@emotionが歴史の「if」を描く痛快エンターテイメント! 新年のスタートを飾るに相応しい、派手で爽快で清々しい舞台を届けたい!

 「日常に刺激を」をコンセプトとしたエンターテイメントユニット @emotion(アットエモーション)の10回目の本公演、@emotion presents Expression Vol.10 金『IKIZAMA』が2025年1月15日~19日に東京・北品川の六行会ホールで上演される。
 「戦国時代に名を馳せた天下の大泥棒・石川五右衛門が生きていた」という歴史の「if」を中心に、戦国の世を生きた人々の生き様を描くこの作品は、2023年11月に初日の幕を開けたものの、やむを得ず中止となった。本公演はその復活上演で、この1年間の蓄積を経て更にパワーアップ。新たな戦国絵巻が展開されていく。
 前回から引き続き主演を務める米原幸佑、新キャストの碕理人と鵜飼主水、そして作・演出・殺陣振付・出演の門野翔が集い、2025年初頭を飾る舞台への思いを語りあってくれた。


―――『IKIZAMA』は2023年に残念ながら公演期間の大半が中止になってしまい、今回が待望の上演となります。作品の内容について、変化などはありますか?

門野「やはり前回公演から1年経っていますし、@emotionの作風として俳優の人間性や個性に当て書きをしていくところが多いので、1年分の蓄積と新たなキャストの力が加わる作品になったらいいなと思っています」

―――ではそれも踏まえて、今改めて作品のテーマや狙いを教えていただけますか?

門野「タイトルが『IKIZAMA』という、ある意味、重いものなのですが、やっぱり“人の生き様”ってその人が覚悟を決めるまでのプロセスだったり、流れだったりというところじゃないかと思っていて。
 脚本にも『杭』という言葉が出てきて、掛詞としても使っているのですが、その人が人生に杭を打つ瞬間、覚悟を決める瞬間、例えば若かろうが、年老いていようが、その瞬間に見せるかっこよさを、戦国の歴史のなかで色々と表現できたらと思っています。
 もう1つは気持ち良い演劇をやりたいと思って創ったので、花火を打ち上げるようなスカッとした作品、出ていただく役者さんにもそう思ってもらえる舞台になったらいいなと思っています」

―――暗いニュースが多い世情なので、「劇場で気持ちが晴れる作品」というのはとても楽しみです。キャストの皆さんが感じる作品の魅力についてはいかがですか?

米原「とても天晴れな作品なので、2025年になった新年、最初に観る演劇にはもってこいの作品ではないかと思います」

碕「僕は2023年公演のゲネプロを観劇させていただいたのですが、観終わった時にとても清々しい気持ちになりました。ここから本番に向けてすごく良いスタートになっていくんだろうと思っていただけに、残念な結果になってしまいましたから……。
 今回、そんな作品の再演で、穴山小助役を演じさせていただけるということがとても光栄です。幸ちゃん(米原)とも久々の共演で」

米原「あーそうだよね」

碕「主水さん(鵜飼)とは“はじめまして”ですし、@emotionさんは本当に素敵なカンパニーで、メンバーの皆さんがすごくいい人たちばかりですから、ご一緒できることを楽しみにしています」

鵜飼「結果的に唯一の上演になった、前回公演の初日を記録した定点映像を舞台で上映することになって、それを観に行かせていただいたんです。作・演出の門野翔とは出会ってからもう結構長いんですが」

門野「そうだね」

鵜飼「その間に何度も作品を拝見してきて、この『IKIZAMA』という作品を含めて、@emotionという劇団さんが持っている魅力は『行くぜ!』っていうものなんですよ。『かかってこいや! 行くぜ!』という気概なんですね。それは門野翔や劇団員さんが持っている、それこそ“生き様”から成り立っているものだし、そこに共感した共演者たちのグルーヴ感が、映像からでもすごく伝わってきました。
 だからこそ、僕もちゃんと『行くぜ!』に乗っかって、幸ちゃんが言ったように2025年の1発目にガツンと『今年もやるぜ!』と観てくださる方に伝えられたらいいなと思います」

―――先ほど「当て書きをされる」というお話もありましたが、門野さんから今日お集りいただいたお三方に期待されていることは?

