずっと憧れていた作品であり、人から勧められることも多かった作品です。みなさんが私に『ルナ』があっていると言うのにはきっと理由があるんだと思います。なので踊ってみたい。踊ってみたらそれが何なのか分かるのではないかという期待感があります。幻想的な精神世界のような踊りなので、今の自分なら深い表現を追求できるかもしれません」

 本公演はジル・ロマン、柚希礼音、中村祥子、吉岡美佳など豪華出演者たちが揃う。

 「柚希さんとはプライベートでも交流があり、お互いの人生を見守っているような関係性です。柚希さんはもともと宝塚の男役ということもあって、男性らしい表現がありながらも、女性らしさも持っていらっしゃる。一緒に踊っていると男の人と踊っているような気持ちになったり、友達と踊っているような気持ちになったり……。気がついたら魂の繋がりを感じるような体験をしました。今回もそうした深い世界を追求できたらと思います」

 神奈川県民ホールは“原点”ともいえる場所だと上野は言う。

 「神奈川県民ホールは、私にとって子どもの頃から親しんできた大切な劇場です。地元は大事な原点でもあり、感謝の気持ちが常にあります。今回の公演もみなさんにハッピーな気持ちになっていただけるような舞台を目指したいと思います」

(取材・文:嶋田真己 撮影:平舘 平)

オーディション、本番前など……ここぞ!という時にやるルーティーンは?

「客入れ直前のステージで緞帳が下りるまで練習して集中&リラックスをすること。また、“ロピ”(カメのぬいぐるみ)を舞台袖に連れて行き、舞台を見守っていてもらうこと。いつもお世話になっているスタッフさんたちは舞台袖に“ロピ”用の席を用意してくださるほど、舞台に立つときは常に一緒です」

プロフィール

上野水香(うえの・みずか)
神奈川県出身。5歳でバレエを始め、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞し、モナコに留学。その後、牧阿佐美バレヱ団に入団し、古典から現代作品まで幅広く踊る。2004年、東京バレエ団にプリンシパルとして入団。モーリス・ベジャールから直接指導を受け、『ボレロ』を踊ることを許された数少ないダンサーのひとりとなる。海外の主要な歌劇場からも数多く招かれ、世界的なダンサーたちと共演を重ねている。2022年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2023年、紫綬褒章受章。

公演情報

ありがとう神奈川県民ホール『Jewels from MIZUKA 2025』

日:2025年3月8日(土)15:00開演(14:15開場)
場:神奈川県民ホール 大ホール
料:S席9,000円 A席7,000円 
  B席5,000円 C席3,000円
  (全席指定・税込) ※残席僅少
HP:https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/jewels2025
問:神奈川県民ホール(代表) tel.045-662-5901

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