お正月にぴったりの“ エンターテインメント時代劇”で芝居初め 冥途の旅を通して自分自身と向き合う笑って泣ける49日間の物語

 幅広い年齢層に分かりやすく親しみやすい、笑って泣ける“エンターテイメント時代劇”を創造する片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」。「ざ☆くりもん」の第32回新春本公演『冥途遊山』が2025年1月3日~12日に、池袋・シアターグリーン BIG TREE THEATERで上演される。
 人は死んだらすぐ冥途の旅が始まり、49日間をかけて次に生まれる世界を決めるための裁きを受ける。本作では、冥途の旅でさまざまな出会いを重ねながら本当の自分自身と向き合う49日間を描く。
 本作に挑む山田拓未と、「ざ☆くりもん」初出演となる惣田紗莉渚に公演への思いを聞いた。


―――はじめに、「ざ☆くりもん」という劇団について教えてください!

山田「『ざ☆くりもん』は、江戸時代を舞台にしたとても観やすい時代劇をメインとした公演を行っています。上演している作品の8割ほどがコメディで、とにかく楽しく物語をお届けすることを大切にしています。
 脚本・演出を手掛けている主宰の朝比奈文邃が現役の住職ですので、仏教の教えに基づく悟りを脚本に織り交ぜながら展開している物語が多く、メッセージ性がある作品がたくさんあります。そうしたところも劇団の色になるのかなと思います」

―――観やすい時代劇というお言葉もありましたが、そうすると幅広い年代の方がお越しになられているのですね。

山田「そうですね。子どもから年配の方まで、本当にお客さまは幅広いと思います。今年の5月に上演した『汚泥河童』は子ども向けの作品ではありましたが、大人の方が観ても楽しめるように考えて作らせていただきました」

―――惣田さんは、今回、「ざ☆くりもん」初出演です。出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。

惣田「最近、時代劇に出演させていただく機会が続いていましたが、和のお芝居が好きなのでそうした作品に携われるのは嬉しいです。『ざ☆くりもん』さんのお芝居は、時代劇ですがコミカルで、面白いシーンがたくさんあって、ダンスも華やかで、皆さんお上手な方ばかりなので、エンターテインメント性あふれる時代劇で楽しそうだなと思いました」

―――惣田さんは、10月に上演された、第31回本公演『父娘旅情』のアフタートークにも参加されました。

惣田「はい! そのときにお芝居も客席で観させていただきましたが、本当にお客さまが幅広くて、若い女性から年配の方までいらっしゃっていました。心温まるストーリーなので、とても楽しく観劇させていただきましたし、気軽に楽しめる作品だなと改めて思いました。セットもすごく細かいところまで凝っていて」

山田「『父娘旅情』のセットは、本当に細部まで凝っていました。劇中に登場した古道具屋は、江戸時代に本当に使っていたものもふんだんに並べているんですよ」

惣田「アフタートークのときに近くで見ることができたんですが、本当にすごいと思いました!」

―――冥途の世界を描く今回も、どのような美術になるのか楽しみです。

惣田「お衣裳もすごいと思います。衣裳合わせのときに見させていただいたら、皆さん華やかできれいで。どんな着物を着られるのかも楽しみです」

山田「特に女性キャストの皆さんは華やかな着物ばかりなので、僕も楽しみです。男性キャストは地味めな衣裳なんですよ。それが(女性キャストを)いい具合に引き立てられるかなと思います」

―――今回、おふたりが演じる役柄についても教えてください。

山田「僕は、お世話になった旦那さまの娘の(惣田が演じる)お嬢さまを守るボディーガードのような役柄です。ネタバレになってしまうのであまり詳しく説明できないのですが、とにかくお嬢さまを守ることを第一に考えたいと思っています」

惣田「私は今回、2役のような形で演じさせていただくのですが、お姫さまのお役は初めてな気がします。芯がしっかりしながらもどこか抜けているお嬢さまをしっかり演じられたらなと思います」

―――先ほど惣田さんは和の作品に出たかったというお話がありましたが、時代劇ならではの難しさや面白さについてはどのように感じていますか?

惣田「今(取材当時)は別の時代劇のお稽古中なのですが、着物を着てのお芝居なので、どうしても制限が多いじゃないですか。動きも限られてしまいますし、言葉遣いも現代とは違います。
 その時代の文化は、今の私からすると窮屈に思う部分がありますが、だからこそ出せるものがあると思いますし、それが面白くもあるのかなと思います」

山田「僕は動きやすい着物を着ていることが多いのでそれほど動きに制限というのはなかったですが、今回は普通の着物を着る予定なので、所作をもう一度、学ぼうかなと思っていところです(苦笑)。
 役どころ的に、ボディーガードのような役割もあるので、いかつすぎず突き詰めていきたいなと思っています」

―――では、最初に本作の脚本を読んだときは、どんなところに物語の面白さを感じましたか?