門野「幸さん(米原)には前回も五右衛門をやっていただいたのですが、中止になってしまった時に『早くやらないと歳とっちゃうからね!』と言われたので、それは早くやらなきゃと思って(笑)。幸さんはこの1年間とてもお忙しかったので、その1年で得た思いも乗せてやってくださったら、きっとさらに映える五右衛門になるだろうと思います。
 理人は人見知りなのに、社交的にしっかり人と絡んでいこうとするバランサーで、本当に優しい人なので、そういう元々持っている性質が穴山小助役とすごく合うなと思いますから、非常に楽しみです。
 鵜飼さんには伊達政宗をやっていただきますが、今まで伊達政宗は演じられていますか?」

鵜飼「いや、やってないです。結構歴史ものはやってるんですけどね」

門野「そうですよね、それがすごく意外なくらい、あっていると思います。もちろん殺陣もすごい方ですし、時代劇がベースにある方なので、所作がすごく綺麗で。僕は『所作神』って呼んでます(笑)。そういうところでも作品のエンタメ力をあげて、引っ張っていただけたら嬉しいなと思っています」

―――今の門野さんのお話を含めて、皆さんそれぞれ、これからのお稽古で色々と変化もあると思いますが、あくまで今の時点では役柄をどう捉えていらっしゃいますか?

米原「石川五右衛門は歴史的には若くして亡くなっている人物ですが、僕はこの作品の中では『実は生きていた』という設定での、晩年の五右衛門をやります。それこそフィクションですから、いくらでも作りようがありますし、どんなかぶいた五右衛門が観られるのかを楽しみにして欲しいです。
 ただ、意外とど真ん中を突っ走るというよりは、俯瞰して見ている方が多い役なので、稽古場でもそういう感じでいようかなと。門野くんがやりたい稽古場作りみたいなことを、周りのキャストに伝播していけるような振る舞いをしていきたいなと思っていて。その中でも、“最後にキメるところは、ちゃんと持っていきます”みたいな、稽古場から役とリンクした感じでいるんじゃないかなと、今は想定しています」

碕「穴山小助は『真田十勇士』の1人ですが、真田十勇士自体、結構ファンタジー要素が多いんですよね?」

門野「そうだね。実在したことは確かなんだけど、色々と書き加えられているから。
 ただ穴山小助が真田幸村の側近だった、というのは間違いないし、今回十勇士全員が登場するわけではないので、代表して幸村のブレーンとして存在して欲しいなと」

碕「この再演から新しく入らせてもらうので、前回から続投されるメンバーの空気感についていけるように頑張ろうと思っています。真田幸村に仕える役ですから、幸村役の星璃くんとちゃんとコミュニケーションを取りたいのですが、星璃くんは関西人なので、その空気に乗れるかどうかが(笑)」

門野「十分、大丈夫だよ!」

碕「ありがとうございます。真田軍のメンバーとコミュニケーションを取りつつ、新メンバーとして新たな風を吹かせられたらなと。さっきも言ってくださいましたが、根が人見知りなのですが、ここはちゃんとみんなと仲間になれるように」

米原「絶対仲良くなれるから!」

碕「幸ちゃんがいてくれるので、頼りにしながら頑張ります!」

鵜飼「伊達政宗は王道の武士というイメージがあると思いますが、今回の作品では真田幸村とのドラマも入っていて」

門野「ちょっと劣等感を持っているというか、幸村の“赤い炎”に対して“クールな青い炎”というイメージで書いていますので、鵜飼さんのまた違った魅力が見られるといいなと」

鵜飼「『所作神』としましては(笑)、やっぱり時代劇をやるって“過去の偉人たちを、現代の人が演じる”という大嘘なんですが、それをお客様に『あ、こういう人いるよね』と言ってもらえるように持っていきたいので、丁寧に創りあげられたらと思っています」

―――門野さんからも是非、俳優として演じるお役柄についてもお聞かせいただけますか?

門野「あ、はい、久々に訊かれました、役者としてって!
 僕の役は島津忠恒で、実在の人物ではありつつ、歴史上では登場人物たちとしっかり絡んでいる人ではないんですね。あくまでもこの作品のなかの『if』で書き入れている役柄で。僕の性格とも真逆で、自分を信じられずに結構くよくよしている役なのですが、そういう人物がラストに向けて覚悟を決めていく、その生き様を見せる役どころです。
 僕自身団体の代表でもありますから、みんなに負けないように切磋琢磨して、この1年に蓄えたもの、自分のスキルをぶつけていけたらと思っています」

―――先ほどから「1年を経た」というお話がたくさん出ているので、皆さんお一人おひとり、この1年で印象に残っていることを教えていただけますか?

