関西で育った10代の少年たちによる演劇ユニット・神戸セーラーボーイズが、定期公演vol.3『なんて素敵にピカレスク』『天使を憐れむ歌。』を12月に上演する。これらはMANKAI STAGE『A3!』(通称:エーステ)の劇中劇を彼らのために一部脚色したもので、2023年4月の結成からさまざまな経験を重ねて成長を続ける神戸セーラーボーイズの新たな一面を見せる舞台になるだろう。
『なんて素敵にピカレスク』で主演を務めるグループ最年長・明石侑成と、同作に出演する中学3年生・崎元リストの2人がインタビューに答えてくれた。
―――この9月から10月にかけて、神戸セーラーボーイズは初の全48公演というロングランのステージを実現しました(Boys☆Act ~maple『果てなき夢のその先へ』)。メンバー10人のうち8人は日替わりキャストで、明石さんは全公演に出演されましたね。
明石「正直、めちゃくちゃ大変でした。でも周りにたくさん助けていただいて、お客様からも毎公演とても温かい声援をいただけたので、すごく楽しかったなって思っています。劇場も、普段公演しているAiiA 2.5 Theater Kobeではなく、100席キャパの神戸三宮シアター・エートーというところでやらせてもらって、より一層お客様との距離感が近くなったなと感じました」
崎元「僕もほんとに大変だった記憶はあったんですけど、逆ハングリー精神というか、侑成君とか(石原)月斗君とかが主演で全公演頑張っているので、僕がここで折れるわけにはいかないなっていう気持ちが勝って、なんとか乗り越えることができました。個人的には、普段あまり一緒に組むことがないメンバーと演技する機会も多かったので、1年目とはまた違う新しい絆が生まれた気がします」
―――結成してからの活動歴を見ると、とても濃密な時間を過ごしていますね。
明石「そうですね。もう本当にたくさんのことを学ばせてもらっています」
―――中学3年生から19歳まで、4〜5歳の年齢差は大人だとあまり気になりませんが、みなさんくらいの歳だとずいぶん違いを感じると思います。でもおふたりを見ていると変に遠慮することもなく、対等な空気感がありますね。
明石「壁は本当になくなった気がしています。最初は、それこそ年下の子が上のメンバーをいじったりするのは抵抗があったと思うんですけど、公演を重ねるうちにその壁がなくなって、いい意味で“同い年”感があります」
崎元「侑成君のおかげです(笑)。僕も最初はちょっと控えめで、あまり自分からグイグイいくことはありませんでした。でも、演技をしてると絶対に話さないといけないし、こういう環境になると、相手のことを1つ奥まで知れるんですよ。そういうのをちょっとつついていくというか、そういう意味では遠慮がないのかな」
明石「リストにはほんとに助けられてます」
―――神戸セーラーボーイズの舞台は、皆さん自身を投影したSF(セミフィクション)公演と、原作のある物語をベースにした定期公演という2つの柱がありました。今回はその定期公演の3回目ということになりますが、おふたりにとって定期公演はどういう手応えがありますか。
崎元「僕にとって、定期公演はめちゃくちゃ大きいです。役者として、SF公演とは明らかに違うものを手に入れられるというか。ゲストさんも入ってくださるので、そこから得られるものも大きくて、やっぱり成長の糧、チャンスだったりします。vol.2(『銀牙 -流れ星 銀-』)では犬を演じるという貴重な機会をいただきましたし(笑)、青春って感じでほんとに楽しかったです」
明石「まさか犬を演じるなんてね(笑)。定期公演もvol.1(『ロミオとジュリアス』『Water me! ~我らが水を求めて~』)・vol.2を経て、役者としての幅が広がっていくなと思ってて。周りのメンバーを見ても、定期公演を乗り越えたときの顔はやっぱり自信に満ちているなと感じます」
―――おふたりが出演する『なんて素敵にピカレスク』は、MANKAI STAGE『A3!』〜AUTUMN & WINTER 2019〜の劇中劇をアレンジしたものですが、原作の舞台は映像でご覧になりましたか。
明石「はい。『なんて素敵にピカレスク』は、まず、もうカッコ良すぎる!というのが最初の感想でした。僕らが演じたことのない感じのコンセプトですし、アクションを通して男のロマンやカッコ良さが表現されていて、早く演じてみたいと思いました」
崎元「ちょうど最近スパイ映画を観たところだったので、そんな僕にドンピシャで刺さりまくる内容です。エーステの舞台では稽古期間の描写もあるので、こういう過去があったからこういう演技に繋がるんだというところでも刺激がありました」
