夕暮れの繁華街。待ち合わせに指定された小さな事務所のドアを開けると、そこに居たのはプロデューサーを自称する1匹の猫。なんでも、およそ40年前に日本中を巻き込んで大ブームを起こした“あの猫たち”を復活させるという。
「あの“なめ猫”。又吉やミケ子、その仲間たちが新宿FACEの舞台で大暴れします」
ヤンキー風の学ランや暴走族の特攻服を着た猫たちの姿は、大人にも子供にも大ウケだった。運転免許証に似せてデザインされたブロマイドも、友達みんな持っていたものだ。
「実は色々なところで“なめ猫”は愛されています。2015年頃、空前の猫ブームと共に“なめ猫”が再来し、携帯・ゲーム・アパレルブランドとのコラボ・モバイルCM・警察のポスターにもキャラクターが起用されました」
“なめ猫”だけじゃない。数年前から80年代のヤンキー文化を取り上げた漫画やドラマが生まれているし、この時代の歌謡曲がTikTok でバズるなど、80年代カルチャーは若い世代の好奇心に刺さりまくっている。
それにしても、そんな“なめ猫”をどうやって舞台化するのだろう。まさか舞台を縦横無尽に猫たちが走り回るわけではないとは思うのだが。
「もちろん役者が“なめ猫”として登場します。あくまで“なめ猫”ではありますが、栄光に憧れながらも、はぐれもの(若者)たちが、音楽を通して絆を結んでいく人間味あるストーリーです(笑)。原案の“なめ猫”は80〜90年代の設定なのでその雰囲気を生かしつつ、現代とミックスさせたオリジナルストーリーとなります。ミュージカルではありませんが、歌、ダンスもあります! “なめ猫”を知っているリアル世代も、知らない若い世代にも楽しんでいただけたら。
そしてスタッフも最高です。脚本はしずるの村上純さんにお願いしました。彼の青春コントのネタが秀逸で、面白くて。なめ猫の世界観をうまく取り込んでくれるだろうと思っています。演出はKPR/開幕ペナントレースを主宰する村井雄さん。そして音楽は超有名なバンドでも活躍する、手島いさむさんです」
いやはや、これほどの顔ぶれを揃えてくるとは、正直脱帽だ。これだけの精鋭を集めて、さてどんな舞台になるのか、今から楽しみだ。
「昭和に始まり、平成を越えて令和の今。イケメンたちの姿を借りて暴猫たちが舞台で暴れ回る! そこんとこ夜露死苦ニャン!」
(取材・文:渡部晋也)
プロフィール
なめ猫(なめねこ)
ヤンキー風の学生服を始め、様々なコスチュームを纏った猫。1980年代初頭に話題となり、名古屋を皮切りに全国に流行が拡大。文房具や雑貨など、500を越えるキャラクターグッズが製作された。雑誌の表紙になるなど時代の寵児となるが、90年代に入るとバブルの喧噪がその姿を隠した。しかし水面下の人気は続き、2005年前後にブームが再燃。この頃作られた免許証風のブロマイドは2015年時点で1,900万枚を売り上げた。
公演情報
『なめ猫 on STAGE』
日:2023年2月22日(水)~3月1日(水)
場:新宿FACE
料:9,900円(全席指定・ドリンク代別・税込)
HP:https://www.lol-w.com/namesute/
問:株式会社Lol mail:info@lol-w.com(平日11:00~18:00)
ⒸNAMENEKO・J Ⓒ2023 全日本暴猫舞台連合なめんなよ