米原「さっき『早くしないと歳とっちゃうよ!』と言ったということでしたが、それは覚えていなかったですし(笑)、五右衛門をやるにあたっては、歳を重ねるのも悪くないなという感覚があります。
 この1年はありがたいことに本当に忙しくて、自分発信も結構したんですよ。曲を書いたり、脚本を書いたり、LIVEもやったり。だから門野側の創る人の気持ちも少しはわかったのかな?と思うので、そういう経験が活かせたらいいですね」

碕「今年1年間は『色々な作品に出る』という目標を立てていたので、本当にたくさんの舞台に出させていただいてとても忙しかったのですが、その最後に初の@emotionさんの稽古を経て、来年2025年1発目に『IKIZAMA』に出られる縁を大切にしたいです。
 あとは『秋はどこに行ったんだろう』と思います(笑)」

鵜飼「確かに! 僕はこの1年病気と怪我が多くて、公演自体はそこまで飛ばさなかったのですが、色々ご迷惑をおかけしたなということと、今年1年は“はじめまして”がとても多かったんですよ。“はじめまして”の団体さんの公演に出たり、“はじめまして”の多くの方に出会ったりしていて。今年37歳になったのですが、まだまだこれだけ新しいことがあるんだ、知らないことに出会えるんだ、と思わせてもらえた1年でした。
 一方で、8年ぶりに会う人とか、とても久しぶりにまた巡り合って共演できた、ご縁がつながるってこういうことなんだなと思えた年でもあって。それこそさっき碕くんも言っていたけど、俺も初@emotionさんなんですよ」

碕「あ、そうだったんですか?」

鵜飼「そう。これだけご縁の深い友達なのに、団体さんの公演に参加させてもらえるのが初めてなので、たくさんの新たなものに出会えた2024年から引き続いて、2025年の年始からも新しいことを一緒に創り上げられるのはいいなと思っています」

門野「僕は、まずそれこそ去年の今日(※取材は11月8日)が『IKIZAMA』の初日だったんです」

米原「そうだね」

門野「取材日が決まってびっくりしました。あれから1年、公演ができなかったということも大きなバネになったと思いますが、目まぐるしく環境も変わり、自分が抱えているものや、これまでは“そこにいきたいんだけど無理だな”と思っていたものができるようになった、ということがとても増えたんです。ですからどうしたって同じものは創れないので、1年分の進化が乗ったものを創りたいです。
 あとは、確実に痩せにくくなりました!」

一同「(爆笑)」

―――大変苦手な話題に突入しそうなので、先に行かせていただきます!(笑)
 最初にスカッとする作品を、というお話をいただきましたが、確かに@emotionさんの作品を拝見すると、こちらまでテンションが上がって、冬なのにコートを着ないで劇場を出ちゃったりもするので。

門野「本当ですか?」

鵜飼「あー、それ嬉しいよね」

―――そうなんです。しばらくしてあれ?と気づくくらいなので、新年の公演もとても楽しみにしております。では改めて公演を待たれている方々にメッセージをお願いします。

米原「去年楽しみにしてくださっていたのに観られなかった、という方もたくさんいらっしゃると思いますし、新しくゼロベースで『IKIZAMA』てどんな舞台なんだろうと興味を持ってくださっている方々もいらっしゃると思いますが、本当に清々しい舞台なんです。
 先ほども言いましたが、新年1発目に観る演劇としてとても相応しい作品だと思いますので、2025年の観劇初めに是非@emotionの『IKIZAMA』を楽しんでいただけたら嬉しいです」

碕「初参加の僕としては今回の『IKIZAMA』がゼロからのスタートになります。皆さんに2025年が良い勢いで始まったなと思ってもらえるような舞台にできるよう頑張っていきますので、是非、年の初めに六行会ホールにいらして下さい!」

