DisGOONieの新たな船出は、江戸時代の名作がモチーフ! “八犬伝”の因縁の始まりから、物語を再構築する意欲作

 DisGOONieが贈る最新作は、曲亭馬琴の名作長編小説『南総里見八犬伝』に着想を得た物語。脚本・演出を手掛ける西田大輔に、今回、“八犬伝”に着目した理由を尋ねた。

 「以前に別の舞台でオリジナルの八犬伝を作ったことがあるのですが、新たな顔ぶれで作品を作るにあたり、“逆説の定義”が面白いのではないかと考えました。八犬伝というと、八犬士が集まり冒険の旅をするというイメージが一般的かと思いますが、物語の原点に戻れば、化け犬が姫をさらい、身籠った姫が玉を身に宿したところからすべての因縁が始まります。その悲劇から、八犬伝をどう作り替えられるだろうかと。なので、今回の物語を語る視点は、“犬”です!」

 多様な作品が出尽くした現代から考えても、江戸時代にこのような物語が生まれていたことに感動を覚えると西田は言う。

 「自分が江戸時代に生きて八犬伝を読んでいたら、どんな気持ちだっただろうかと思います。僕は、作品には必ず時代が反映されると思っていて。同じ時代に生きる作家と俳優たちが作品を作れば、そこに自ずと時代が表れる。令和ならではの“新説八犬伝”になればいいですね」

 キャストは、崎山つばさをはじめとする実力派が揃った。

 「DisGOONieらしく、強力な海賊たちに集まってもらいました。一見ダークな世界観になると思いますが、女性キャストが水のような一面を作ってくれるはず。キャストに託す役柄は僕の中でイメージがあるものの、本当に決まっているのはラストの一場面のみ。プロローグの台本を渡したら、そこからは稽古場で俳優の動く様を見て作っていきます。俳優たちの生み出すもので場面もセリフも変わっていくから、稽古場はまさにバトル! 刺激的で楽しいですよ。『早く台本が欲しい』とは言われますが(笑)」

 今回の船出の先には、どんな世界が待つのだろうか?

 「DisGOONieという船は、乗るのも降りるのも自由。キャストやスタッフ、お客様みんな、乗ったからには一緒に宝を目指していこうという想いを込めています。僕は“過去にやったような芝居はやらない”と自分に課しているんですよ。今回は一度やった八犬伝というテーマで、この俳優たちと全く毛色の違う作品を作ることに挑戦します。俳優たちの気持ちが奮い立つようなものを作るのが、僕の仕事。とても厳しい作業ですが、これが成し遂げられたときに、経験がひとつの宝になっているんじゃないかと思います」

(取材・文:木下千寿 撮影:山本一人(平賀スクエア))

プロフィール

西田大輔(にしだ・だいすけ)
1976年11月13日生まれ、東京都出身。1996年、日本大学芸術学部在学中にAND ENDRESSを結成し、作・演出をすべて手掛ける。2015年に新たな演劇表現の場として、DisGOONieを設立。ドラマ脚本や漫画の原作、映像演出などもこなし、多彩な活躍を見せる。

公演情報

DisGOONie Presents Vol.12
舞台『玉蜻 ~新説・八犬伝』

日:2023年2月10日(金)~19日(日)
  ※他、大阪公演あり
場:EX THEATER ROPPONGI
料:11,000円(全席指定・特典付・税込)
HP:https://disgoonie.jp
問:株式会社ディスグーニー tel.03-6303-2690

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