明石「僕は主演をさせていただくんですけど、ゲストさんもいらっしゃるので、その熱量に負けないような演技をしたいです。そしてみんなを引っ張っていけたらなと思っています」
崎元「マフィアの話なんですけど、僕は(中川)月碧君が演じるランスキーの病気の弟の役なんです。だから僕だけあまり戦わない。そういう存在がいて、みんなと違う味を出すからこそこの作品が出来上がるんだろうなと思うので、結構重要な役だなと感じています」
―――演出の古谷大和さんはvol.1でもご一緒されていますね。
明石「当時、何もわからない状態で神戸セーラーボーイズに入った僕は、舞台への立ち方から何もかも古谷さんに教えていただきました。今回は成長した姿をお見せして、レベルアップしたお芝居ができるように頑張りたいです。」
崎元「vol.1で初めて集まったときにみんなで写真を撮ったんですけど、終わって帰るときに古谷さんが“解散!”を略して“散(さん)!”って言ったんです。それで“この人面白い!”ってなりました(笑)。それでいて演出はとてもわかりやすいですし、こういう方に演出していただけるのは本当に心強いなと思いました。自分の中に眠っているものを引き出してくれるような存在だと思っています」
―――先ほどから話に出ているゲストとして、今回は高崎翔太さんが出演されます。
明石「もう、たくさん学ばせていただきたいですね」
崎元「ビジュアル撮影のときから気さくに接してくださって、ほんとに頼れる人だなと感じました。兄貴肌と言いますか、“優しい”がすごく出ていて」
明石「めちゃくちゃ楽しみです」
崎元「それしかないですね」
―――神戸セーラーボーイズの舞台は、本編の芝居パートと、歌&ダンスのライブパートの2部構成です。ライブパートへの意気込みを聞かせてください。
明石「芝居パートとのギャップを見せられるところだと思うので、芝居でバチバチに決めたところで、ライブパートでは可愛さやカッコ良さといった神戸セラボの魅力を存分に出していきたいと思います」
崎元「僕は今年からギターを始めていて、先日、僕らの冠番組(サンテレビ「神戸セーラーボーイズの放課後バックステージツアー」)で初披露したんですけど、ライブパートでもそれをお見せできるかもしれません。楽しみですね」
明石「稽古のたびに、“今度はこれ弾けるようになりました”って。ほんとにすごいと思います」
―――他のメンバーが出演するもう1本の作品『天使を憐れむ歌。』についても少し聞かせてください。
明石「『なんて素敵にピカレスク』は音楽に合わせたアクションシーンがたくさんあるんですけど、『天使を憐れむ歌。』はストレートなお芝居がメインです。すごく心が動く作品になっていると思うので、お客様の心をメンバーがどう動かすのか、とても楽しみです」
崎元「こちらは主演がりゅうちゃん(髙橋龍ノ介)なんですけど、僕はりゅうちゃんのお芝居がとても好きで。表情の管理とかがすごく上手なんですよね。今回は人間の女性に恋をする天使の役なので、それをりゅうちゃんがどう表現するのか気になります」
―――では最後に、公演を楽しみにしているお客様へメッセージをいただけますか。
明石「ロングラン公演を乗り越えた僕たちのお芝居を初めてお見せできる定期公演になるので、ここが変わったとか、ここが成長したなというところも楽しんでいただけたらと思います!」
崎元「今回は僕たちが初めて扱うもの……銃とか羽根といった些細なものなんですけど、それをどれだけ使いこなせるかがポイントになると思っています。『なんて素敵にピカレスク』にはアンサンブルの方もついてくださるので、僕たちだけの舞台じゃないということを心に留めて演じたいです」
(取材・文&撮影:西本 勲)
プロフィール
明石侑成(あかし・ゆうせい)
2005年1月20日生まれ、兵庫県出身。メンバーカラーは朱色。特技は野球。趣味はK-POPを楽しむこと。高校の文化祭で舞台を経験したのをきっかけに、演技に興味を持つ。
崎元リスト(さきもと・りすと)
2009年5月4日生まれ、兵庫県出身。メンバーカラーは白。趣味は映画鑑賞、体操、カフェ巡り。現在ギターを練習中。明るい性格でグループのムードメーカー的存在。
公演情報
神戸セーラーボーイズ 定期公演vol.3
『なんて素敵にピカレスク』『天使を憐れむ歌。』
日:2024年12月20日(金)~12月29日(日)
場:AiiA 2.5 Theater Kobe
料:6,300円(全席指定・税込)
HP:https://kobesailorboys.com/stage/teiki3-nt
問:ネルケプランニング
公式HP内よりお問合せください
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