伝統芸能を通し環境問題にアプローチ。五穀豊穣と無病息災を祈り舞う 素踊りに能、スペシャルトークも披露! 市川海老蔵の特別公演

 歌舞伎俳優の市川海老蔵が、この秋特別公演『アース&ヒューマン』を開催。高知を皮切りに、静岡、福井、東京と全国8カ所で上演を行う。

 本公演の趣旨に掲げるのは、“地球上の美しい自然や文化を未来の子どもたちへ引き継いでいくため、人間の暮らしの基盤となる持続可能な地球環境の実現に寄与を”との想い。海老蔵自身かねてより自然環境の保全に強い関心をよせ、長野県志賀高原で植樹活動「ABMORI(エビモリ)」を展開。また今年2月にはNPO法人「Earth & Human」を設立するなど、環境問題に精力的に取り組んできた。今回はその次なるステップとなり、「これまで携わってきた環境保全活動と歌舞伎の世界を繋げて何かできないかと企画しました。美しい地球や日本の四季を守り、そして未来の子どもたちへ何が自分はできるのか――、前々から考えていたことが一つずつ具体的になってきていて、これをその第一歩として始めていけたらと思います」と意気込みを語る。

 プログラムには『三番叟』と『延年之舞』の二作の素踊りを用意。『三番叟』は地固めをする力強い足拍子や種蒔きを表す所作が見どころで、五穀豊穣の願いを込めて舞い、『延年之舞』では延命長寿や無病息災、家内安全の祈りを込めて舞う。

 「これらはもともと能楽で狂言方が烏帽子と素襖姿で演じていた作品で、それが歌舞伎に派生したもの。今回は原点回帰ということで、『三番叟』では衣裳を新調し、歌舞伎の振りではありますが、黒紋付ではなく素襖で舞います。一方『延年之舞』は紋付袴で装い、舞いを通して自然問題にアプローチしていこうと考えています」

 さらに能楽の名作に、環境問題をテーマにしたスペシャルトークも披露。伝統芸能の魅力と共に、地球が抱える問題を広く訴えかけていく。

 「環境問題に関して皆さん気づいてはいても意識できていない部分が多いと思います。何より問題なのは無関心でいること。まずは意識を向けることが大切で、その種を蒔いていきたい。この公演をエンターテインメントとして楽しんでいただくと同時に、環境問題に対する意識の種を蒔いていく。私なりの一つの試みとして取り組み、伝統芸能を通して自然環境についてみなさんと探求していけたらと思っています」

(取材・文:小野寺悦子)

プロフィール

市川海老蔵(いちかわ・えびぞう)
1977年12月6日生まれ。十二世市川團十郎の長男。1983年歌舞伎座『源氏物語』の春宮で初お目見得。1985年歌舞伎座『外郎売』の貴甘坊で七代目市川新之助を名乗り初舞台。2004年5月歌舞伎座『暫』の鎌倉権五郎、『勧進帳』の冨樫ほかで十一代目市川海老蔵を襲名。日本の伝統芸能を次世代に伝えるべく、自ら企画した『古典への誘(いざな)い』、『ABKAI』などの自主公演にも意欲的に取り組み、次々と新作を生み出している。
また活動の場は国内に留まらず、2度に渡るシンガポール公演、2016年2月にアラブ首長国連邦、3月にニューヨーク・カーネギーホールで『GRAND JAPAN THEATER』公演を実施した。その活躍は歌舞伎だけでなく、2014年に映画『利休にたずねよ』で第37回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。

公演情報

市川海老蔵特別公演 アース&ヒューマン

日・場:
2021年 11月17日(水) 13:00開演(12:00開場) 森のホール21 大ホール
2021年11月19日(金) 13:00開演(12:00開場) 相模女子大学グリーンホール 大ホール
 ※他、地方公演あり
料:一等席8,000円 二等席7,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.zen-a.co.jp/
問:Zen-A(ゼンエイ)
  tel.03-3538-2300(平日11:00~19:00)

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