鵜飼「@emotionさんに初参加させていただきます。シンプルに嬉しく幸せなのと、僕がこの『IKIZAMA』という作品を観た劇場上映会のカーテンコールで、スーツを着た門野翔が1人で頭を下げてたんですよ、『ありがとうございました』と。その姿、彼の生き様がシンプルにカッコいいなと思ったのと同時に、やっぱりキャスト全員で挨拶しているのを観たいよねと思ったんです。それは僕だけじゃなく、上映会を観ていたお客様みなさんがきっと思われていたことだと思います。
 その日が上映会の千穐楽で、組んだままだった舞台セットをみんなでバラしている姿を見ながら、そこで感じた一種の悔しさとか、届けたい先に届けられなかった想いなどがあると思うので、今回参加させていただけるからには、その想いの分も@emotionさんの力を倍増できるように、僕自身も本気で当たっていきたいなと思っています。
 主演の幸ちゃんは『全体を俯瞰したい』と言っていましたが、そんな幸ちゃんがマイペースに歩いていくあとをみんながついていく、そんな人を引っ張る力のある人なので、新年1発目、2025年の頭にみんなで一緒に『IKIZAMA』を届けられたらなと思っています」

門野「みなさんのお話を伺っていて本当に嬉しいです。ありがとうございます。
 団体の話になるんですけど、この『IKIZAMA』は@emotion 10作品目という1つの節目の作品で、“青”から始めたテーマカラーも“金”という、ある意味、特別な色を使ってやっていた作品だったんです。そうした作品をもう一度ということで、ここから始まることもたくさんあるでしょうし、それこそさっき言いましたが、1つの杭を打つことにもなる、終わりと始まりの瞬間を本当に素敵な俳優陣と共にできることが嬉しいです。
 何よりも@emotionは演劇というものの派手さ、面白さ、爽快さみたいなものを見せられる団体としてのカラーを持っていると思っているので、それを新春1発目に味わっていただいて、幸さんも言ってくださったように、2025年の観劇初めを@emotionの『IKIZAMA』にしていただけたら、きっといいことがあるよ、と思ってもらえるような舞台にしていきたいです。全員を愛していただけるカンパニーになれたらと思っていますので、ぜひとも応援よろしくお願いいたします!」

(取材・文&撮影:橘 涼香)

プロフィール

米原幸佑(よねはら・こうすけ)
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。2001年、「RUN&GUN」のメンバーとしてデビュー。以降、舞台を中心に俳優活動を行いながら、シンガーソングライターのサカノウエヨースケと「ヨースケコースケ」を結成しアーティストとしても活動中。主な出演作に、映画『どうしても触れたくない』(主演)、新歌舞伎座開場65周年記念 舞台『だいこん役者』、ミュージカル『ALTAR BOYZ』などがある。

碕 理人(さき・まさと)
1991年3月1日生まれ、京都府出身。2014年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンに忍足謙也役として出演し、本格的に俳優デビュー。主な出演作に、舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』シリーズ、劇団『ハイキュー!!』旗揚げ公演、舞台『華の天羽組-天京戦争編-powered byヒューマンバグ大学』、舞台『パリピ孔明』などがある。

鵜飼主水(うかい・もんど)
1987年10月5日生まれ、東京都出身。俳優・殺陣師・振付師として多くの作品で活躍。萩原成哉と演劇ユニット「MNOP(もんどなるやオリジナルプロジェクト)」を結成して公演を行うほか、俳優・アーティストによるクリエイター集団「gekchap」の一員として写真展やカメラワークショップなども行っている。主な出演作に、舞台『信長の野望・大志』シリーズ、『黒の王』、『真・三國無双 ~赤壁の戦い IF~』、『BRAVE10~昇焉~』、『博多とんこつラーメンズ』などがある。

門野 翔(かどの・しょう)
1990年2月22日生まれ、埼玉県出身。子役としてテレビや舞台で活躍し、18歳で自身が代表を務めるエンターテイメント企画ユニット「@emotion」を立ち上げる。2012年からは団体公演を行い、脚本・演出・殺陣振付の担当と同時に俳優としても出演。15本以上のオリジナル作品を創作。また、舞台『キューティーハニー』シリーズ、『トワツガイ』シリーズ、『爆剣』シリーズ、『アテルイ』など、外部公演の殺陣・アクション指導でも活躍している。出演や演出においても毎年精力的に活動している。

公演情報

@emotion presents Expression Vol.10 金
『IKIZAMA』

日:2025年1月15日(水)~19日(日)
場:六行会ホール
料:S席8,800円 A席6,600円
  B席5,500円(全席指定・税込)
HP:https://emotion.tokyo
問:合同会社Emotion Space
  mail:info@emotion.tokyo

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