会場を変え、ウキウキした気持ちが高まる『新生パリ祭』「1曲毎に1本の映画ができるくらい、深い」

会場を変え、ウキウキした気持ちが高まる『新生パリ祭』「1曲毎に1本の映画ができるくらい、深い」

 フランスの7月14日といえば革命記念日。パリはもちろんのことフランス各地でイベントが催されるが、日本ではシャンソンの祭典『パリ祭』の日として知られている。戦後日本におけるシャンソン歌手の先駆け、石井好子が1963年に初めて開催し、現在でも若手からベテランまで、シャンソン歌手たちがステージに勢揃いする華やかなコンサートとして愛されている。そんな『パリ祭』のステージに2011年から上るのが、心に響く歌声で根強いファンを持つクミコだ。彼女が広く知られるようになったきっかけは、2002年にリリースした『わが麗しき恋物語』が“泣ける曲”として口コミで広がったことからだったが、シャンソンとの出会いは、老舗シャンソニエ、銀座「銀巴里」のオーディションだった。

 「オーディションがあると友達から教えられて行ってみたんです。だからどんなお店かよくわかっていませんでした。しかも1次審査で歌ったのは日本語のオリジナル曲。若かったからできたんですね。お店も面白いのが来た、と思って通してくれたんでしょう。当時シャンソンと言えば越路吹雪さんの曲しか知りませんでした。先生もいません。申込書に(シャンソンの)先生の名前を書く欄があるのですが、わからないから高校の先生の名前を書いちゃった(笑)」

 「銀巴里」で歌うようになったクミコは、世の中に沢山のシャンソンがあることを知り、それからは自分のオリジナルとシャンソンの両方を歌ってきたという。

 「2本立てです。どちらかに偏ることもありませんでした。なので未だに自分は“なんちゃってシャンソン”だと思っています(笑)。そりゃ昔よりは馴染んできましたけれど」

 そう謙遜するクミコはシャンソンの魅力をこう語る。

 「まずメロディが綺麗なこと、そして歌詞が深くて映画のような味があることですね。1曲毎に1本の映画ができるくらいの深さを持った曲もあります」

 そして会場を変えて心機一転となる今年の『パリ祭』にはこんな期待を寄せる。

 「今までNHKホールやオーチャードホールなどの大劇場でしたが、今回はイベント会場みたいなホール。初めての試みだと思いますが、今まで以上に楽しくウキウキ感がある『パリ祭』になる気がしています。今年の“パリの一週間”というテーマもいいですね。まるでパリの蚤の市みたいに沢山のいい曲に出会える、楽しい『新生パリ祭』になるといいですね」

(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)

プロフィール

クミコ
茨城県生まれ。早稲田大学卒。1978年、「世界歌謡祭」に日本代表の1人として参加。1982年に銀座「銀巴里」のオーディションに合格し、プロとしての活動をスタート。1999年、作詞家・松本隆と出会い「クミコ」として再スタート。「わが麗しき恋物語」が “聴くものすべてが涙する歌”として大きな反響を呼び注目を集める。2022年、銀巴里でプロ歌手として活動を開始してから40周年を迎え、記念シングル「愛しかない時」をリリース。その後も心に響く歌を歌い続け、多くのファンに支持されている。

公演情報

シャンソンの祭典 第61回パリ祭 パリの一週間

日:2023年7月13日(木)・14日(金)
場:TOKYO DOME CITY HALL
料:S席10,000円 A席7,000円 B席4,000円
  学生席[25歳以下]1,000円 ※学生席は団体のみ取扱/要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:http://www.paris-sai.com
問:ジェイステージナビ tel.03-6672-2421(平日12:00〜18:00)

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