福田転球、大堀こういち、山内圭哉、長塚圭史による演劇ユニット「新ロイヤル大衆舎」。下北沢から『王将』でスタートした彼らが、長塚が芸術監督を務めるKAAT神奈川芸術劇場で火野葦平の『花と龍』に挑む。舞台や映像で活躍する4人は何をきっかけに集ったのか。
大堀「とっかかりを作ったのは僕です」
山内「長塚が演出した作品で4人揃いました。僕と転球さんは昔から付き合いがありましたが、大堀さんとは初めてだった」
大堀「僕と長塚さんは何かしたわけではないけれど、昔から知り合いで」
長塚「いやいや事務所の先輩だったし、僕の作品にも出てくれてるでしょ」
大堀「そうか」
山内「実は大堀さんには別の思惑があったのだけど、長塚が『転球さんに坂田三吉をやってほしい』と言い出して、それは面白いというので話が進み、思惑とは大きく外れました」
こうして第1弾の『王将』が生まれた。そして今回の『花と龍』では福田転球が主役の玉井金五郎を演じる。何度も映画化され、石原裕次郎や高倉健が演じた役だ。
長塚「実物と外見はそっくりなんですがね。まあ玉井はもうスターですからね」
福田「そんなのは自分が一番わかってる(苦笑)。若い頃もやらないとだし、キャラクターも全く違うし」
ではなぜ今、この作品に挑むのだろう。
長塚「『王将』や『花と龍』には物語に凄まじい魅力があります」
山内「セリフや言葉の強靱さが全然違うし、ものすごく工夫して書かれている。小劇場で育った僕らが、年齢を重ねて『王将』に出逢ったら凄く魅力的で新鮮だった」
長塚「玉井の甥は医師としてアフガニスタンで活躍し、凶弾に倒れた中村哲医師なんですが、きっと彼には玉井金五郎とマンの血が継承されている、と思ったのも今やる後押しになりました」
最後に、上演に向けての4人の抱負をきいた。
福田「最後まで無事に、健康で突っ走ることが出来るよう頑張りたいですね」
山内「この作品には今の社会に足りていないものが入っている。観れば皆さん腑に落ちると思います。足りないものを補いに来てほしいですね」
長塚「今回は劇場に“賑わい”を作りたいと思っています。さらに温かみのある脚本や個性的なキャストと、楽しみが沢山あるんです。ぜひ観てもらいたいです」
大堀「“賑わい”をどう演出するかはまだ想像できないけれど、劇場に来てもらえれば新しい体験が出来ると思います。作品は古いですが、最新の体験がね」
(取材・文:渡部晋也 撮影:小山眞一郎)
福田転球さん
「お酒です。20年続けてるというより続いてしまった。そして必ずビールから入る。お店でも家でも環境季節問わずを必ずビールから入る。これも20年以上続いてるなぁ。ビールの後は日本酒、焼酎、ウイスキーハイボール何でもいい。コップ一杯でもまずはビールから。最近はノンアルコールビールから入ることも」
大堀こういちさん
「フォークシンガー小象(しょうぞう)という名前で音楽活動もやらせてもらってるのですが、20年以上続いています。こうなったら行けるとこまでライブしようと心に決めた次第です。20周年おめでとうございます!」
長塚圭史さん
「阿佐ヶ谷スパイダースです。2017年にプロデュース・ユニットから劇団化もしましてドンと大所帯に。解散を考えたこともありましたが、思いがけない形で再スタートをして7年目。旗揚げ公演からは28年です。最近も新メンバーが加わりまして、ますます賑やかになっていきそうです」
山内圭哉さん
「自分は想像を絶するほど怠惰な人間でして、20年も続けてこれたことがあるのかどうか一生懸命に考えた結果、ま、ありました。飲酒です。あと演劇と音楽。やりたいことしかやってないということですね。よく生きてこれたものです」
プロフィール
福田転球(ふくだ・てんきゅう)
大阪府出身。1993年、転球劇場を旗揚げ、座長を務める。2006年のさよなら公演『3バカ』まで13年間、31作品全作品に出演。構成・演出を手掛けた。独特の笑いのセンスと滲み出る哀愁を持ち味に、圧倒的な個性で幅広く活躍。
大堀こういち(おおほり・こういち)
宮城県出身。ユニークで軽妙な存在が際立ち、貴重なバイプレイヤーとして活躍。近年の作品に舞台『ジャズ大名』『GOOD-善き人』、TV『科捜研の女』など。「フォークシンガー小象」というキャラクターで音楽活動も行っている。
長塚圭史(ながつか・けいし)
東京都出身。1996年、早稲田大学在学中に演劇プロデュースユニット 阿佐ヶ谷スパイダースを結成し、作・演出・出演の三役を担う。2017年、劇団化。2021年4月よりKAAT 神奈川芸術劇場芸術監督に就任。
山内圭哉(やまうち・たかや)
大阪府出身。映画『瀬戸内少年野球団』で主演デビュー。主な近作に、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、舞台『パラサイト』、『死んだかいぞく』、ドラマ『民生R』など。また、Khwaiのメンバーとして音楽活動も行う。
公演情報
KAAT×新ロイヤル大衆舎 vol.2『花と龍』
日:2025年2月8日(土)~22日(土)
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉
料:桟敷席・一階席8,800円
平日夜割7,900円 二階席6,000円
24歳以下4,400円 高校生以下1,000円
満65歳以上8,300円
※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて(全席指定・税込)
HP:https://www.kaat.jp/d/hanatoryu
問:チケットかながわ
tel.0570-015-415(10:00~18:00/年末年始除く)