Z-Lionが贈るヒューマン・ハートフル・ファンタジー・コメディ 優しい愛と笑いに包まれた、少し不思議な物語

 演劇集団Z-Lionは俳優・粟島瑞丸が、役者から見てもお客さんから見ても楽しめる舞台を本気で作り上げる事を目的とし、プロデュース・脚本・演出を粟島が1人で担当している。今回、2013年に初演、2019年に再演された人気作『a Novel 文書く show』が、キャストを新たに3度目の上演を迎える。

粟島「近年はコメディ色のあまりない、重めの作品を上演することが多かったのですが、この『a Novel 文書く show』を好きだと言ってくれるお客さまも多く、僕自身も凄く思い入れのある作品なので、いつかまたやりたいと思っていました。今回、俳優座劇場さんの閉館前に公演をさせていただく機会をいただき、それならばぜひこの作品でと思い、上演に至りました」

 物語は、小説家として行き詰まっていた高橋裕樹が、担当編集者から「書けないのなら、実際に小説の中に入って物語を進めてください」と提案され、小説の世界で不思議な体験をするというファンタジー。主人公・高橋裕樹を崎山つばさが演じる。

崎山「様々な要素が詰まった作品だと感じました。コメディシーンもありますし、小説の世界に行くというファンタジーでもある。涙がポロッと溢れるような家族の話も出てくるし、どこかドキュメンタリーっぽさもある。色々な感情に出会える作品だと思います」

 自身が演じる役柄について「共感できるところもある」と崎山は語る。

崎山「今回、僕が演じるのは小説家という役どころですが、僕自身は歌詞を書いています。僕は、世界観を作って言葉を生み出すというやり方で書くことが多く、歌詞を通して物語を作り上げたいと思って書いています。小説や脚本とは全然違うものだと思いますが、〝産みの苦しみ〟は理解できるところもあります」

 崎山を主人公に迎えるにあたり、粟島は「再演の時にも脚本を大きく変えましたが、今回も再び脚本を作り変える予定」だと話す。

粟島「崎山さんに合わせて全体的に登場人物たちの年齢を上げて、大人たちが紡ぐ深みのある物語を作りたいと考えています。そして、数多くの舞台に出演されている崎山さんの中でも、今年一番おもしろい作品を作りたいと思います」

 崎山にとって、俳優座劇場に立つのは今回が初めてだ。

崎山「2025年4月末に俳優座劇場が閉館することが決まっているため、今回が最初で最後になるかもしれません。貴重な機会を噛み締めて立たせていただきたいと思っています」

(取材・文:嶋田真己 撮影:平賀正明)

プロフィール

崎山つばさ(さきやま・つばさ)
1989年11月3日生まれ、千葉県出身。2014年に俳優デビュー。2015年、ミュージカル『刀剣乱舞』~阿津賀志山異聞~の石切丸役で話題となるなど、舞台を中心に活躍。主な出演に、映画『クロガラス』シリーズ、舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』(演出:白井晃 脚本:中島かずき(劇団☆新感線))、プロペラ犬『僕だけが正常な世界』(作・演出:水野美紀)主演・ミチル役、ドラマ『デブとラブと過ちと!』、『仮面ライダーギーツ』など。

粟島瑞丸(あわしま・ずいまろ)
1981年9月2日生まれ、大阪府出身。2001年に俳優デビューを果たし、映画やドラマを中心に活躍。映画『ザ・ファブル』、ドラマ『半沢直樹』など注目作に出演。俳優活動と並行して2012年、演劇集団Z-Lionを旗揚げ。プロデュース・演出・脚本のすべてを自身で手掛けている。

公演情報

演劇集団Z-Lion『a Novel 文書く show』

日:2024年7月12日(金)~21日(日)
場:俳優座劇場
料:8,000円(全席指定・税込)
HP:https://anovelbunkakushow.com
問:演劇集団Z-Lion
  mail:stage.contact55@gmail.com

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