20XX年、突如現れた特別な力を持つ【異能者】。彼らによる犯罪は増加の一途を辿り、人々と異能者の対立は日々深まっていった……。
Act Sessionが今回挑むのは、近未来を舞台にしたSFアクション。朗読劇でアクション!? 一体、そんなことが可能なのか。
脚本・演出のオミ・ライミとも親交が深く、vol.1からカンパニーを支える大海将一郎に話を聞いた。
―――これまでのAct Session vol.1・vol.1.5『喜笑転結』は、どんな公演でしたか?
「vol.1に関しては初めての朗読劇のプロジェクトということもあって、かなり手探りの部分もあったと思います。脚本・演出のオミ・ライミさん自身も、どういった内容の作品にするかというのはすごく悩まれていたみたいですが、立ち上げですし、やっぱり観終わったあとにハッピーになるようなものがいいということで、コメディに特化した4作品のオムニバスという形になりました。
ストーリーも、何か強いメッセージ性があるというよりは、シンプルに楽しんで笑ってもらえたらという内容で、実際、お客様に楽しんでいただけたという手応えをすごく感じた公演でした」
―――今回のvol.2『Re: -the beginning of the end-』は、どんな作品になりそうでしょうか?
「今回はオムニバスではなく、1本の長編作品になります。ジャンルとしては、SFのアクションストーリー。少年誌に載っているような、わくわくする壮大なお話にしたいとオミ・ライミさんはおっしゃっています。
舞台は近未来、21世紀後半の地球です。突然変異で人類が進化して、特殊能力を持った人たちが現れるようになって……というところから物語が進んでいきます。特殊能力を持った人たちと、そうでない普通の人たちとの対立であったり、陰謀であったり……。
そういうストーリーって、これまでも皆さん触れてきたかもしれませんが、朗読劇でアクションシーンを表現するって難しいと思うんです。そういうところを、声優の皆さんの声の表現で描けたら面白いなと」
―――『Re: -the beginning of the end-』というタイトルも意味深ですね。
「新たな時代が来るのかどうなのか。その辺りも物語と関わってくるところだと思うので、想像をめぐらせてもらえると嬉しいです。
もう少しストーリーを説明すると、特殊能力をいいなと思う人がいる一方で、それを疎む人がいたり、特殊な力を使って罪を犯すような人が出てくる。それを取り締まるために公安局零係という部署が作られ、その零係の人たちと特殊能力者の人たちが戦う……というようなお話なんですが、僕たちの生きる現代社会でも、きれいな人だったり、才能がある人たちに対して、いいなあっていう思いがある一方で、それを疎む人もいたりするじゃないですか。
だから、ストーリー自体は少年誌にあるようなお話なんですけど、自分たちにも置き換えられるようなメッセージを散りばめながら、観た人が最後は楽しんで帰ってもらえるような内容にできればと思っています」
―――大海さんにとって、朗読劇ならではの面白さ、もしくは難しさはどのようなところにありますか?
「朗読劇は普通の舞台と違って、いまこういうシーンですよ、っていうことを視覚的に届けることはできません。観る人の想像力に助けてもらって作品を成り立たせる部分が大きいので、どうしたら想像しやすく表現できるかというところが難しかったりもします。
ただ、十人十色じゃないですけど、そのシーンや世界、キャラクターが観た人の数だけある。その人の想像力次第で無限に広がる奥行きが朗読劇にはあると思っていて、僕はそこが好きなんです」
―――これまで2回の公演を経て、今回はこうしてみたい、こんな挑戦をしてみたいというようなことはありますか?
「今回は劇場が少し大きくなりました。セットや、今までは使えなかった照明の表現とか、そういったものも込みでパワーアップしたものをお届けできるかと。規模が大きくなったからこそできる挑戦というのもたくさん増えたと思います。
また、今回vol.2から参加してくれる新たな役者さんたちもたくさんいるので、これまでAct Sessionを追ってきてくれた方へ更に新たなものを見ていただく要素をたくさん詰め込んで臨みたいと思っています」
―――「Act Session」の目指すところを教えてください。
「Sessionって、本来音楽とかで使う言葉だと思うんですけど、お芝居も音楽と一緒で、ライブ、ナマモノなので、その瞬間、その瞬間、1日たりとも同じ日っていうのはないと思っていて。
例えば、体調や日によって音が違うかもしれない。でも、そこに生々しく返せるようなお芝居でお客様に届けられるように、という思いがAct Sessionというタイトルには込められています。
演出家だけのイメージではなく、役者さんのイメージや持ってきたものを尊重しながら、みんなが奏でる音や表現でひとつの作品を成り立たせる、それがAct Sessionのコンセプトです」
―――最後に、読者の方へ自由にメッセージをお願いします。
「これまでAct Sessionを観に来てくださった方も、今回から観てくださる方も、その世界にすぐ溶け込めるような内容にしたいとオミ・ライミさんも言っています。
オリジナルと聞くと『どんな話なんだろう』って身構えちゃう人もいるかと思うんですけど、ぜひ、Act Sessionというカンパニーを信じて劇場へ足を運んでいただけたらと思っております!」
(取材・文:前田有貴)
プロフィール
大海将一郎(おおみ・しょういちろう)
10月5日生まれ。4人組ダンス&ボーカルユニット「Hi!Superb」メンバーとしてアニメやゲームのタイアップ楽曲を歌唱。代表作は、アプリゲーム『イケメン王子 美女と野獣の最後の恋』リヒト=クライン役や、ミュージカル『薄桜鬼』シリーズ 斎藤一役、舞台『魔法使いの約束』シリーズ ルチル役、歌劇『桜蘭高校ホスト部』猫澤梅人役など。2022年2月には、自身で脚本・プロデュースを手掛けた朗読劇『喜笑転結』を開催するなど、幅広く活躍している。
公演情報
Act Session vol.2
『Re: -the beginning of the end-』
日:2023年5月10日(水)~14日(日)
場:シアター・アルファ東京
料:特典付きチケット7,700円
一般5,500円(全席指定・税込)
HP:https://smavoice.jp/s/sma03/page/56_ActSession_vol2
問:Sony Music Artists Inc.
HP:https://contact.sma.co.jp/s/smainq/form/inquiry