気心知れた2人のチームワークとその瞬間の化学反応を楽しんで 文豪たちの意外な交流や本音に触れられる朗読劇

 2024年6月より、様々な俳優によるランダムロングラン公演を行っている『文豪LETTERS』。今回出演する谷口賢志は、「朗読劇は稽古期間が短いことが多い分、本番で起きる化学反応が醍醐味」だと話す。

 「繰り返し稽古をして完璧なものを作るのも、初めて読んだ時の新鮮な感覚や勢いを届けるのも、どちらも朗読劇の魅力だと思っています。今回のように一発勝負で本番に臨むと、自分のコントロールを超えた表現や感情が出てくるのが楽しいです」

 共演者である米原幸佑との対峙は、気恥ずかしさもあると語る。

 「2人でがっつり芝居したのは2014年のBL映画が最初。お互いに役者を続けられている感慨深さ、どれだけ成長できているかを確認するような気持ちもある。凄くいい関係です」

 この朗読劇はピアノの生演奏と俳優2人だけで作っていく。

 「生演奏だと音楽も共演者という感覚が凄くして。その場で奏でられる音楽と即興で合わせていく瞬間を、僕らと観客の皆さんで共有するのが楽しみです」

 本作は文豪たちが残した手紙をベースに物語が紡がれる。

 「文豪というものに憧れっぱなしの人生です。様々な作品を読んで視点や感性に感銘を受け、表現に関して凄く影響を受けてきたので、その人たちが書いた生の言葉を代弁して届けられることに喜びを感じています」

 文豪役を熱望していたという谷口。特に影響を受けたのは芥川龍之介だそう。

 「完璧な構成と過不足ない文章の美しさに凄く惹かれます。『羅生門』とか驚くほどの天才ですよね。『藪の中』や『河童』も好き。いつかやってみたいのは太宰治の『駈込み訴え』。あれを全部覚えるのは嫌だけど(笑)。他にも織田作之助や志賀直哉などが思い浮かびますが、物事の考え方や台本の読み方において、最も影響を受けたのは芥川です」

 最後に、これまでとは違う味わいを作りたいと意気込んだ。

 「手紙に向き合い、日本語の美しさ、演劇の素晴らしさまで辿り着きたい。あと、昔僕がもらったラブレターを母に盗み見されたことがあって。当時凄く腹が立ったんですが、素晴らしい文章を書く人たちがどんな手紙を書いていたか知ることができるって絶対に楽しい(笑)。本人たちが生きていたら僕と同じく怒ると思うけど、母にはしらを切られたので僕も文豪たちに怒られたらしらばっくれようと思います(笑)」

(取材・文:吉田沙奈)

プロフィール

谷口賢志(たにぐち・まさし)
1977年11月5日生まれ、東京都出身。俳優としてドラマ・映画・舞台と幅広いジャンルで活躍。主な出演作に、『仮面ライダーアマゾンズ』、舞台『戦国BASARA』シリーズ、『文豪ストレイドッグス』シリーズ、『巌窟王 L ethéâtre』、『魔入りました!入間くん』THE STAGE、『チェンソーマン』ザ・ステージなど。

公演情報

朗読劇『文豪LETTERS』

日:2024年10月24日(木)・25日(金)
場:北とぴあ ドームホール
料:8,800円(全席指定・税込)
HP:https://www.lol-w.com/bungoletters
問:株式会社Lol 
  mail:info@lol-w.com(平日11:00~18:00)

 

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