惣田「死んだ後はどうなるんだろうとずっと気になっていたので、この作品を読んで、こうなったらすごく楽しいな、面白いなと思いました。
 本当に個性的なキャラクターがたくさん出てくるんですよ。なので、観ていて飽きないと思いますし、愛情もたくさん感じられる作品なので、人と人との繋がりを大切にしたいと思いました」

山田「僕も死後の世界や不思議なお話が好きなので、死後の世界はどうなっているんだろうと考えることはあったのですが、この作品の台本を読んで『今、ちゃんと生きないと死んだ後に大変なことになる』とか『子孫もどんどん廃れていく』ということを考えさせられました。
 それから、人と人が支え合うことの大切さも感じました。とても勉強になる作品だと思います。自分だけじゃないんだという共感も感じられる作品なのかなと思います」

―――ところで、山田さんと惣田さんは本作が初共演です。ぜひお互いの印象などもお伺いできたらと思います。

山田「僕の中では、お嬢さま役にぴったりだと思いました。品がある方なので、ご一緒させていただくのが僕で大丈夫かなと思いましたが、一緒にお芝居ができるのはすごく楽しみです」

惣田「山田さんがお芝居をされている姿を観させていただき、熱いところが魅力だなと感じました。その後、お会いしたときに、すごく物腰が柔らかくて、初対面から優しく接してくださったので、早くお芝居を一緒にしたいです。それから、運動神経の良さがすごく出ているなと思います」

―――本作は、冥途の旅をして次に生まれる世界の裁きを受けるという物語です。もし、おふたりが生まれ変わるとしたらどんな人になって、どんな人生を歩みたいですか?

山田「どうなるんだろう……。人ではないですが、僕は虎が大好きなので、虎になりたいです。僕はあまり人と関わるのが得意ではないのですが、虎は基本的には単独行動なんだそうです。もちろん、それもすごく大変なことでしょうが、虎として生活してみたいですね」

惣田「私は今、江戸時代の作品が続いているので、江戸時代に生まれ変わりたいです。過去に戻ってしまうので、生まれ変わるとはまた違いますが」

―――それは、当時のお姫さまになりたいということですか?

惣田「お姫さまっていろいろなことに巻き込まれそうですよね(笑)。なので、江戸時代の町人の娘がいいです。生まれ変わりならば、男性がいいです。渋めのイケオジになりたいです(笑)」

―――本公演は、年が明けてすぐの1月3日からスタートします。お二人の2025年の目標ややりたいことを聞かせてください!

山田「僕は『ざ☆くりもん』の世界観が大好きなんです。これまでさまざまな作品を上演してきましたが、全ての作品に共通して、人の情や人との繋がりを大切にして作られています。
 今は、人との繋がりが薄れている時代です。ですが、人のことを思う大切さを伝える『ざ☆くりもん』の世界をたくさんの方にご覧いただき、人との繋がりの大切さを広めていけたらいいなと思います」

惣田「私はこれまでお正月から公演があることがあまりなかったので、お正月から舞台に立てることが嬉しいですし、楽しみです。
 2024年はゆっくり立ち止まる暇もなく、駆け抜けてきてしまった印象があります。ですが、コンサートもたくさんさせていただいて、これまでやったことがなかったことにも挑戦できたので、2025年もたくさんチャレンジできる年になればいいなと思います。もちろん、舞台が好きで、舞台を頑張っていきたい気持ちもあります」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

山田「冥途の旅を描く作品ですが、それだけではない不思議な物語になっていると思います。“冥途”というと怖い話なのかなと思うかもしれませんが、そんなことは全くなく、楽しいお話です。お正月なのでお祭りのような舞台にしたいと思っていますので、笑いに、楽しみに来てください!」

惣田「『父娘旅情』を観させていただいたときに、今、毎日幸せに生活できているのはすごくありがたいことなんだなと感じました。新春本公演も皆さんに『明日頑張ろう』と思っていただけるような元気が出る作品になったらいいなと思います。ぜひお気軽に足を運んでいただけたらと思います」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

山田拓未(やまだ・たくみ)
1986年2月1日生まれ、大阪府出身。テーマパークでダンサー・アクターとして活躍の後、2008年に蜷川幸雄演出の舞台『さらば我が愛覇王別姫』で役者デビュー。近年の主な出演作品に、オリジナルミュージカル『最後の晩酌-TOKIWA DAYS-』(第18回杉並演劇祭 優秀賞作品)、大統領師匠vol.13『ユナイテッドステイツ』、ラゾーナ川崎プラザソル開館15周年記念公演『俺は黙って鍋を振る』など。

惣田紗莉渚(そうだ・さりな)
1992年1月18日生まれ、埼玉県出身。2013年にAKB48ドラフト会議にてSKE48チームKⅡに指名されデビュー。2021年6月にSKE48を卒業し、ソロ活動を開始。近年の主な出演作品に、〜浅見光彦シリーズ〜舞台『後鳥羽伝説殺人事件』、舞台『カルメン故郷に帰る』、舞台『武士の献立』など。

公演情報

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
第32回新春本公演『冥途遊山(めいどゆさん)』

日:2025年1月3日(金)~12日(日)
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:SS席8,500円 S席6,500円 A席5,500円
  プレビュー公演[1/3]5,000円
  U25[25歳以下]4,500円 ※要身分証明書提示
  (全席指定・税込)
HP:https://alii-inc.co.jp/kurimon/
問:アリー・エンターテイメント
  mail:info@alii-inc.co.jp

インタビューカテゴリの最新記事